素顔を知らない

王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。

聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。
ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。
王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。

王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。

国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。

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