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侯爵家
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「父上。あの女は浮気をしておりました!婚約を破棄してください」
夜会から戻るなり、アリストは当主である父に訴えた。
リノナリザは侯爵夫人に相応しくない、と。
公然と男を侍らせ、その男の色の髪飾りと耳飾りを付けていた。
当然婚約者のアリストが贈ったものでは、ない。
男もリノナリザの色のチーフが胸にあった。
二人はあまりにあからさま過ぎた。
「ふむ…わかった。先方にはそう伝えよう」
侯爵当主も家格が釣り合うだけで選んだ令嬢だった。
息子を馬鹿にするような女を娶るつもりもない。
「あ、あと。もし、…許されるならテイラーと…婚約は出来ませんか?いや、テイラーが良いのです」
途端に当主は渋い顔をする。
幼い頃にも彼女と結婚したいと駄々をこねた。
首を振るだけで認められることはなかったが。
「…まだ諦めていなかったのか」
「諦められません。ずっと、願っていましたから」
「…そうか」
父はため息を吐いた。
「別に嫌がらせで認めなかったわけじゃない。…お前はどうしてもテイラーが良いのか?」
「はい」
「苦労してもか?」
テイラーは身体が弱い。
貴族夫人としてやっていくには厳しいかもしれない。
でも、彼女のためなら、それでも構わないと思っていた。
父も息子に苦労をさせまいと、彼女との婚約を認めなかっただけと知った。
「子は、…養子をとる事になる。それでも良いんだな?」
父は厳しい表情でアリストに念押しをした。
夜会の会場でもテイラーは青白い顔をしていた。
病は治っていても、病弱なのは変わらない。
出産は…難しいだろう。
アリストは頷いた。
テイラーとの子は欲しい。
でも、子かテイラーか選択を迫られる状況に陥った場合、アリストはテイラーを選んでしまうだろう。
後でテイラーに酷く責めらる事になるとしても。
「テイラーと幸せになりたいんです」
息子の言葉に、父は微笑んで頷いた。
夜会から戻るなり、アリストは当主である父に訴えた。
リノナリザは侯爵夫人に相応しくない、と。
公然と男を侍らせ、その男の色の髪飾りと耳飾りを付けていた。
当然婚約者のアリストが贈ったものでは、ない。
男もリノナリザの色のチーフが胸にあった。
二人はあまりにあからさま過ぎた。
「ふむ…わかった。先方にはそう伝えよう」
侯爵当主も家格が釣り合うだけで選んだ令嬢だった。
息子を馬鹿にするような女を娶るつもりもない。
「あ、あと。もし、…許されるならテイラーと…婚約は出来ませんか?いや、テイラーが良いのです」
途端に当主は渋い顔をする。
幼い頃にも彼女と結婚したいと駄々をこねた。
首を振るだけで認められることはなかったが。
「…まだ諦めていなかったのか」
「諦められません。ずっと、願っていましたから」
「…そうか」
父はため息を吐いた。
「別に嫌がらせで認めなかったわけじゃない。…お前はどうしてもテイラーが良いのか?」
「はい」
「苦労してもか?」
テイラーは身体が弱い。
貴族夫人としてやっていくには厳しいかもしれない。
でも、彼女のためなら、それでも構わないと思っていた。
父も息子に苦労をさせまいと、彼女との婚約を認めなかっただけと知った。
「子は、…養子をとる事になる。それでも良いんだな?」
父は厳しい表情でアリストに念押しをした。
夜会の会場でもテイラーは青白い顔をしていた。
病は治っていても、病弱なのは変わらない。
出産は…難しいだろう。
アリストは頷いた。
テイラーとの子は欲しい。
でも、子かテイラーか選択を迫られる状況に陥った場合、アリストはテイラーを選んでしまうだろう。
後でテイラーに酷く責めらる事になるとしても。
「テイラーと幸せになりたいんです」
息子の言葉に、父は微笑んで頷いた。
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