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ニ
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ヒューゴは頭上を見上げる。
「ライデン…まだ出てこないでよ。ややこしくなるんだから」
急に頭上に現れたヒューゴの友人は、フンッとそっぽを向く。
周りから悲鳴があがり、次々に貴族たちが床に伏す。
我が国の王家の紋章には鳥の絵が象られている。
黄金色の鳥。
今、目の前にいる雷を纏う金色の大きな鳥と酷似していた。
「は…?、どうして、雷鳥が、姿を…まさか!私の息子の立太子を祝して!?」
『んなわけあるか』
側妃の言葉を我が国の守護鳥がばっさりと切り捨てる。
『ヒューゴが平民になるのならば、私もそれについて城を出ていく』
「は?」「えっ」
側妃だけではない、周りの貴族も、大臣もみな伏せていた頭を上げた。
「どうして!」
「何故ですか!」
「この城の守護は」
『なんでもなにもないだろう。我が祖先と約束を結んだのは王家の先祖。今この国にその血を引くのはヒューゴしか残らないのだから』
息を呑んだのは、宰相一人。
宰相は知っていたのか。
ヒューゴ自身も、この友人から聞かされ最近知った。
「どういうこと…」
『どうもこうもない。国王は種無しだ。先代国王はそれを知って、極秘で王妃と王弟に子を作らせた。ヒューゴは王弟の息子で、この国で唯一の王家の血を引くものだ』
「唯一ってライデン。…まだ国王は死んでないよ」
ヒューゴの言葉にライデンは頭を垂れる。
『国王は直に死ぬ。其処の女が薬と称して差し出したものを飲んだ。止めておけと忠告したが…』
「え…」
「なにをっ、私はそんなことっ!」
側妃が慌てて弁解をする。
後ろに隠れている息子は、王の子ではないと知り、青白くなっているだけだ。
『側妃を「愛している」から、飲むのだと』
人は奇怪だ。
ライデンは頭を振って理解できないと呟いた。
当の側妃は、ライデンから伝えられた王の言葉に呆然としていた。
「ライデン…まだ出てこないでよ。ややこしくなるんだから」
急に頭上に現れたヒューゴの友人は、フンッとそっぽを向く。
周りから悲鳴があがり、次々に貴族たちが床に伏す。
我が国の王家の紋章には鳥の絵が象られている。
黄金色の鳥。
今、目の前にいる雷を纏う金色の大きな鳥と酷似していた。
「は…?、どうして、雷鳥が、姿を…まさか!私の息子の立太子を祝して!?」
『んなわけあるか』
側妃の言葉を我が国の守護鳥がばっさりと切り捨てる。
『ヒューゴが平民になるのならば、私もそれについて城を出ていく』
「は?」「えっ」
側妃だけではない、周りの貴族も、大臣もみな伏せていた頭を上げた。
「どうして!」
「何故ですか!」
「この城の守護は」
『なんでもなにもないだろう。我が祖先と約束を結んだのは王家の先祖。今この国にその血を引くのはヒューゴしか残らないのだから』
息を呑んだのは、宰相一人。
宰相は知っていたのか。
ヒューゴ自身も、この友人から聞かされ最近知った。
「どういうこと…」
『どうもこうもない。国王は種無しだ。先代国王はそれを知って、極秘で王妃と王弟に子を作らせた。ヒューゴは王弟の息子で、この国で唯一の王家の血を引くものだ』
「唯一ってライデン。…まだ国王は死んでないよ」
ヒューゴの言葉にライデンは頭を垂れる。
『国王は直に死ぬ。其処の女が薬と称して差し出したものを飲んだ。止めておけと忠告したが…』
「え…」
「なにをっ、私はそんなことっ!」
側妃が慌てて弁解をする。
後ろに隠れている息子は、王の子ではないと知り、青白くなっているだけだ。
『側妃を「愛している」から、飲むのだと』
人は奇怪だ。
ライデンは頭を振って理解できないと呟いた。
当の側妃は、ライデンから伝えられた王の言葉に呆然としていた。
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