婚約破棄された聖女はその力を失う

基本二度寝

文字の大きさ
上 下
3 / 3

番外 二

しおりを挟む
※誤って削除したため再UPです


【聖女と婚約破棄した王太子の国】


「は?魔物が一斉に押し寄せてきた?」

騎士団は対応に追われていた。
対魔物部隊の人員は無駄な経費として削減されていた。

おかげで、水際の対処が遅れ王都にも魔物が入り込んでいた。
城に常駐している近衛騎士が駆り出される事態になっていた。

「なんで急にこんなことに…」

王太子は頭を抱えた。
前線の部隊から聖女の治癒を望むと伝令が入ったが、聖女は数時間前に帝国の王が連れ去った。

しかも王太子との婚約破棄は正規の手順を踏んでいるため、誘拐と訴えることもできない。

いらぬと破棄した聖女に力を貸してほしいと泣きついた所で、聖女を抱え込んでいた皇帝がすんなり差し出すとも思えない。


王城も国王も王太子も、混乱していた。


だから、王太子の側にいた妖艶な女が姿を消していたことに誰も気づかなかった。

----

【聖女ではなくなった女の父】

聖女プリシラの父であるギリムは震えていた。

ずっと守られていた加護が消えてしまったことに気づいたからだ。

慌てて手練の傭兵を用心棒代わりに雇った。
それでも不安は消えない。

王族相手に荒稼ぎしていた自覚はあった。

バレたとしても聖女の加護で手出しできまいとたかを括っていた。
雇っていた女から「皇帝には気づかれている」と聞いても、だったらどうだと鼻で笑った。

また、結婚前に女を忍ばせて婚約を破棄させれば、大金が入るとしか考えていなかった。

まさか、【聖女の力】を失わせるなど考えてもいなかった。

アレにはそれしか価値がなかったというのに。

糞が。

ギリムは聖女の父であったが、ただの一貴族だ。
娘を盾にして敵を多く作りすぎていた。

どうすれば。
どうすれば。


今まで信じたこともなかった神にひたすら祈り続けた。

破滅へのカウントダウンが始まっていた。

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

婚約破棄されましたが気にしません

翔王(とわ)
恋愛
夜会に参加していたらいきなり婚約者のクリフ王太子殿下から婚約破棄を宣言される。 「メロディ、貴様とは婚約破棄をする!!!義妹のミルカをいつも虐げてるらしいじゃないか、そんな事性悪な貴様とは婚約破棄だ!!」 「ミルカを次の婚約者とする!!」 突然のことで反論できず、失意のまま帰宅する。 帰宅すると父に呼ばれ、「婚約破棄されたお前を置いておけないから修道院に行け」と言われ、何もかもが嫌になったメロディは父と義母の前で転移魔法で逃亡した。 魔法を使えることを知らなかった父達は慌てるが、どこ行ったかも分からずじまいだった。

婚約破棄騒動の裏で僕らはのんびりと愛を育む。ありがたいことに出世しました。

うめまつ
恋愛
婚約破棄をした一粒種の皇太子と男爵令嬢がご成婚。皇太子ご夫妻となられた。陛下の采配に下々は大人しく従うだけ。特に側近の一人とは言え、雑用係の僕なんかね。でもまさか皇太子ご夫妻を真似て婚約破棄が流行るなんて。………僕らは巻き込まれたくないなぁ。え?君も婚約破棄してみたい?ちょっと待ってよ! ※会話のみです。コメディ感やテンポの良さなど何もありません。でもこういう地味なイチャイチャを見たくなりました。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

王太子から婚約破棄……さぁ始まりました! 制限時間は1時間 皆様……今までの恨みを晴らす時です!

Ryo-k
恋愛
王太子が婚約破棄したので、1時間限定でボコボコにできるわ♪ ……今までの鬱憤、晴らして差し上げましょう!!

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

寡黙な侯爵令嬢が笑う時

夜桜
恋愛
「アイナ、婚約破棄する」 口数少ない侯爵令嬢・アイナはその時を待っていた。 彼はきっと沈黙するって――。

処理中です...