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番外 一 ※若干の暴力表現有り
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※誤って削除したため再UPです
【リーズグッドの過去】
その日、リーズグッドは聖女の誕生を知った。
聖女の事は一応、人並みには知っていた。
聖女だとする子供に国の防衛を一任するシステムを十を二つ超えた程度にしか生きていない皇太子ですら異常性を感じていた。
興味を持ったのはそれが始まりだった。
密偵を放ち、彼女を探った。
どれほど高尚な者かと思えばただの年相応の女の子だったと言われて、更に興味を刺激した。
しかし、彼女の父は娘をただの金のなる木としか考えていないような人物だった。
教育と称して体罰を行う親だった。
骨が折れても肉が削げても、聖女は自身の力で治癒できる為、遠慮はなかった。
あまりの酷い惨状に密偵自身が助けようとしても聖女の加護のせいで近づくことができなかった。
プリシラの身体の傷は癒えても心の傷が癒やされることはなかったように思われた。
聖女に群がる者は多い。
恩恵を受けたい貴族や無償の治療を望む平民。
瀕死の子を差し出し、聖女の力を望む平民に父親は「金にもならん」とにべもなかった。
直接プリシラにすがりつき、癒やしを乞う平民に折れて治癒を施せば、聖女は父親から遠慮ない打撃を食らわされた。
倒れた聖女の血だまりに怯えた平民は、癒やされたばかりの子を連れて礼も言わずに走り去っていく。
密偵から聞く話はそんな話ばかりだった。
一切の感情を殺す密偵すら、聖女には同情的だった。
聖女なんて不幸でしかない。
どうにか彼女を助け出せないのか。
リーズグッドが初めて皇帝であった父に望んだことは聖女を婚約者にすることだった。
【リーズグッドの過去】
その日、リーズグッドは聖女の誕生を知った。
聖女の事は一応、人並みには知っていた。
聖女だとする子供に国の防衛を一任するシステムを十を二つ超えた程度にしか生きていない皇太子ですら異常性を感じていた。
興味を持ったのはそれが始まりだった。
密偵を放ち、彼女を探った。
どれほど高尚な者かと思えばただの年相応の女の子だったと言われて、更に興味を刺激した。
しかし、彼女の父は娘をただの金のなる木としか考えていないような人物だった。
教育と称して体罰を行う親だった。
骨が折れても肉が削げても、聖女は自身の力で治癒できる為、遠慮はなかった。
あまりの酷い惨状に密偵自身が助けようとしても聖女の加護のせいで近づくことができなかった。
プリシラの身体の傷は癒えても心の傷が癒やされることはなかったように思われた。
聖女に群がる者は多い。
恩恵を受けたい貴族や無償の治療を望む平民。
瀕死の子を差し出し、聖女の力を望む平民に父親は「金にもならん」とにべもなかった。
直接プリシラにすがりつき、癒やしを乞う平民に折れて治癒を施せば、聖女は父親から遠慮ない打撃を食らわされた。
倒れた聖女の血だまりに怯えた平民は、癒やされたばかりの子を連れて礼も言わずに走り去っていく。
密偵から聞く話はそんな話ばかりだった。
一切の感情を殺す密偵すら、聖女には同情的だった。
聖女なんて不幸でしかない。
どうにか彼女を助け出せないのか。
リーズグッドが初めて皇帝であった父に望んだことは聖女を婚約者にすることだった。
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