4 / 4
四 ※近況ボードに上げていた小話
しおりを挟む
「アラージオ。なんか今日は機嫌が良いね」
王太子妃のルシュークルは、夫の笑顔につられて微笑んだ。
ここのところ、頭の痛い案件があるのだと妻の胸に顔を埋めて甘えてくるのだ。
外では王太子として毅然と振る舞う夫に惚れ直しているのだけれど、こうやって可愛らしく甘える夫も愛おしい。
「うん。ようやく問題が片付いたんだよ。
あ、そうそう。弟が浮気してベルナデッタ嬢を悲しませたから、別れさせた。
彼女には申し訳ないので、叔父上のところに行くように手配しておいたよ」
「ええっ!ベルナ姉様がいながら浮気ですって!アラージオの弟でも許せない!お仕置きしないと!」
「ふふふ。お仕置きしてベルナデッタ嬢にごめんなさいさせたから大丈夫だよ。でももう彼女とは上手くいかないだろうからね。…叔父上の枷になってもらえれば」
「かせ…?」
ルシュークルは首を傾げる。
「叔父上は物分りよく王族から抜けてさっさと隠居したでしょ?…妙なことを考える前に足枷つけ…いや、奥さんが居たほうが、叔父上の人生も華やかになるかなぁーとね?」
「そっかー叔父様ならお姉様を大事にしてくれそうだものね!アラージオありがとう!尊敬する姉様の為に」
「いいよ。君が彼女を姉と慕うなら。…まだ価値はあるか」
「アラージオ?」
王太子は妻の唇に口付けて、彼女が何も考えられなくまで愛したのだった。
王太子妃のルシュークルは、夫の笑顔につられて微笑んだ。
ここのところ、頭の痛い案件があるのだと妻の胸に顔を埋めて甘えてくるのだ。
外では王太子として毅然と振る舞う夫に惚れ直しているのだけれど、こうやって可愛らしく甘える夫も愛おしい。
「うん。ようやく問題が片付いたんだよ。
あ、そうそう。弟が浮気してベルナデッタ嬢を悲しませたから、別れさせた。
彼女には申し訳ないので、叔父上のところに行くように手配しておいたよ」
「ええっ!ベルナ姉様がいながら浮気ですって!アラージオの弟でも許せない!お仕置きしないと!」
「ふふふ。お仕置きしてベルナデッタ嬢にごめんなさいさせたから大丈夫だよ。でももう彼女とは上手くいかないだろうからね。…叔父上の枷になってもらえれば」
「かせ…?」
ルシュークルは首を傾げる。
「叔父上は物分りよく王族から抜けてさっさと隠居したでしょ?…妙なことを考える前に足枷つけ…いや、奥さんが居たほうが、叔父上の人生も華やかになるかなぁーとね?」
「そっかー叔父様ならお姉様を大事にしてくれそうだものね!アラージオありがとう!尊敬する姉様の為に」
「いいよ。君が彼女を姉と慕うなら。…まだ価値はあるか」
「アラージオ?」
王太子は妻の唇に口付けて、彼女が何も考えられなくまで愛したのだった。
55
お気に入りに追加
181
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
屋敷のバルコニーから突き落とされて死んだはずの私、実は生きていました。犯人は伯爵。人生のドン底に突き落として社会的に抹殺します。
夜桜
恋愛
【正式タイトル】
屋敷のバルコニーから突き落とされて死んだはずの私、実は生きていました。犯人は伯爵。人生のドン底に突き落として社会的に抹殺します。
~婚約破棄ですか? 構いません!
田舎令嬢は後に憧れの公爵様に拾われ、幸せに生きるようです~
婚約者に捨てられたので殺される前に言葉も交わしたことのない人と逃げることにしました。
四折 柊
恋愛
家のために王太子の婚約者として生きてきた日々。ところがその婚約者に捨てられて家族には死を受け入れろと毒を渡される。そんな私にここから逃げようと手を差し伸べてくれたのは言葉も交わしたことのない人でした。 ※「婚約者に捨てられて死を待つ令嬢を連れて逃げた男の話」の対になる女性目線のお話です。こちらを読んで頂ければより分かりやすいと思います。
私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?
狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」
「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」
「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」
「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」
「だから、お前の夫が俺だって──」
少しずつ日差しが強くなっている頃。
昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。
……誰コイツ。
【完結】何度ループしても私を愛さなかった婚約者が言い寄ってきたのですが、あなたとの白い結婚は10回以上経験したので、もう信じられません!
プラネットプラント
恋愛
ヘンリエッタは何度も人生を繰り返している。それでわかったことは、王子と結婚すると、絶望して自殺することだった。
訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?
naturalsoft
恋愛
私の前世は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者だった。しかし、光魔法の使える男爵令嬢に汚名を着せられて、婚約破棄された挙げ句、処刑された。
私は最後の瞬間に一族の秘術を使い過去に戻る事に成功した。
しかし、イレギュラーが起きた。
何故か宿敵である男爵令嬢として過去に戻ってしまっていたのだ。
欲に負けた婚約者は代償を払う
京月
恋愛
偶然通りかかった空き教室。
そこにいたのは親友のシレラと私の婚約者のベルグだった。
「シレラ、ず、ずっと前から…好きでした」
気が付くと私はゼン先生の前にいた。
起きたことが理解できず、涙を流す私を優しく包み込んだゼン先生は膝をつく。
「私と結婚を前提に付き合ってはもらえないだろうか?」
完結 王子は貞操観念の無い妹君を溺愛してます
音爽(ネソウ)
恋愛
妹至上主義のシスコン王子、周囲に諌言されるが耳をを貸さない。
調子に乗る王女は王子に婚約者リリジュアについて大嘘を吹き込む。ほんの悪戯のつもりが王子は信じ込み婚約を破棄すると宣言する。
裏切ったおぼえがないと令嬢は反論した。しかし、その嘘を真実にしようと言い出す者が現れて「私と婚約してバカ王子を捨てないか?」
なんとその人物は隣国のフリードベル・インパジオ王太子だった。毒親にも見放されていたリリジュアはその提案に喜ぶ。だが王太子は我儘王女の想い人だった為に王女は激怒する。
後悔した王女は再び兄の婚約者へ戻すために画策するが肝心の兄テスタシモンが受け入れない。
【短編】「これが最後でしてよ」と婚約者に言われた情けない王子の話
宇水涼麻
恋愛
第三王子である僕は学園の卒業パーティーで婚約者シルエリアに婚約破棄を言い渡す……
ことができなかった。
僕はこれからどうなってしまうのだろう。
助けを求めた僕にシルエリアはこう言った。
「これが最後でしてよ」
4000文字のショートストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる