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「結婚するので姉様は出ていってもらえますか?」

城を賜って一年。
妹のメイピアが突然そんなことを言い出した。

「急に何ですか」
「だって、うちには王子が婿入りするのよ?姉様だってこのまま妹夫婦のいる家に居続けて肩身が狭い思いをするのはいやでしょう?」

メイピアは初めて王城に呼び出されたあの日、ただでは帰れぬと、たまたまお見かけした第五王子に取り入ってなんと婚約者に収まった。

そして王子の臣籍降下に伴い、我が家は陞爵が決まっている。

「そうだなぁ…メイピアはこのように家に貢献してくれているがジュリアは特に、なぁ…」
「お父様」

メイピアに同調する父も、城を賜ってからから仕事をやめた。

この元神殿である城の維持と修繕費を毎月国から頂くようになり、何店舗か持っていた商店を全て売り払ってしまったのだ。

商店すべての店舗が黒字で進行していたのもジュリアの手腕だったけれど、一言もなしにあっさり売却され、ジュリアは仕事を奪われた。

なので、現在貢献していない、と言われれば確かにそうなのだけれど。

「…一応生活費は家に入れているのですが」

商店の売却先に頭を下げて雇ってもらった。
給料は高くはないけれど、また慣れた仲間と仕事ができることのほうが良かった。

「あの程度で」
「お父様。前々から申し上げておりますが、城の維持費は維持修繕のために使ってください。
そのために国から補助を頂いているのです」

何度もそれは生活費ではないのだと忠告したのだが、一向に聞き入れてもらえなかった。

「うるさい。当主は私だ!メイピアの言う通りお前には家を出ていってもらう!!」

ジュリアは父の言葉にショックを受け、また、父も頭にきていたため忘れていた。


『城で家族仲良く生活してほしい』

陛下から城と共に賜っていた言葉を。



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