花嫁は忘れたい

基本二度寝

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結婚式当日。

レイアは夫となる男を見上げた。

婚約の顔合わせの日、二人きりになった途端この男は言い放った。

「私には愛人がいる。これは政略的な物だ。結婚後は愛人を家に入れる。お前はお飾りで良い。割り切っておけ」

釣書を見てから、この日を楽しみにしていた気持ちはそこで砕かれた。

あくまで家同士の繋がりの為。
はっきりと思い知らされた。

レイアはこの男に関心を持っていない。
嫌いではない。無関心。
どうでも良い人間だと思っている。

レイアは正面を向いた。
神父が述べる有り難い言葉は右から左へ流れていく。

誓いの言葉は省略すると夫となる男が言っていた。
このままぼぉっと終わるまで立っておけばよかったはずなのだが。

式の途中、ひじで突かれた。
なんだと隣を目だけ動かして見上げる。

男が睨んで口をパクパクさせている。

なんなのだ。

正面の神父もじっと此方をみつめて何かを待っていた。

「なんですか?」

「えっ」

神父が慌てたように、「誓いますか?」と宣う。

「?何をですか?」

周囲がざわつく気配がした。

「夫婦の誓いだっ」

男が小声で伝えてきた。

「?省略するとおっしゃってましたよね。誓いませんよ。そんなものは愛人に誓って下さい」

「なっ」

男が驚いていた。なんで?

神父は会話が聞こえていたのか、目を丸くしていたが、一つ咳払いをして、もう一度「誓いますか」と尋ねてきたが、レイアは無視をした。

慌てて男が「誓います」と返したが、神父は微妙な顔をしたまま式は進行していった。
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