2 / 14
ニ
しおりを挟む
結婚式当日。
レイアは夫となる男を見上げた。
婚約の顔合わせの日、二人きりになった途端この男は言い放った。
「私には愛人がいる。これは政略的な物だ。結婚後は愛人を家に入れる。お前はお飾りで良い。割り切っておけ」
釣書を見てから、この日を楽しみにしていた気持ちはそこで砕かれた。
あくまで家同士の繋がりの為。
はっきりと思い知らされた。
レイアはこの男に関心を持っていない。
嫌いではない。無関心。
どうでも良い人間だと思っている。
レイアは正面を向いた。
神父が述べる有り難い言葉は右から左へ流れていく。
誓いの言葉は省略すると夫となる男が言っていた。
このままぼぉっと終わるまで立っておけばよかったはずなのだが。
式の途中、ひじで突かれた。
なんだと隣を目だけ動かして見上げる。
男が睨んで口をパクパクさせている。
なんなのだ。
正面の神父もじっと此方をみつめて何かを待っていた。
「なんですか?」
「えっ」
神父が慌てたように、「誓いますか?」と宣う。
「?何をですか?」
周囲がざわつく気配がした。
「夫婦の誓いだっ」
男が小声で伝えてきた。
「?省略するとおっしゃってましたよね。誓いませんよ。そんなものは愛人に誓って下さい」
「なっ」
男が驚いていた。なんで?
神父は会話が聞こえていたのか、目を丸くしていたが、一つ咳払いをして、もう一度「誓いますか」と尋ねてきたが、レイアは無視をした。
慌てて男が「誓います」と返したが、神父は微妙な顔をしたまま式は進行していった。
レイアは夫となる男を見上げた。
婚約の顔合わせの日、二人きりになった途端この男は言い放った。
「私には愛人がいる。これは政略的な物だ。結婚後は愛人を家に入れる。お前はお飾りで良い。割り切っておけ」
釣書を見てから、この日を楽しみにしていた気持ちはそこで砕かれた。
あくまで家同士の繋がりの為。
はっきりと思い知らされた。
レイアはこの男に関心を持っていない。
嫌いではない。無関心。
どうでも良い人間だと思っている。
レイアは正面を向いた。
神父が述べる有り難い言葉は右から左へ流れていく。
誓いの言葉は省略すると夫となる男が言っていた。
このままぼぉっと終わるまで立っておけばよかったはずなのだが。
式の途中、ひじで突かれた。
なんだと隣を目だけ動かして見上げる。
男が睨んで口をパクパクさせている。
なんなのだ。
正面の神父もじっと此方をみつめて何かを待っていた。
「なんですか?」
「えっ」
神父が慌てたように、「誓いますか?」と宣う。
「?何をですか?」
周囲がざわつく気配がした。
「夫婦の誓いだっ」
男が小声で伝えてきた。
「?省略するとおっしゃってましたよね。誓いませんよ。そんなものは愛人に誓って下さい」
「なっ」
男が驚いていた。なんで?
神父は会話が聞こえていたのか、目を丸くしていたが、一つ咳払いをして、もう一度「誓いますか」と尋ねてきたが、レイアは無視をした。
慌てて男が「誓います」と返したが、神父は微妙な顔をしたまま式は進行していった。
137
お気に入りに追加
805
あなたにおすすめの小説
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【本編完結】独りよがりの初恋でした
須木 水夏
恋愛
好きだった人。ずっと好きだった人。その人のそばに居たくて、そばに居るために頑張ってた。
それが全く意味の無いことだなんて、知らなかったから。
アンティーヌは図書館の本棚の影で聞いてしまう。大好きな人が他の人に囁く愛の言葉を。
#ほろ苦い初恋
#それぞれにハッピーエンド
特にざまぁなどはありません。
小さく淡い恋の、始まりと終わりを描きました。完結いたします。
好きだと言ってくれたのに私は可愛くないんだそうです【完結】
須木 水夏
恋愛
大好きな幼なじみ兼婚約者の伯爵令息、ロミオは、メアリーナではない人と恋をする。
メアリーナの初恋は、叶うこと無く終わってしまった。傷ついたメアリーナはロメオとの婚約を解消し距離を置くが、彼の事で心に傷を負い忘れられずにいた。どうにかして彼を忘れる為にメアが頼ったのは、友人達に誘われた夜会。最初は遊びでも良いのじゃないの、と焚き付けられて。
(そうね、新しい恋を見つけましょう。その方が手っ取り早いわ。)
※ご都合主義です。変な法律出てきます。ふわっとしてます。
※ヒーローは変わってます。
※主人公は無意識でざまぁする系です。
※誤字脱字すみません。
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜
よどら文鳥
恋愛
※当作品は全話執筆済み&予約投稿完了しています。
夫婦円満でもない生活が続いていた中、旦那のレントがいきなり離婚しろと告げてきた。
不倫行為が原因だと言ってくるが、私(シャーリー)には覚えもない。
どうやら騎士団長との会話で勘違いをしているようだ。
だが、不倫を理由に多額の金が目当てなようだし、私のことは全く愛してくれていないようなので、離婚はしてもいいと思っていた。
離婚だけして慰謝料はなしという方向に持って行こうかと思ったが、レントは金にうるさく慰謝料を請求しようとしてきている。
当然、慰謝料を払うつもりはない。
あまりにもうるさいので、むしろ、今までの暴言に関して慰謝料請求してしまいますよ?
【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから
よどら文鳥
恋愛
私ヒマリ=ファールドとレン=ジェイムスは、小さい頃から仲が良かった。
五年前からは恋仲になり、その後両親をなんとか説得して婚約まで発展した。
私たちは相思相愛で理想のカップルと言えるほど良い関係だと思っていた。
だが、レンからいきなり婚約破棄して欲しいと言われてしまう。
「俺には最愛の女性がいる。その人の幸せを第一に考えている」
この言葉を聞いて涙を流しながらその場を去る。
あれほど酷いことを言われってしまったのに、私はそれでもレンのことばかり考えてしまっている。
婚約破棄された当日、ギャレット=メルトラ第二王子殿下から縁談の話が来ていることをお父様から聞く。
両親は恋人ごっこなど終わりにして王子と結婚しろと強く言われてしまう。
だが、それでも私の心の中には……。
※冒頭はざまぁっぽいですが、ざまぁがメインではありません。
※第一話投稿の段階で完結まで全て書き終えていますので、途中で更新が止まることはありませんのでご安心ください。
運命の恋は一度だけ
豆狸
恋愛
王宮から招かれているのです。
マルクス殿下の十歳の誕生パーティへ行かないわけにはいきません。
けれど行きたいとは思えませんでした。行ったら、なにか恐ろしいことが起こりそうな気がするのです。今すぐにではなく、もっと未来、時間を経た後に……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる