花嫁は忘れたい

基本二度寝

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十一

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「それは、違うのです。それは、レイアとちょっとした諍いの時に…本気ではないのです…」

上手い言い訳も思いつかず、必死に訴えても両親達の視線は厳しいままだった。

「喧嘩如きで血判を押させるものですか。そのせいでこれは正式な契約書となりますから。…無理やり署名させたとしてもね」

男は拳を握る。
結婚式に浮かれすぎていた。
レイアが感激して喜んでくれるとばかりに思っていたから、そんな契約など二の次になっていた。

まさか、両親に知られているとは思っていなかった。

「この契約通り、レイアはこの屋敷には入れないし、貴方に抱かせるつもりはないし、子供はそこの愛人と作りなさいね」

「そんなっ!レイアは妻です!!」

男は必死だった。しかし

「紙の上だけのね」

両親たちの視線は冷たかった。

「レイアはお前の妻だが、二度と会わせるつもりもないし、会うこともない。他の貴族には領地に居るとでも言って愛人を代わりに社交に連れ回せば良い」

「嫌です!父様、彼女は今どこに」

父は、さぁ?と肩を竦めた。

「…ならば、レイアを探します…」

「仕事を放棄し探すというならば、当主不適合としてお前を次期当主から外す。当主故、家同士の繋がりを持ってもらったレイアとは離縁してもらう。
お前の弟と再婚してもらうためにな」

「っ離縁!?横暴です!」
「違う。婚約の契約にあることだ。どうする。レイアを探す為に当主の仕事を放棄するなら、レイアと離縁させる。
離縁がいやなら、このままレイア不在で愛人と共にやっていくしかない。どうする。」

「私は離縁など認めない!」
「婚約の時に、私はお前の了承をとったか?」

貴族同士の結婚だったから、「婚約者が決まった」と事後報告だった。

男はその場から逃げ出した。


当主の座もレイアも諦められない。

両親たちがレイアを匿っているのなら安全な場所にいるのだろう。
ひとまず、仕事に励んで誠意ある姿を見てもらうしかない。
しかし、こんな時に限って執務に問題が発生し対応に追われた。
数ヶ月後に落ち着き、ようやくレイアを探そうと思った矢先、愛人が孕んだ。
レイアを想っているはずなのに、身体は慣れた愛人を求めていた。

愛人と生まれてくる子。

男はレイアの帰還を望みながら、レイアの居場所がすでに無いことに気づきもせず、人を使って彼女を探し続けた。

しかし、見つかったという報告は三人目の子が出来た今も、されていない。

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