元婚約者を抱くのは

基本二度寝

文字の大きさ
上 下
1 / 6

しおりを挟む
婚約者との二人だけのお茶会。
好きな茶葉を楽しんでいた。

王宮にいる時間の殆どは勉強尽くめで、この時間だけはそれらから解放される貴重な休憩時間なのだ。


「婚約解消したい」

前触れもなく、対面に座る婚約者の王太子はそう告げた。

公爵令嬢のナタリーは、気持ち的にはこのまま即了承したいと思った。
妃教育にはうんざりしていた。
しかし、きっとその対応は今はまだ王太子の婚約者としては間違ったものだろう。

どうしてなのか理由を聞いて、眉を下げ悲しみを演じなければならない。


…面倒くさいな。

ナタリーは目を閉じ、カップに口をつけどう回答すべきか悩んでいた。


「君に落ち度はない。貴族令嬢、王太子の婚約者としても申し分ない」

「…ならばなにを理由に解消を望まれるのですか?」

こちらの返答を待たずに話を進められたのでつい質問を返してしまった。

「この国の何処かで聖女が覚醒したと情報を得たんだ」

聖国の教会本部の神官がこの国に入ったことは知っている。
まさか聖女探しの為だとは思わなかった。


「聖女は重要な役目を持った女性だ。王族に娶り、この国の手助けをしてもらいたいと考えている」

「…つまり、殿下は聖女様と結婚したいので婚約を解消したいと。」

「理解が早くて助かるよ」

にこにこと笑う王太子殿下は此方が拒否するとは考えていないようだった。

もちろん了承一択だ。


「かしこまりました。殿下ぜひ聖女様を幸せにしてくださいませ」

「君が望むのなら、側室になれるよう計らうけれど」

「いいえ。聖女様の心を不安にさせるわけにはまいりません。私のことはお気になさらず」

「そう…?困ったことがあるなら力になるから」

婚約を解消された令嬢の行く末を心配しているのだろう。

だが、ナタリーは目の前に自由を提示されて浮かれていた。

こうして、この茶会をもって王太子殿下とナタリー公爵令嬢は別の道を歩むこととなった。
国王陛下は息子の申し出に驚いたが、もとより聖女を囲え込むことを考えていた為、王太子の案に乗り、婚約は正式に解消された。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】魅了が解けたあと。

恋愛
国を魔物から救った英雄。 元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。 その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。 あれから何十年___。 仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、 とうとう聖女が病で倒れてしまう。 そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。 彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。 それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・ ※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。 ______________________ 少し回りくどいかも。 でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

舞台装置は壊れました。

ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。 婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。 『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』 全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り─── ※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます 2020/10/30 お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) 2020/11/08 舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番 すれ違いエンド ざまぁ ゆるゆる設定

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

拝啓 私のことが大嫌いな旦那様。あなたがほんとうに愛する私の双子の姉との仲を取り持ちますので、もう私とは離縁してください

ぽんた
恋愛
ミカは、夫を心から愛している。しかし、夫はミカを嫌っている。そして、彼のほんとうに愛する人はミカの双子の姉。彼女は、夫のしあわせを願っている。それゆえ、彼女は誓う。夫に離縁してもらい、夫がほんとうに愛している双子の姉と結婚してしあわせになってもらいたい、と。そして、ついにその機会がやってきた。 ※ハッピーエンド確約。タイトル通りです。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

あなたをかばって顔に傷を負ったら婚約破棄ですか、なおその後

アソビのココロ
恋愛
「その顔では抱けんのだ。わかるかシンシア」 侯爵令嬢シンシアは婚約者であるバーナビー王太子を暴漢から救ったが、その際顔に大ケガを負ってしまい、婚約破棄された。身軽になったシンシアは冒険者を志して辺境へ行く。そこに出会いがあった。

処理中です...