逃した番は他国に嫁ぐ

「番が現れたら、婚約を解消してほしい」

婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。

獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。

だから、グリシアも頷いた。

「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」

グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。

こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
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