上 下
2 / 3

しおりを挟む
「ロンバート様っもうお止めになってください」

婚約者のロンバートはいつも他の令嬢を連れている。
再三に渡り注意をしてきた。
しかし、

「また嫉妬かい?ネフィは可愛いね。愛してるよ」

ロンバートは女受けのする甘い笑顔を見せる。

「嫉妬などでは!」

ロンバートの浮気で、令嬢達からは魅力のない女と蔑まされた。
男の浮気は勲章だ。彼の仲間内のそんなやりとりを聞かされ、彼の友人からも「女の扱いに慣れるのは君のためだから許してあげな」などと無責任な事を言われていた。

そんな理由で納得できるはずもない。

「ネフィが一番だし、結婚するのはネフィだけ。だからね?今はしょうがないよね?貴族の婚姻は主体の教会が純潔が求めるし、私も余所で発散させないと君を傷つけてしまうかもしれない。そうなったら結婚できないだろう?
君のためだからさ…ね?」

幼子に言い聞かせるように優しく諭す。
ロンバートの腕に腕を絡めてくっついている令嬢は、優越の顔でネフィーロに笑顔を向ける。

貴族の婚姻は純潔を求めるなら、その腕にくっついている令嬢はどうするのだ。

「ああ、彼女の婚約者は彼女に盲目だからね。純潔じゃなくても結婚してくれるよ。男爵家に嫁ぐんだから、平民みたいなものだろう?
むしろ男に慣れていたほうが相手も喜んでくれるんじゃないかな」

「ふふ、そうですね。今日も…いっぱい教えてくださいね?ロンバート様」

令嬢の目はうっとりとロンバートを見上げている。
ロンバートは適当にネフィーロに別れを告げ、いそいそと彼女と馬車に乗り込んで、走り去った。
そんなに二人きりになりたかったのか。

ポタポタと涙が頬を伝い流れ落ちて行く。

ロンバートとの婚約は家族も喜んでくれていた。
貴族学園の憧れだった彼から、まさか我が家に縁談がくるとは思っていなかった。


「可愛い子だなと思ってたんだ。これからよろしくね」

婚約が成立したその日、ロンバートに好きだと言われて舞い上がった。

その後、ネフィーロとの顔合わせの後、ロンバートは女を呼びつけ、朝まで愛し合ったと知ったのは、相手の女からが嬉しそうに報告してきたからだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

王子と王女の不倫を密告してやったら、二人に処分が下った。

ほったげな
恋愛
王子と従姉の王女は凄く仲が良く、私はよく仲間外れにされていた。そんな二人が惹かれ合っていることを知ってしまい、王に密告すると……?!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

男子から聖女と言われている同級生に彼氏を奪われた。その後、彼氏が・・・

ほったげな
恋愛
私には婚約もしている彼氏がいる。しかし、男子からは聖女と言われ、女子からは嫌われている同級生に彼氏と奪われてしまった。婚約破棄して、彼のことは忘れたのだが、彼氏の友人とばったり会ってしまう。その友人が話す彼氏の近況が衝撃的で……!?

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

処理中です...