色が導く世界

Curo

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23話 魔導施設

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俺は今、魔導施設にいる。

施設は一般公開されているらしく、難なく入る事が出来た。

施設内は各エリアに分かれていた。
入り口に貼ってあった案内板によると、1Fは古代文献解読エリア、魔導機器研究エリア、一般用図書施設、食堂エリア、魔法歴史エリア
などに分かれていた。

俺が行く場所は古代文献エリアもしくは、一般図書施設位か?
他の場所も回ってみたいが優先するはこの状況を知る事。

早速、簡単に入れそうな一般図書施設に行くことにした。

通路を歩いてると、目に入ってくるは沢山の子供と親そして、学校の先生っぽい感じの人。
多分ここは、元居た世界で言う社会科見学的な事にうってつけの施設なのだろう。


そして、目の前に一般図書施設と書いてある案内板が見えた。
早速、中に入ろうとすると目の前に身分証を呈示してくださいと書いてある紙が貼ってあった。
俺はアイテムボックスを探したが身分証がどこにもない。

持ってき忘れたのだ。

どうするか。

悩んだ末に、受付にいる女性の獣人に話しかけた。
「あの・・・」
「はい!ようこそ図書施設へ、どうかなさいました?」
「俺、身分証持ってないんですけど、中に入れますか?」
「身分証をお持ちでない、ふむふむ、紹介状や身元を証明できるご友人はいらっしゃいますか?」
「いえ、一人で来たので・・・あっ!」
俺は司祭様から頂いた紹介状がある事に気が付いた。
「これしか無いんですけど」
俺は、受付に紹介状を差し出した。
受付の女性は封を開けて中を確認した。
「証書お待ちください」
そう言って受付の女性はどこかに走っていった。

10分経つがいまだに戻ってこない。
しょうがないので廊下に置いてある椅子に腰を掛けて待つことに。

こうやって待ってるのが辛い。
本当だったらスマホのアプリなどをやって時間をつぶしたい所だが、そんな物はこの世界には存在しない。
なので、最近見てなかった自分のステータスを確認する事にした。

なんだかんだ言って色々戦闘を繰り返してきたから、レベルもそれなりに上がっているはず。
でも、もしも上がってなかったら・・・。

ドキドキしながらステータス画面を開いた。


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Lv27

自分探しをする男

属性 黒/虹

力   C 102(MAX999)

魔力  A 3351(MAX9999)

素早さ B 34(MAX99)

運   C 10 (MAX99)

総合  B-ランク

【スキル】

・黒の王の資質 Lv1
全ての能力が1.3倍上がる。

・デッドインストール Lv2
死者の魂をインストール出来る能力

・ヴァーチャルクリエイト Lv3
仮想を創造する事が出来る。
スキルや魔法などを創造する事は出来ない。
Lvに応じて出来る事が増える。

・魂玉スロット∞
魂玉を無限に継承できる。

・魔力蓄積Lv6
自分の周りの生命・物質から魔力を体内に取り込む事が出来る。
蓄積量はLvによって増減する。

・魔力開放 Lv7
自分の中で蓄積された魔力を開放できる。

【称号】
・黒王
黒の王の資質を持つ者に与えられる称号。
この称号を持つ者は黒の王が使える魔法、スキルを使う事が出来る。
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おぉ、結構レベルが上がってるなぁ。
全体的に伸びている。
しかもランクがB-。

しかもスキルも結構レベルが上がっている。
新しいスキルも覚えたみたいだ。

・・・ん?称号?

一番下に今回追加された称号と言う物があった。
黒王?
ふむふむ、よくわからないけどスキルやら魔法が何か変化するって事かな?

じゃあ、次は魔法を確かめてみるか。

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【攻撃魔法】
・インフェルノボール  Lv1
・インフェルノウォール Lv1
・インフェルノランス Lv1
・デッドランス Lv1
・スピリットドレイン Lv1
・xxxxxxx Lv-
・xxxxxxx Lv-
・xxxxxxxxxxvLv-


【召喚魔法】
・現世の門
・死者の門
・冥界の門
・覇者の門
・魔界の門
・神々の門

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なんだか物騒な名前になってる。
インフェルノって地獄とか死者の世界みたいな意味だったよな?
後で使って見るか。

こうやって考えてみるとこの世界は異世界だって再認識させられるな。
よし!早く謎を解いて元の世界に帰るぞ!

気づけは1時間以上経過していた。

遅い!遅すぎる!

「お待たせしました!」
やっと受付の女性が戻ってきた。
「はぁはぁ、お待たせしました、こちらがハル様の身分証になります」
「え?なんで俺の名前知ってるの?」
「えっと、ハル様から渡されたこの紹介状を上の者に見せたら発行していただけました」
「そうなんだ、助かるよ」
俺は、身分証と紹介状を渡された。

身分証は透明なガラスの様な質感だった。
カードの四隅には白い玉はめ込まれていた。

「ハル様、そちらの身分証は本登録がされていないので、ご自身で登録をお願いします」
「ご自身で登録?どうやって?」
「簡単にご説明しますね。そのカードを両手で挟んでくださいそのまま魔力を込めるとハル様のデータが保存されます」
俺は言われた通りにカードに魔力を込めた。
すると、カードが小さな光を放った。
そして、光はだんだんと小さくなり消えた。
「これでいいのかな?」
「はい、カードの四隅のオーブの色が変化していれば登録完了です」
俺は手を開きカードを確認した。
するとオーブは漆黒に染まり表面は虹色の光がかかっていた。
俺の魂玉にそっくりだな。

俺は自分のカードに視線を感じた。
正面を見てみると受付の女性が俺の身分証をまじまじ見ていた。
「黒色に虹色の光って初めて見ました」
俺はそそくさと身分証をしまい、逃げる様に目的の本を探しに行った。


とりあえず一通り見て回るか。
俺は沢山の本棚が並んでいるので端から適当に見て行った。
すると目の前に魔法書の仕切りが目に入ってきた。

うーん。
目の前には大量の魔法書が並んでいてどれが俺の求めるものなのか見当もつかない。
いくつかを手に取って見てみるも、求める情報が無し。
「あのう・・・」
ん?
「あのう、そこの魔法書上級編を取ってもらってもよろしいでしょうか?」
俺に言ってるのか?
小さな子供だった。

俺は、目線を上の方にやると、魔法書上級編があった。
それを手に取って子供に差し出してあげた。
「これでいいのか?」
「あ、ありがとうございます!」
ん?
どこかで見た事のある顔だった。
「シーラ?」
「え?ハルさん!」

やっぱりだ。
「こんな所で会うなんて奇遇だね」
シーラはニコっと微笑んだ。
「ハルさんはここで何をしてるんですか?」
「俺はロストマジックの事が書かれた本の原本を探してるんだよね」
「原本ですか?そんな貴重な本は一般公開されてないので古代文献解読エリアにあるとは思いますけど、普通の人は見る事や触る事は出来ませんよ?」
「まじか!どうするかなぁ」
「原本じゃないとダメなんですか?」
「だって、翻訳された本だと全部載って無いでしょ?」
「そうですね、実際は翻訳された部分しか載ってないですけどそれじゃダメなんですか?」
「そう、ダメなの」
はぁ、どうするかぁ。
いきなり壁にぶつかってしまった。

「ハルさんは原本を翻訳する事が出来るのですか?」
「わかんないけど、見れば何かわかる気がするんだよね」
「ハルさんこれを見てください」
そういってシーラはポケットから一枚の四つ折りにされた紙を取り出した。
「これは、原本の一部を書き写した物です」
「え?何で持ってるの?」
「私が持ってるのは置いといて、読めますか?読めませんか?」
シーラは期待した目で俺を見てた。
俺は、紙を広げてみた。
「え!?」
「どうしました?」
「いや、ちょっと待ってて」
俺はそのメモ帳を見て衝撃を受けた。
懐かしい文字だった。
そう!日本語だったのだ!
久しぶりに見た文字に少し目頭が熱くなった。

内容を見てみると。

俺は、この戦いを確実に終わらせる事が出来る。
だか、世界は滅ぶだろう。

滅んだ後の世界
俺は知っている。
もう一度あの世界へ
帰りたい。

俺がこの世界に来たのは
この為だった。

そしてこれを読んでいる、お前に伝える
道を間違えるな。

道を間違えれば全てが無に帰る。

メモはここまでだった。

「ふー、ありがとう」
「やっぱり読めませんでした?」
「いや、読めたよ」
「え!本当ですか?」
俺はメモの内容をシーラに伝えた。
ただ、少し意味は分からない。

誰に伝えたメッセージなのかもわからない。
「ハルさん、少しお時間よろしいですか?」
「え?あぁ。いいよ」
「私に付いてきてください」
そう言ってシーラは小さな手で俺の手を掴んで引っ張った。
シーラは一言も喋らないでドンドン通路を歩いていく。

そして、立ち止まった場所は。
【古代文献解読科】
え?どういう事?
シーラは扉に、身分証?を押し当てた。

ガチャ

扉が開いた。
「ハルさん入ってください」
「え?入っちゃダメなんでしょ?」

シーラは、俺の手をグッと強めに引っ張った。
そして、古代文献解読エリアに入ってしまったのだ。

「シーラ!ちょっと説明してくれよ!」
シーラは、パッと手を離すとクルッと回って俺を見て微笑んだ。

「申し遅れました、私は古代文献解読科の班長を務めてるシーラ・クラフトです」
「え!?どういうこと!」
シーラはニコッと微笑んだ。
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