色が導く世界

Curo

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11話 現世の門ってすごい!

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「その力与えよう」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
重そうな扉がゆっくりと開かれた。

開かれた扉から、光の玉がゆっくりと出てきた。

そして、俺の目の前で止まった。
俺は、その光を触ってみた。

光の玉は一瞬鋭い光を放ち、すぐに消えた。

「う、重たい・・・」
俺の手に握られたのは、俺のいた世界でテレビでよく見かける物だった。
鉄で出来ていて、人を殺すために作られた兵器。
黒光りするその姿は、まさに人の命を吸う為だけに作られた道具そのものだった。

世間一般では銃と言われている物だ。
「M4A1・・・これはいい銃だ」
俺は、元居た世界では銃や刀そういった武器が大好きでよくネットなどで調べては、いつか本物を触ってみたいと思っていた。
それが、このファンタジーな世界で叶うとは思ってもいなかった。
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M4A1カービン
属性 青

コルトM4A1カービンは、アメリカ軍特殊部隊専用のモデルとして開発された。
CQB(近接戦闘)において突出した性能をほこるため、近年では空挺師団や海兵隊などに属する兵士にも大量に支給されいる。
アメリカ軍を代表する自動小銃。

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先ほどまでの悲しみは、銃を手にした興奮と喜びの前では些細な事だった。

「ハル様、それは何ですか?」
ベルシアは、少し困惑した顔で聞いてきた。
「これは、M4A1という武器で、CQB(近接戦闘)に適した物なんだ」
さらにベルシアは困惑していた。
「それは、どうやって使う物なんでしょうか?」
「まぁ、見てな」
俺は、銃を構えモンスターを狙った。
そして、引き金を引いた!

ガチッ!
トリガーは、ビクともしなかった。
セーフティーが、かかっていたのだ。

少し冷たい空気が流れた。
「・・・まぁ、気を取り直して」
指で、セーフティーを解除しフルオートに切り替えた。
「よし!行くぞ!」
俺は勢い良くトリガーを引いた。

ズガガガガガガガガ!
「うわわわわわわ」
衝撃が強く狙いが定まらない。
ガガガガガガガガガガ!

そして、弾を全部撃ち終わった。
周囲は、火薬の匂いが漂っていた。

ベルシアは無言だった。
「・・・・・」

俺は、銃を下ろしモンスターのいた場所を確認した。
モンスターは頭は半分なくなり体は穴だらけの姿となっていた。
バシュ!
と、いう音と共に消滅した。

「す・・・すごい!ハル様これはどういった魔法なんでしょうか?」
ベルシアは、俺に駆け寄り銃を興味津々で見ていた。
「こんな魔法見た事無いですよ!」

普通だったら、あの強そうなモンスターが一瞬で倒せる武器を見たら女性は引いてしまうと思っていたが、ベルシアは逆に興味深々だった。
「怖くないの?」
俺はベルシアに聞いてみた。
「怖い?何でですか?この世界を生き抜くために必要なのは力じゃないですか!」
ベルシアの過去に何があったのか?
と、心配になるような発言だった。

ベルシアは銃を指さして言った。
「ハル様、それ少し持たせて頂いてもよろしいですか?」

「あ、あぁ」
俺は、銃をベルシアに渡した。
「少し、重いですね」
そういって、ベルシアは先ほど俺がやったように銃を構えた。
「こんなに小さい物であのモンスターを簡単に倒せるなんて・・・」
俺は、興味津々なベルシアをほっといて現世の門の前に立った。
「おい!現世の門!これはどういう事なんだ!説明してくれ!何で銃が出てくるんだ!」
現世の門の上部の石像が口を開いた。
「我が門は、汝のいた世界の色に応じた武器召喚することが出来る。ただ、それだけだ」
「やっぱり、俺の世界と繋がってるんじゃねーか!」

バサッ!
後ろから、何かが落ちる音が聞こえたので振り返った。
そこには、地面に倒れたベルシアの姿があった。
「べ、ベルシア!」
俺は、慌てて駆け寄った。
「ベルシア何があった?」
「申し訳ありません、この武器を持っていたら急に力が抜けてしまって・・・」
「現世の門!どういう事だ!」
「我が門から、召喚された武器は使用者の魔力を吸い取るのだ、魔力の少ない者が持てば魔力が枯渇し死に至る場合もある」

俺の場合は、スキルがあったから魔力が枯渇しなかったのか。
「武器を手放せば、魔力を吸い取られなくなるのか?」
「それは違う、手に持った使用者が武器を使用しない限り魔力は永遠に吸い取られる」
これ以上、魔力を吸い取られたらベルシアが死んでしまう。
この状態で武器を使用する事は不可能に近い。

「他に方法は無いのか?」
「我が門を閉じれば武器は自然と消える」
「じゃあ、閉じてくれ!」
「それは無理だ」
「なんでだよ!」
「閉じる為には、決まった手順を踏んで貰わないとダメだ!それがルールだ!」
「くそ!どうすればいい!」
「コマンド画面を開いて閉じるを押せば良い」
「・・・え?」
「コマンド画面を開いて閉じるを押せば良い、それだけだ」
俺は、急いでコマンド画面を開き、【とじる】を選択した。

ゴゴゴゴゴゴ!
扉が閉じ、銃も消え、現世の門も消えた。

ベルシアの顔色も良くなってきた。
銃が消えた事で、蓄積されていた魔力がベルシアに戻ったらしい。

結局、俺しか使えない武器なのね。
コマンド画面の【とじる】は、後々面倒な事になりそうなので、カスタムで使用後消える様に設定してみた。

カスタムって本当に便利。
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