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1月1日 Side涼12
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『それでなんなんですか?別れるって』
「……う、うん」
『悠木涼からか?あけおめ~どうした?別れたの?早くない?』
凪沙と連絡が取れなくなって、他に相談できるような人がいなくて東雲に電話をしたが、どうやら東雲はいつもの如く高坂と一緒にいるらしい。年明けから仲が良い奴らだ。
「別れてない!!………ただ、凪沙と連絡が取れなくなっただけで」
語尾がボソボソと小さくなっていく。
『凪沙さんと連絡つかないんですか?』
『ふーん。いつから?』
スピーカーにでもしているんだろう。2人が同時に質問をしてくる。
私は自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛けた。
「年越し前に電話するって約束したんだけど、電話しても出てくれなくて」
『約束ね……普段約束破るなんってことしないのにな?』
「それで今日は初詣に行く約束もしてて」
『1番混んでそうな日に初詣ですか……』
「別に初詣行けなくても凪沙に会いたかったから」
『惚気ですか?私は今日もちさきと一緒にいますけ――うっ!』
『余計な話はしなくていいから……あたしも今凪沙に電話するからちょっと待ってろ』
なんか携帯の向こうから鈍い音が聞こえたんだけど、大丈夫だろうか?
少し待っているとまたゴトゴトと音が聞こえてくる。
『凪沙に電話したんだけど出ないな。特に出かけるとかそういう事言ってなかったんだろ?でも、前に元彼のことで色々あったし心配だよな』
元彼……
「それが朝、凪沙からメッセージが届いたのがあったんだけど……」
『なんだ連絡来てるんじゃん』
「いや、ちょっとわからなくて……メッセージの内容が“ごめん“とかで……年越しの電話の約束できなかったことなのかと思ったんだけど、次のメッセージも“ごめんなさい。彼を“って届いて、それから既読もつかないし、電話も繋がらないし」
『ごめんなさい。カレを?なんだそれ?』
「彼って元彼のことを言っているのかもしれないし、よりを戻したいとかで私と別れるっていう意味なんじゃないかって――」
『あーそれで別れたくないって、ネガティブ涼になってんのか』
ネガティブ涼って……だって“彼を“なんて来たら考えちゃうじゃん。そりゃ凪沙の事信じてるからそんなことしないってわかってるんだけど……この間の元彼だって凪沙は嫌がってたし?
あ、でも他の元彼ということも……この間の元彼は高一の時の元彼だから、中学時代に付き合ってた元彼?それか、バイトする前まで付き合っていた元彼という可能性も……
「うぅぅ……」
『お、おい!?どうした?え?泣いてる!?いやいや、凪沙って悠木涼の事大好きだから変な心配しなくても大丈夫だって!』
ズズッと鼻をすすった。
高坂が珍しく優しい言葉をかけてくれる。
「だって……もし凪沙に別れるなんて言われたら……」
『大丈夫だって!あんたらまだ付き合って数日だろ!?そんなすぐ別れるなんて凪沙だって言わないって!』
「凪沙の元彼だって長く続かなかったんでしょ?」
『あ、あーまぁ……で、でも、それはあいつらがクズな奴らばかりだったからで!!』
「やっぱり男の人が良いってなったのかもしれないし……」
『そんなこと―――』
『凪沙さんは涼さんの事が好きですよ。今まで付き合って来た人はみんな相手から告白してきた人ばかりですが、涼さんには凪沙さんが告白するって言ってたんですよ?それだけで他の人とは違いますし、ちゃんと好きだと自覚して付き合い始めたんですから、ちゃんと自信持ってください』
東雲も私を励ましてくれる優しい……
ズズッと鼻を啜る。
『凪沙の家に行ったら?』
「え?」
『初詣行く約束してるんだろ?迎えに行ったらいいじゃん』
「う、うん。行く。これから行ってみる」
『はいはい。行ってこい。それで何かあったら連絡してくればいいからさ』
「ありがとう」
通話を終了させて、私はすぐ部屋着を脱いだ。
::::::
「恋すると女ってみんな面倒くさくなるんだな」
「涼さんと凪沙さんはそんな感じだね」
「…………(ジトーー)」
「何?ちさき」
「いや、みんな面倒くさくなるなって思ってな」
「涼さんと凪沙さんの話でしょ?」
「…………」
::::::
走って駅まで向かい電車に飛び乗った。
1月1日の電車内は割と混んでいる。色んなところへお出かけしている人なんだろう。両手に福袋を抱えた人もいる。
扉に寄りかかり流れる風景をなんとなく眺める。数駅離れた凪沙の家がある最寄り駅は何度行ったかわからない。最近は頻繁に、中学の頃は月に一度は行っていた。
携帯を見ても凪沙からの連絡はない。もうお昼も過ぎているっていうのに寝坊なんてことはないだろう。何かあったのかもしれない。急な家族の予定とか、携帯を家に忘れてしまったりだとか。
色々考えてみてはやっぱり朝の“ごめん““ごめんなさい。彼を“という文章の意味が繋がらないなと、結局は振り出しに戻っていく。
改札を出てある場所が目に入る。
中学の時ここで私はしゃがみ込んで朝から最悪だと頭を抱えて困っていた。そこで出会ったお姉さんに救われて、今は私の彼女になった。
私は彼女の家まで走る。
早く会いたいと駆ける足が速まっていく。
「……う、うん」
『悠木涼からか?あけおめ~どうした?別れたの?早くない?』
凪沙と連絡が取れなくなって、他に相談できるような人がいなくて東雲に電話をしたが、どうやら東雲はいつもの如く高坂と一緒にいるらしい。年明けから仲が良い奴らだ。
「別れてない!!………ただ、凪沙と連絡が取れなくなっただけで」
語尾がボソボソと小さくなっていく。
『凪沙さんと連絡つかないんですか?』
『ふーん。いつから?』
スピーカーにでもしているんだろう。2人が同時に質問をしてくる。
私は自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛けた。
「年越し前に電話するって約束したんだけど、電話しても出てくれなくて」
『約束ね……普段約束破るなんってことしないのにな?』
「それで今日は初詣に行く約束もしてて」
『1番混んでそうな日に初詣ですか……』
「別に初詣行けなくても凪沙に会いたかったから」
『惚気ですか?私は今日もちさきと一緒にいますけ――うっ!』
『余計な話はしなくていいから……あたしも今凪沙に電話するからちょっと待ってろ』
なんか携帯の向こうから鈍い音が聞こえたんだけど、大丈夫だろうか?
少し待っているとまたゴトゴトと音が聞こえてくる。
『凪沙に電話したんだけど出ないな。特に出かけるとかそういう事言ってなかったんだろ?でも、前に元彼のことで色々あったし心配だよな』
元彼……
「それが朝、凪沙からメッセージが届いたのがあったんだけど……」
『なんだ連絡来てるんじゃん』
「いや、ちょっとわからなくて……メッセージの内容が“ごめん“とかで……年越しの電話の約束できなかったことなのかと思ったんだけど、次のメッセージも“ごめんなさい。彼を“って届いて、それから既読もつかないし、電話も繋がらないし」
『ごめんなさい。カレを?なんだそれ?』
「彼って元彼のことを言っているのかもしれないし、よりを戻したいとかで私と別れるっていう意味なんじゃないかって――」
『あーそれで別れたくないって、ネガティブ涼になってんのか』
ネガティブ涼って……だって“彼を“なんて来たら考えちゃうじゃん。そりゃ凪沙の事信じてるからそんなことしないってわかってるんだけど……この間の元彼だって凪沙は嫌がってたし?
あ、でも他の元彼ということも……この間の元彼は高一の時の元彼だから、中学時代に付き合ってた元彼?それか、バイトする前まで付き合っていた元彼という可能性も……
「うぅぅ……」
『お、おい!?どうした?え?泣いてる!?いやいや、凪沙って悠木涼の事大好きだから変な心配しなくても大丈夫だって!』
ズズッと鼻をすすった。
高坂が珍しく優しい言葉をかけてくれる。
「だって……もし凪沙に別れるなんて言われたら……」
『大丈夫だって!あんたらまだ付き合って数日だろ!?そんなすぐ別れるなんて凪沙だって言わないって!』
「凪沙の元彼だって長く続かなかったんでしょ?」
『あ、あーまぁ……で、でも、それはあいつらがクズな奴らばかりだったからで!!』
「やっぱり男の人が良いってなったのかもしれないし……」
『そんなこと―――』
『凪沙さんは涼さんの事が好きですよ。今まで付き合って来た人はみんな相手から告白してきた人ばかりですが、涼さんには凪沙さんが告白するって言ってたんですよ?それだけで他の人とは違いますし、ちゃんと好きだと自覚して付き合い始めたんですから、ちゃんと自信持ってください』
東雲も私を励ましてくれる優しい……
ズズッと鼻を啜る。
『凪沙の家に行ったら?』
「え?」
『初詣行く約束してるんだろ?迎えに行ったらいいじゃん』
「う、うん。行く。これから行ってみる」
『はいはい。行ってこい。それで何かあったら連絡してくればいいからさ』
「ありがとう」
通話を終了させて、私はすぐ部屋着を脱いだ。
::::::
「恋すると女ってみんな面倒くさくなるんだな」
「涼さんと凪沙さんはそんな感じだね」
「…………(ジトーー)」
「何?ちさき」
「いや、みんな面倒くさくなるなって思ってな」
「涼さんと凪沙さんの話でしょ?」
「…………」
::::::
走って駅まで向かい電車に飛び乗った。
1月1日の電車内は割と混んでいる。色んなところへお出かけしている人なんだろう。両手に福袋を抱えた人もいる。
扉に寄りかかり流れる風景をなんとなく眺める。数駅離れた凪沙の家がある最寄り駅は何度行ったかわからない。最近は頻繁に、中学の頃は月に一度は行っていた。
携帯を見ても凪沙からの連絡はない。もうお昼も過ぎているっていうのに寝坊なんてことはないだろう。何かあったのかもしれない。急な家族の予定とか、携帯を家に忘れてしまったりだとか。
色々考えてみてはやっぱり朝の“ごめん““ごめんなさい。彼を“という文章の意味が繋がらないなと、結局は振り出しに戻っていく。
改札を出てある場所が目に入る。
中学の時ここで私はしゃがみ込んで朝から最悪だと頭を抱えて困っていた。そこで出会ったお姉さんに救われて、今は私の彼女になった。
私は彼女の家まで走る。
早く会いたいと駆ける足が速まっていく。
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