104 / 129
1月1日 Side涼11
しおりを挟む
年越しまで後数十分という時、凪沙の携帯に電話をかけた。
発信音が鳴り、でてくれるのを今か今かと待ち望む。
しかし、凪沙が電話に出ることはなかった。
携帯の画面を見て疑問符が浮かぶ。
何度か携帯に電話をかけたし、メッセージも送った。既読になることもなく。結局そのまま気づけば年を越してしまっていた。
寝ちゃったのかな?
普段この時間には寝ているはずで、年越しだからといって急な夜更かしに体はついていけなかったのかもしれない。
仕方ないかと思い私は初詣の約束もしているから早々に寝ることにした。
―――
朝、携帯を確認するとメッセージは未だに未読のままだった。
おはようとイケメンな猫のスタンプを送る。
普段ならもう凪沙は起きててもおかしくはない時間だったけど、連休中だし朝寝坊もするだろう。
大きく腕を伸ばして体を起こす、リビングに行くと母さんが朝食の準備をしていた。
「おはよう涼」
「おはよ」
「今日凪沙ちゃんと初詣に行くんでしょ?何時に行くの?」
「午後からの予定」
母さんがマグカップにコーヒーを入れてくれたのを一口飲んだ。お店では豆を挽いて入れているが、家ではもっぱらインスタントだ。それでも美味しく感じるのは淹れ方にコツがあるんだろうなと思う。
母さんが用意してくれた朝食を食べ、少しのんびりとコーヒーを飲みつつ携帯をいじっていると凪沙からメッセージが届く。
やっと起きたのかな?まだ9時だし午後からの初詣の予定もまだ余裕がありそうだ。できたらもう少し早めに凪沙に会いたいけど……
メッセージを開くと一言だけだった。
“ごめん“
ごめんってなんだ?あ、あれか年越し電話できなくてごめんってことかな?
別に気にしなくても大丈夫なのに、私が無理言っちゃっただけだし……
“大丈夫だよ“と返信を送るとすぐに既読がつき、メッセージが届く。
“ごめんなさい。彼を“
え?どういう意味?また送られてきた“ごめんなさい“も“彼を“という言葉も意味がわからない。
彼って?元彼のことか?元彼が何?
私はまたメッセージを送った。
今度は既読になることもなく、すぐに返信がくることもなかった。
―――
「涼。そろそろお昼だけど、お昼ご飯食べてから行くの?」
「んー」
「どうしたのよ」
「凪沙から返信が来ない……」
もうお昼だというのにメッセージは未読のままだった。何度かメッセージを送ったり電話をしたりしたが、凪沙が出ることもなくただ時間だけが過ぎていった。
「涼。凪沙ちゃん怒らせることしたんじゃないの?」
「そんなこと――」
したかもしれない?――まず、家でキスしたな……いや、それは多分違う。怒っている様子はなかったし……気持ちよかったし……
顔が熱くなる。
っ!私の気持ちなんてどうでもいいんだ。
あれか、凪沙の胸にキスマークをつけた。
凪沙の胸柔らかくていい匂いしたな。ちらっと見えた下着もエロかった。またつけたい……
顔が熱くなる。
だから、私の気持ちはどうでもいいんだ!って。頭をガシガシとかく。
あの後も別に怒っている感じはなかったはず……
「あ……」
「さっきから何よ。顔が百面相してたわよ」
「もしかしてあれか?」
「やっぱりあんた何かしたの?」
「いや、でも……」
「何?何したの?」
「キスした……」
「別にキスくらいいつもしてるんじゃないの?」
実の親にキスの話とかすごく話しづらい……それにいつもなんてしてないし。どれだけ私の事オオカミだと思っているんだ。
「……そんな事ないけど」
「それで?そのキスがどうしたのよ?いつの話?」
「凪沙を家に送って行く途中……」
「どこ?」
「駅前」
母さんは盛大にため息をついて「どこでキスしてんのよ」と呆れていた。
「涼。そういうことする時は時と場所を選びなさいって言ったわよね?」
「それってエッチの話じゃ……」
「同じことです!そんな人前で何してんのよ」
「ちょっとだけだよ?一瞬!軽く!」
「言い訳してないで凪沙ちゃんにちゃんと謝りなさい!」
「はい……」
私はすぐメッセージアプリを開いた。とりあえず先に読まれやすいメッセージで“ごめん“と謝る。当然既読はつかない。電話もかけてみるが、取られることもない。連絡が取れないのではちゃんと謝りたくても謝れない状況だ。
メッセージを見返す。
“ごめんなさい。彼を“
最後に届いた凪沙のメッセージ。怒っているのなら凪沙の“ごめんなさい“はどういうことなんだろう?
しかもその後に“彼を“とついている。ますますわからない。
“元彼を好きになった“とか“元彼とよりを戻したい“とかそういうこと?だから“ごめんなさい“ということなのかもしれない。
え、やだ。
そんなの絶対やだ。凪沙と別れるとか無理。なんで凪沙は返信くれないの?このまま別れるってこと?
私はこの状況に耐えきれずに電話をかけた。
すぐに電話が取られる。
『もしもし?あけましておめでとうございます』
「別れるとかやだよ……」
『は?どうしたんですか?涼さん』
「凪沙と連絡取れなくなった」
『は?』
電話を取った東雲は何も状況が掴めずにただ『ちゃんとわかるように話してください』と平坦な声で説明を求めてきた。
発信音が鳴り、でてくれるのを今か今かと待ち望む。
しかし、凪沙が電話に出ることはなかった。
携帯の画面を見て疑問符が浮かぶ。
何度か携帯に電話をかけたし、メッセージも送った。既読になることもなく。結局そのまま気づけば年を越してしまっていた。
寝ちゃったのかな?
普段この時間には寝ているはずで、年越しだからといって急な夜更かしに体はついていけなかったのかもしれない。
仕方ないかと思い私は初詣の約束もしているから早々に寝ることにした。
―――
朝、携帯を確認するとメッセージは未だに未読のままだった。
おはようとイケメンな猫のスタンプを送る。
普段ならもう凪沙は起きててもおかしくはない時間だったけど、連休中だし朝寝坊もするだろう。
大きく腕を伸ばして体を起こす、リビングに行くと母さんが朝食の準備をしていた。
「おはよう涼」
「おはよ」
「今日凪沙ちゃんと初詣に行くんでしょ?何時に行くの?」
「午後からの予定」
母さんがマグカップにコーヒーを入れてくれたのを一口飲んだ。お店では豆を挽いて入れているが、家ではもっぱらインスタントだ。それでも美味しく感じるのは淹れ方にコツがあるんだろうなと思う。
母さんが用意してくれた朝食を食べ、少しのんびりとコーヒーを飲みつつ携帯をいじっていると凪沙からメッセージが届く。
やっと起きたのかな?まだ9時だし午後からの初詣の予定もまだ余裕がありそうだ。できたらもう少し早めに凪沙に会いたいけど……
メッセージを開くと一言だけだった。
“ごめん“
ごめんってなんだ?あ、あれか年越し電話できなくてごめんってことかな?
別に気にしなくても大丈夫なのに、私が無理言っちゃっただけだし……
“大丈夫だよ“と返信を送るとすぐに既読がつき、メッセージが届く。
“ごめんなさい。彼を“
え?どういう意味?また送られてきた“ごめんなさい“も“彼を“という言葉も意味がわからない。
彼って?元彼のことか?元彼が何?
私はまたメッセージを送った。
今度は既読になることもなく、すぐに返信がくることもなかった。
―――
「涼。そろそろお昼だけど、お昼ご飯食べてから行くの?」
「んー」
「どうしたのよ」
「凪沙から返信が来ない……」
もうお昼だというのにメッセージは未読のままだった。何度かメッセージを送ったり電話をしたりしたが、凪沙が出ることもなくただ時間だけが過ぎていった。
「涼。凪沙ちゃん怒らせることしたんじゃないの?」
「そんなこと――」
したかもしれない?――まず、家でキスしたな……いや、それは多分違う。怒っている様子はなかったし……気持ちよかったし……
顔が熱くなる。
っ!私の気持ちなんてどうでもいいんだ。
あれか、凪沙の胸にキスマークをつけた。
凪沙の胸柔らかくていい匂いしたな。ちらっと見えた下着もエロかった。またつけたい……
顔が熱くなる。
だから、私の気持ちはどうでもいいんだ!って。頭をガシガシとかく。
あの後も別に怒っている感じはなかったはず……
「あ……」
「さっきから何よ。顔が百面相してたわよ」
「もしかしてあれか?」
「やっぱりあんた何かしたの?」
「いや、でも……」
「何?何したの?」
「キスした……」
「別にキスくらいいつもしてるんじゃないの?」
実の親にキスの話とかすごく話しづらい……それにいつもなんてしてないし。どれだけ私の事オオカミだと思っているんだ。
「……そんな事ないけど」
「それで?そのキスがどうしたのよ?いつの話?」
「凪沙を家に送って行く途中……」
「どこ?」
「駅前」
母さんは盛大にため息をついて「どこでキスしてんのよ」と呆れていた。
「涼。そういうことする時は時と場所を選びなさいって言ったわよね?」
「それってエッチの話じゃ……」
「同じことです!そんな人前で何してんのよ」
「ちょっとだけだよ?一瞬!軽く!」
「言い訳してないで凪沙ちゃんにちゃんと謝りなさい!」
「はい……」
私はすぐメッセージアプリを開いた。とりあえず先に読まれやすいメッセージで“ごめん“と謝る。当然既読はつかない。電話もかけてみるが、取られることもない。連絡が取れないのではちゃんと謝りたくても謝れない状況だ。
メッセージを見返す。
“ごめんなさい。彼を“
最後に届いた凪沙のメッセージ。怒っているのなら凪沙の“ごめんなさい“はどういうことなんだろう?
しかもその後に“彼を“とついている。ますますわからない。
“元彼を好きになった“とか“元彼とよりを戻したい“とかそういうこと?だから“ごめんなさい“ということなのかもしれない。
え、やだ。
そんなの絶対やだ。凪沙と別れるとか無理。なんで凪沙は返信くれないの?このまま別れるってこと?
私はこの状況に耐えきれずに電話をかけた。
すぐに電話が取られる。
『もしもし?あけましておめでとうございます』
「別れるとかやだよ……」
『は?どうしたんですか?涼さん』
「凪沙と連絡取れなくなった」
『は?』
電話を取った東雲は何も状況が掴めずにただ『ちゃんとわかるように話してください』と平坦な声で説明を求めてきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
16
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる