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10月14日(2)

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「凪沙~」
「うひゃぁ!」
「え…結構大きい…」
「ちょっと!どこ触ってんの!?なんでいきなり揉んでくるの!!」

体育の授業が終わって更衣室で着替えてる最中いきなり背後から罰当番で遅れてやってきたちさきちゃんに胸を揉まれた。

「なんでって…八つ当たり??」
「八つ当たりってなんなの…私に八つ当たりしないで…というか、こんなところ亜紀ちゃんに見られたらどうするの?」
「あ、それはまずいね」

最近亜紀ちゃんに色々とやられている為かパッと離れて距離をとってくれた。周りを見渡すと亜紀ちゃんはまだ来ていないみたいで、ちさきちゃんの体は救われたみたいだ。

ちさきちゃんも着替え始めて私も最後にブレザーを着ていると、上半身下着姿ピンクのブラが可愛らしいちさきちゃんがYシャツに腕を通しながらこちらを見ずに話しかけてきた。

「今日一緒に帰らない?亜紀が図書当番なんだってさ」
「いいけど、私バイトだから寄り道とかできないよ?」
「そうなんだ!?じゃあ、喫茶店私も行っていい?久しぶりに行きたい!」
「美月さんも喜ぶと思う」

ちさきちゃんは凪沙の働いてる姿楽しみ~と言いながらスカートのチャックを閉めた。相変わらず丈が短い…

亜紀ちゃんが図書当番の時は一緒に帰ったりしていたけど、バイト先の喫茶店に一緒に行くのは初めてだった。



放課後
私とちさきちゃんは電車から降りて喫茶みづきに向かっていた。

「今日出された宿題って数学だけだっけ?」
「そうだよ。渡されたプリントだけかな」
「あたし家帰っちゃうと宿題進まないから喫茶店で宿題するわ…」

ため息混じりに呟いた。

「いつもはどうしてるの?」
「亜紀の家で一緒に宿題してる」
「やっぱり2人って仲良いよね」
「まぁ、幼馴染だしね。最近はちょっと亜紀の距離が近い気がするけど」

何か思い出したのかちょっと頬を赤くして照れたような表情をした。


重厚な木の扉を開けて鐘の音がお店に響いた。コーヒーの香りが漂ってきて私ってこの香り結構好きだけど、まだブラックは飲めない。いつか飲めるようになりたい…いつかね…

「おはようございまーす」
「こんにちは~」

今はお客さんもいないみたいで、美月さんもキッチンの方にいるのかパタパタと足音が近づいてくる音がする。ちさきちゃんはカウンター席に座って隣に荷物を置いていた。

「おはよ~凪沙ちゃん。あ、今日はちさきちゃんも来てくれたんだ!いらっしゃい」
「今日は亜紀はいないんですけど、宿題しに来ました」

今日も美人な悠木涼ちゃんのお母さんの美月さんは瞳を細めてニコニコと大人の女性オーラを振りまいている。高校生の娘がいるとはとても思えない。美魔女?とかいうやつかな?魔女っぽさはないけどすごく美人だ。

私は休憩室兼更衣室で着替えてからお店に出た。

「お!凪沙のエプロン姿似合うね~写真撮っていい?」
「結ちゃんみたいなこというね?」

結ちゃんと同じ事を言うちさきちゃんに笑ってしまう。
なんでみんな私の写真を撮りたがるのか…私のエプロン姿なんて面白くないでしょうに…

「結ちゃん?あー、悠木涼と同じバスケ部の子か」
「そうそう。昨日涼ちゃんと一緒にお店に来て写真いっぱい撮ってた」
「あの子って凪沙のファンなの?」
「ファン?ファンかどうかはわからないけど、すごく好かれてるなぁとは思うかな?」

私の事を可愛い可愛いと最近知り合ったばかりなのにすごく懐いてるとは思うけど、ファン?私にファンとかいるとは思えないんだけど…

カウンターに座るちさきちゃんの前にケーキとコーヒーが置かれる。

「あれ?あたしケーキ頼んでないですよ?」
「これは凪沙ちゃんを紹介してくれたお礼だから。こんな可愛くて仕事も真面目だし常連さん達からも評判が良いのよ。ありがとね」

パチンと可愛らしくウィンクをする美月さん。美人さんがやると破壊力がやばい…ちさきちゃんとは違う…ちょっとエロさが含まれてるようなウィンクだった。

「初めてのバイトなのに凪沙すごいじゃん!紹介したかいがあるよ!」
「2人から褒められるとなんか照れるんだけど…ふふ…でも、私も良いバイト先を紹介してくれてちさきちゃんには感謝してるから。ありがとう」
「え、あたしも照れるわ」

3人で笑い合ってから私は仕事に取り掛かって、ちさきちゃんは宿題を始めた。途中わからないところは教えたりしてケーキも食べつつなんとか宿題を終わらせることができたちさきちゃんは暗くなってきた外を見て帰っていった。

お店のディナータイムも終えてお客さんも少なくなり、もう少しで上がる時間になる頃お店の鐘が鳴った。

「いらっしゃ――あ、涼ちゃん」

「ただいま」と言いつつ入ってきた涼ちゃんは学校のジャージ姿でも人目を引くような格好良さがあった。

「涼おかえり~珍しいね。1人でこっちに顔出すなんて」
「まぁ、今日も凪沙を駅まで送る約束してるから」
「へぇ~」

美月さんが目を細めてニヤニヤしていた。え?なんで?

「別にそういうやつじゃないならね。昨日ちょっとあって…そのお詫びで今日も駅まで送るっていうだけで…」
「まぁ、凪沙ちゃん可愛いから心配だし送ってくれるのは安心なんだけど…」
「な、何?」
「凪沙ちゃん隣を歩いてるオオカミには気をつけてね」

口元に手を当てて美月さんがこっちに話しかけてくる。

「え?オオカミ??」
「だから!そういうんじゃないんだって!!」

美月さんが冗談~冗談だって~と笑い飛ばしてて、涼ちゃんはフシャーという感じに睨みつけていた。

オオカミっていうより猫ちゃんみたいなんだけど?どういう事?

「はぁ…凪沙もうすぐ上がりでしょ?母さんはもう1人で大丈夫そうだから駅まで送るよ」
「え…でも、まだ時間じゃないし…」
「もう上がって大丈夫だから、涼に送ってもらっていいよ」

美月さんがそういうならってことで少し時間が早いけれど上がらせてもらうことにした。

更衣室からでて「お疲れ様でした」と言って涼ちゃんと駅までの道を2人で並んで歩く。

「さっき母さんが言った事気にしなくていいからね……」
「オオカミ?」
「ホント昨日のお詫びだから!」
「あ!あれだ!歌にあったよね!?~男はオオカミなのよ~みたいなやつ!でも、涼ちゃん女の子だし違うのにね~?」

涼ちゃんは目を点にしてこちらを見ていたと思ったら…はぁぁ……と深めのため息をついた。なんで!?

「凪沙ってちょっと天然入ってる?心配だな…」
「えぇ!?入ってないよぉ!」

両手を振って全力で否定してみるもはいはいとあしらわれてしまった。

「今日は家の近くまで送るから」
「わざわざそこまでしなくてもいいよ!」
「いいから!」

電車にまで乗って私の家まで送ってもらうのはさすがに悪いと思うのにお詫びだから!と強引に決めてしまう涼ちゃんは強気な性格なのかな?っとちょっと新たな一面を見た気がした。
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