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第二章 破滅
第十二話 消失
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「っーー?!」
光が晴れたと思った瞬間、俺の眼前には焼け野原になった荒野が広がっていた。
「ここは……? ……て言うか、いったい……なにが……」
突然すぎる出来事に脳の処理が追い付かない。
「てれぽーと、です。ここはふつかまえまでせんじょうだったとこらですよ」
「っ!?」
それに答えるように、俺の手を握っていた少女が落ち着いた声色で呟いた。
無表情でこちらを見つめてくる彼女の身長は、魔法少女状態の俺よりもさらに低く、恐らく145センチ程度だと思われる。
その華奢な全身を覆うのは濃い紫色の魔女服。
頭の上にはくたびれた大きな魔女帽子が乗せられていて、そこから覗く短い薄紫色の髪には綺麗な光沢があった。
「テレポート……?」
オウム返しに言った俺に彼女はコクリと頷く。
「めーぷるのはらからとれる、れああいてむです」
そう言いながら「けがはないですか?」と紫色の魔法少女は俺の体をペタペタ触ってくる。
ほんのりと、甘いハイビスカスの香りが俺の鼻腔を擽った。
「………………」
こうやって、俺の怪我を心配してくれた魔法少女の姿が脳裏を過る。
いつもほんわかと笑って俺を治してくれたメグリンは、もうこの世にはいない。
「うぐっ…………あああッ…………!」
それが理解できた瞬間、嗚咽が堰を切ったように溢れだす。
「なんで……なんでだよッ! おれだっで……俺だって頑張ったんだッッ!」
結局俺は魔法少女として皆を守ることが出来なかった。メグリンは殺され、村の人達も殺され、あげくのはてにはその罪を全て着せられて。
「皆のために、メグリンのために……必死に必死に頑張ったんだよぉ……両足折って、命懸けで魔物倒して……なのに……なのになんで…………」
誰一人として守れないんだ
「……メグリンは、あなたのことをほめていましたよ」
「!?」
絶望にうちひしがれる俺をひしっと強く抱き締めながら、紫色の女の子は諭すように告げる。
「とてもやさしくて、せんさいで、まだすこしたよりないところはあるけど、じぶんのこうけいしゃとしてふさわしいまほうしょうじょだといっていました」
「ッッ!!」
強張った俺の背中を、少女は優しく、優しく撫でる。
「だからあまりじぶんをせめないでください。まもりきれなかったとしても、あなたがいのちをかけてメグリンたちをまもったことは、だれがなんとおもおうといみのあることなんですから」
「ほら」と彼女は俺に密着させていた体を離すと、無表情だった顔にぎこちないながらも小さな笑みを浮かべた。
「わらってください。つらいときほど、わらってください。わたしもメグリンみたいにかわいくはわらえませんけど、つらいときはがんばってわらいます」
そう言った彼女の瞳には、今にもこぼれ落ちそうなほどの涙が浮かんでいた。
「わらえるわけ……ないよ……こんなにこんなにつらいのに…………わらえるわけ……ないじゃないか……」
目の前の少女も、悲しいのだ。辛いのだ。
それはわかっていたのに、俺はこんなことしか言えなかった。
ポツリ、ポツリ、と雨が降る。
死屍累々の荒野にいるのは、俺と出会ったばかりの少女の二人だけ。
静まりかえる荒野に降り注ぐ雨に、俺と彼女は打たれ続ける。
この雨が、全てを押し流してくれる気がしたから。
何かに打たれてないと、気がおかしくなりそうだったから。
光が晴れたと思った瞬間、俺の眼前には焼け野原になった荒野が広がっていた。
「ここは……? ……て言うか、いったい……なにが……」
突然すぎる出来事に脳の処理が追い付かない。
「てれぽーと、です。ここはふつかまえまでせんじょうだったとこらですよ」
「っ!?」
それに答えるように、俺の手を握っていた少女が落ち着いた声色で呟いた。
無表情でこちらを見つめてくる彼女の身長は、魔法少女状態の俺よりもさらに低く、恐らく145センチ程度だと思われる。
その華奢な全身を覆うのは濃い紫色の魔女服。
頭の上にはくたびれた大きな魔女帽子が乗せられていて、そこから覗く短い薄紫色の髪には綺麗な光沢があった。
「テレポート……?」
オウム返しに言った俺に彼女はコクリと頷く。
「めーぷるのはらからとれる、れああいてむです」
そう言いながら「けがはないですか?」と紫色の魔法少女は俺の体をペタペタ触ってくる。
ほんのりと、甘いハイビスカスの香りが俺の鼻腔を擽った。
「………………」
こうやって、俺の怪我を心配してくれた魔法少女の姿が脳裏を過る。
いつもほんわかと笑って俺を治してくれたメグリンは、もうこの世にはいない。
「うぐっ…………あああッ…………!」
それが理解できた瞬間、嗚咽が堰を切ったように溢れだす。
「なんで……なんでだよッ! おれだっで……俺だって頑張ったんだッッ!」
結局俺は魔法少女として皆を守ることが出来なかった。メグリンは殺され、村の人達も殺され、あげくのはてにはその罪を全て着せられて。
「皆のために、メグリンのために……必死に必死に頑張ったんだよぉ……両足折って、命懸けで魔物倒して……なのに……なのになんで…………」
誰一人として守れないんだ
「……メグリンは、あなたのことをほめていましたよ」
「!?」
絶望にうちひしがれる俺をひしっと強く抱き締めながら、紫色の女の子は諭すように告げる。
「とてもやさしくて、せんさいで、まだすこしたよりないところはあるけど、じぶんのこうけいしゃとしてふさわしいまほうしょうじょだといっていました」
「ッッ!!」
強張った俺の背中を、少女は優しく、優しく撫でる。
「だからあまりじぶんをせめないでください。まもりきれなかったとしても、あなたがいのちをかけてメグリンたちをまもったことは、だれがなんとおもおうといみのあることなんですから」
「ほら」と彼女は俺に密着させていた体を離すと、無表情だった顔にぎこちないながらも小さな笑みを浮かべた。
「わらってください。つらいときほど、わらってください。わたしもメグリンみたいにかわいくはわらえませんけど、つらいときはがんばってわらいます」
そう言った彼女の瞳には、今にもこぼれ落ちそうなほどの涙が浮かんでいた。
「わらえるわけ……ないよ……こんなにこんなにつらいのに…………わらえるわけ……ないじゃないか……」
目の前の少女も、悲しいのだ。辛いのだ。
それはわかっていたのに、俺はこんなことしか言えなかった。
ポツリ、ポツリ、と雨が降る。
死屍累々の荒野にいるのは、俺と出会ったばかりの少女の二人だけ。
静まりかえる荒野に降り注ぐ雨に、俺と彼女は打たれ続ける。
この雨が、全てを押し流してくれる気がしたから。
何かに打たれてないと、気がおかしくなりそうだったから。
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