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第一章 異世界魔法少女
第十四話 説得
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「メグリン、ここでいいかな?」
「うん、ありがとぉ……」
今の状態のメグリンを村人達に見せるのはまずいと思い、俺はひとまず背負ってるメグリンに案内してもらい、村はずれの廃墟で休ませる事にした。
「迷惑かけちゃったねぇ……わたし、先輩なのに……」
「お互い様だろ。メグリンが居なかったらとっくに俺は死んでるんだし」
そう言って、俺はメグリンの隣に腰を下ろした。
「話は変わるんだけど、メグリン……ああいうの、もうやめないか?」
「え……?」
そして、切り出す。ここに来るまでずっと考えていたが、今のままではきっと誰も救われない。そう結論付けた俺は続ける。
「見ていて思ったんだ。確かに今メグリンがやってることは、あの人たちのためになってるかもしれない。でも、なんだかちょっと違う気がするんだ」
「…………??」
メグリンは首をかしげる。
「発展途上国の人達に、直接お金をあげるのはよくない行為ってのは、聞いたことある?」
「ううん」
俺の言葉に、メグリンは首を横に振った。やっぱり、聞いたことないのか。
「俺も詳しくはよくわからないんだけど、発展途上国の人達を支援するときは、お金をあげるんじゃなくて、お金を稼ぐ方法を教えて上げるのが一番彼らの為になるんだ」
「ッ!」
メグリンの表情がハッとしたモノに変わる。
「わたしのやり方は、ロンロンの言うお金をあげるやり方になっちゃてるの……?」
「そう、とは一概には言えないけど……でもやっぱり、あれはよくないと思うんだ」
俺がそう言い終えると「そっかぁ……」とメグリンは小さくため息をついた。
「…………でも、わたしは今のやり方を変えるつもりはないよ~」
「え!? なんでだよ!」
思わず立ち上がった俺を、メグリンは微笑みながら見つめてくる。
「確かにロンロンの言うことは正しいかもしれない。でも、あの人たちが必要としてるのは、やっぱり今のわたしなんだよ……。わたしはロンロンの言う、お金をあげる以外の方法を知らないし、たぶんできないなぁ」
「………………」
俺は、彼女の言葉を否定することが出来なかった。それは間違ってる、そう言うのは簡単だ。でも、メグリンはこのやり方でメグリンなりに必死に頑張ってここの人達を救ってきたんだ。
誰一人救えてすらいない俺が、彼女の行動を止める資格なんて、ない。
「さ~て、そろそろ体も落ち着いたし戻ろっかぁ♪」
ユラリ……と立ち上がって俺から背を向けたメグリン。そのまま彼女は村の方へ一歩踏み出した。
このままだと、彼女はほぼ確実に死ぬ。
俺はどうしたらいいんだ……一体どうしたら……。
「うん、ありがとぉ……」
今の状態のメグリンを村人達に見せるのはまずいと思い、俺はひとまず背負ってるメグリンに案内してもらい、村はずれの廃墟で休ませる事にした。
「迷惑かけちゃったねぇ……わたし、先輩なのに……」
「お互い様だろ。メグリンが居なかったらとっくに俺は死んでるんだし」
そう言って、俺はメグリンの隣に腰を下ろした。
「話は変わるんだけど、メグリン……ああいうの、もうやめないか?」
「え……?」
そして、切り出す。ここに来るまでずっと考えていたが、今のままではきっと誰も救われない。そう結論付けた俺は続ける。
「見ていて思ったんだ。確かに今メグリンがやってることは、あの人たちのためになってるかもしれない。でも、なんだかちょっと違う気がするんだ」
「…………??」
メグリンは首をかしげる。
「発展途上国の人達に、直接お金をあげるのはよくない行為ってのは、聞いたことある?」
「ううん」
俺の言葉に、メグリンは首を横に振った。やっぱり、聞いたことないのか。
「俺も詳しくはよくわからないんだけど、発展途上国の人達を支援するときは、お金をあげるんじゃなくて、お金を稼ぐ方法を教えて上げるのが一番彼らの為になるんだ」
「ッ!」
メグリンの表情がハッとしたモノに変わる。
「わたしのやり方は、ロンロンの言うお金をあげるやり方になっちゃてるの……?」
「そう、とは一概には言えないけど……でもやっぱり、あれはよくないと思うんだ」
俺がそう言い終えると「そっかぁ……」とメグリンは小さくため息をついた。
「…………でも、わたしは今のやり方を変えるつもりはないよ~」
「え!? なんでだよ!」
思わず立ち上がった俺を、メグリンは微笑みながら見つめてくる。
「確かにロンロンの言うことは正しいかもしれない。でも、あの人たちが必要としてるのは、やっぱり今のわたしなんだよ……。わたしはロンロンの言う、お金をあげる以外の方法を知らないし、たぶんできないなぁ」
「………………」
俺は、彼女の言葉を否定することが出来なかった。それは間違ってる、そう言うのは簡単だ。でも、メグリンはこのやり方でメグリンなりに必死に頑張ってここの人達を救ってきたんだ。
誰一人救えてすらいない俺が、彼女の行動を止める資格なんて、ない。
「さ~て、そろそろ体も落ち着いたし戻ろっかぁ♪」
ユラリ……と立ち上がって俺から背を向けたメグリン。そのまま彼女は村の方へ一歩踏み出した。
このままだと、彼女はほぼ確実に死ぬ。
俺はどうしたらいいんだ……一体どうしたら……。
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