21 / 23
第二話 神と安倍晴明
龍神2
しおりを挟む
晴明は、空を見上げた。
青く澄んだ空に、大きく綺麗な龍が、優雅に泳いでいた。
初夏と呼ばれる時期、着ているものが暑くなっていく頃、もう少し薄くならないかと思案する晴明は、空を見上げた。悠々泳ぐ姿は、涼しそうで圧倒される存在感だ。
だが、ふっ。と、晴明は思った。
(最近、雨の量が少ないな。)
雨季の量が少ないと、作物が育たない。
動植物等、生きとし生けるもの、水が無いと生きていけない。
だが、雨を降らす龍は存在する。では、何が足りないのか。
雲が少ないのだ。
雨を降らす為の雲と、雨粒になる粒子が足りない。
それでも雨は少しは降る。
だが、本格的な夏になると、水が足りなくなるだろう。
それを補うのが、空を悠々泳ぐ龍神だと信じられていた。
なのに、龍がいるのに、雨の恵みが少ないという事は、何かあるのかもしれないな。
そう、ボンヤリと考えていた晴明の耳に聞こえてきた鳥の声。
「ピチチッ!ぴー、ぴひょー!!(ねーねーまた人間同士の小競り合いがあったんだってー?)」
「ぴー、ピチュピチュ!(そうらしいねー、ほんと人の世はぶっそうだねー!)」
晴明の横を飛んでいく雀達。
晴明も聞いた事があった。
東国の豪族の小競り合いだ。
(確かに物騒な世の中だ。)
晴明も、小鳥に心の中で同意した。
晴明が、京に来る前やここ数年にも小競り合いでは無かったものの、亡くなった方の怨念で尊い方が崩御しただのという噂が流れていた。
人間とは、常に呪いだの争いだのと忙しない。
だからこそ、その道の達者な者が必要になる。
それが、神官や僧侶に陰陽師等の役職に付く者達だ。
それぞれに達者な者達が、天皇の御前や貴族の前で、術を行使する。
晴明も将来は、その道に行く。
(この能力を、良い方へと使える‥。)
晴明にとってもともとは、能力の使い方を学ぶ為だった。
だが、人の役に立てる。
そう思うと、この能力も素晴らしいものだ。
そう思いながら、時間が許す限り、空を見上げた。
青く澄んだ空に、大きく綺麗な龍が、優雅に泳いでいた。
初夏と呼ばれる時期、着ているものが暑くなっていく頃、もう少し薄くならないかと思案する晴明は、空を見上げた。悠々泳ぐ姿は、涼しそうで圧倒される存在感だ。
だが、ふっ。と、晴明は思った。
(最近、雨の量が少ないな。)
雨季の量が少ないと、作物が育たない。
動植物等、生きとし生けるもの、水が無いと生きていけない。
だが、雨を降らす龍は存在する。では、何が足りないのか。
雲が少ないのだ。
雨を降らす為の雲と、雨粒になる粒子が足りない。
それでも雨は少しは降る。
だが、本格的な夏になると、水が足りなくなるだろう。
それを補うのが、空を悠々泳ぐ龍神だと信じられていた。
なのに、龍がいるのに、雨の恵みが少ないという事は、何かあるのかもしれないな。
そう、ボンヤリと考えていた晴明の耳に聞こえてきた鳥の声。
「ピチチッ!ぴー、ぴひょー!!(ねーねーまた人間同士の小競り合いがあったんだってー?)」
「ぴー、ピチュピチュ!(そうらしいねー、ほんと人の世はぶっそうだねー!)」
晴明の横を飛んでいく雀達。
晴明も聞いた事があった。
東国の豪族の小競り合いだ。
(確かに物騒な世の中だ。)
晴明も、小鳥に心の中で同意した。
晴明が、京に来る前やここ数年にも小競り合いでは無かったものの、亡くなった方の怨念で尊い方が崩御しただのという噂が流れていた。
人間とは、常に呪いだの争いだのと忙しない。
だからこそ、その道の達者な者が必要になる。
それが、神官や僧侶に陰陽師等の役職に付く者達だ。
それぞれに達者な者達が、天皇の御前や貴族の前で、術を行使する。
晴明も将来は、その道に行く。
(この能力を、良い方へと使える‥。)
晴明にとってもともとは、能力の使い方を学ぶ為だった。
だが、人の役に立てる。
そう思うと、この能力も素晴らしいものだ。
そう思いながら、時間が許す限り、空を見上げた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
戦国を駆ける軍師・山本勘助の嫡男、山本雪之丞
沙羅双樹
歴史・時代
川中島の合戦で亡くなった軍師、山本勘助に嫡男がいた。その男は、山本雪之丞と言い、頭が良く、姿かたちも美しい若者であった。その日、信玄の館を訪れた雪之丞は、上洛の手段を考えている信玄に、「第二啄木鳥の戦法」を提案したのだった……。
この小説はカクヨムに連載中の「武田信玄上洛記」を大幅に加筆訂正したものです。より読みやすく面白く書き直しました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
伝説の刀鍛冶が包丁を打った理由
武藤勇城
歴史・時代
戦国時代。
それは、多くの大名が日本各地で名乗りを上げ、一国一城の主となり、天下の覇権を握ろうと競い合った時代。
一介の素浪人が機に乗じ、また大名に見出され、下剋上を果たした例も多かった。
その各地の武将・大名を裏で支えた人々がいる。
鍛冶師である。
これは、戦国の世で名刀を打ち続けた一人の刀鍛冶の物語―――。
2022/5/1~5日 毎日20時更新
全5話
10000文字
小説にルビを付けると文字数が変わってしまうため、難読・特殊な読み方をするもの・固有名詞など以下一覧にしておきます。
煤 すす
兵 つわもの
有明 ありあけ
然し しかし
案山子 かかし
軈て やがて
厠 かわや
行燈 あんどん
朝餉 あさげ(あさごはん)
褌 ふんどし
為人 ひととなり
元服 (げんぷく)じゅうにさい
かくまい重蔵 《第1巻》
麦畑 錬
歴史・時代
時は江戸。
寺社奉行の下っ端同心・勝之進(かつのしん)は、町方同心の死体を発見したのをきっかけに、同心の娘・お鈴(りん)と、その一族から仇の濡れ衣を着せられる。
命の危機となった勝之進が頼ったのは、人をかくまう『かくまい稼業』を生業とする御家人・重蔵(じゅうぞう)である。
ところがこの重蔵という男、腕はめっぽう立つが、外に出ることを異常に恐れる奇妙な一面のある男だった。
事件の謎を追うにつれ、明らかになる重蔵の過去と、ふたりの前に立ちはだかる浪人・頭次(とうじ)との忌まわしき確執が明らかになる。
やがて、ひとつの事件をきっかけに、重蔵を取り巻く人々の秘密が繋がってゆくのだった。
強くも弱い侍が織りなす長編江戸活劇。
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる