陰陽師〜安倍童子編〜

桜 晴樹

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第二話 神と安倍晴明

龍神2

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晴明は、空を見上げた。
青く澄んだ空に、大きく綺麗な龍が、優雅に泳いでいた。
初夏と呼ばれる時期、着ているものが暑くなっていく頃、もう少し薄くならないかと思案する晴明は、空を見上げた。悠々泳ぐ姿は、涼しそうで圧倒される存在感だ。
だが、ふっ。と、晴明は思った。
(最近、雨の量が少ないな。)
雨季の量が少ないと、作物が育たない。
動植物等、生きとし生けるもの、水が無いと生きていけない。
だが、雨を降らす龍は存在する。では、何が足りないのか。
雲が少ないのだ。
雨を降らす為の雲と、雨粒になる粒子が足りない。
それでも雨は少しは降る。
だが、本格的な夏になると、水が足りなくなるだろう。
それを補うのが、空を悠々泳ぐ龍神だと信じられていた。
なのに、龍がいるのに、雨の恵みが少ないという事は、何かあるのかもしれないな。
そう、ボンヤリと考えていた晴明の耳に聞こえてきた鳥の声。
「ピチチッ!ぴー、ぴひょー!!(ねーねーまた人間同士の小競り合いがあったんだってー?)」
「ぴー、ピチュピチュ!(そうらしいねー、ほんと人の世はぶっそうだねー!)」
晴明の横を飛んでいく雀達。
晴明も聞いた事があった。
東国の豪族の小競り合いだ。
(確かに物騒な世の中だ。)
晴明も、小鳥に心の中で同意した。
晴明が、京に来る前やここ数年にも小競り合いでは無かったものの、亡くなった方の怨念で尊い方が崩御しただのという噂が流れていた。
人間とは、常に呪いだの争いだのと忙しない。
だからこそ、その道の達者な者が必要になる。
それが、神官や僧侶に陰陽師等の役職に付く者達だ。
それぞれに達者な者達が、天皇の御前や貴族の前で、術を行使する。
晴明も将来は、その道に行く。
(この能力ちからを、良い方へと使える‥。)
晴明にとってもともとは、能力の使い方を学ぶ為だった。
だが、人の役に立てる。
そう思うと、この能力も素晴らしいものだ。
そう思いながら、時間が許す限り、空を見上げた。
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