陰陽師〜安倍童子編〜

桜 晴樹

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第一話 安倍童子、賀茂忠行に師事する。

童子

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今から昔、千年以上も昔に一人の童子がおりました。
その童子は人には見えぬ者を視、また会話も出来ました。
「かか様。あの者達は何をしているのですか?」
童子が指を指した場所には誰も居りません。母も父も階級は貴族ではありましたが、普通の人の子でしたので、童子と同じく視える者ではありませんでした。
「童子や。そなたには何が視えるのかえ?」
「人が・・・あの木の下に人が居りまする。それと、人ならざるものも」
それは化生の者達と呼ばれる魑魅魍魎ちみもうりょうたぐいでありました。今でいう所の化け物達です。
「童子や、それは視ることはならぬもの。決して他の者の前では口にしてはならぬぞえ。」
「はい。かかさまがそう仰るなら」
母は童子の未来を案じ、決して周りの者達にはその事を洩らしませんでした。ですが、噂とは今も昔も直ぐに広まるもの・・・。周りは童子の力に畏怖し、童子の父母は信頼の置ける、ある所に童子を預けました。
そこは・・・。
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