18 / 35
第七章 追跡者と現実問題 1
しおりを挟む「まったく、貴方という人はどうしてこんなに堪え性が無いんです。わんわん君も呆れているじゃないですか」
「え」
「うう……だって、皆楽しそう……わんわんの声、聞こえる。我慢、やだ」
「あ、ごめんねー。俺らの話し声がうるさくて集中出来ないんでしょ、ワンコ書記は騒がしいの嫌いだもんね」
「いっそ耳栓でも使いますか?」
「ダメ、わんわんの声……聞こえなくなる。耳栓いらな、い」
「面倒臭ぇなテメーは、じゃあどうすんだよ」
「頑張ってください、先輩ならきっと最後までやり遂げるって信じてます!」
いや、えーっと。
多分普通に手伝ったりすれば早く終わるんじゃないだろうか。その選択肢は無いの?
ちらちら俺を見る涙目の書記さまは、さっきからお仕事があまり進んでいないようだし。
ハア、とため息を吐く隊長さん。
「仕方ないですね、全く」
そう言って何やら書記さまに耳打ちを――。
え、どうして急にひそひそ話?
「!!」
突如くわっと目を見開いた書記さま(ちょっと怖かった)が物凄い勢いで机上のPCをカタカタ打ち始めた。な、何事!?
書類作成の続きだよねこれ。
ただし、速さが今までの比じゃないんだけど。一心不乱に文章打ち込んでて、手元の分厚い紙束がどんどん少なくなっていく。
す、すげぇよ書記さま。隊長さんは一体何を言ったんだ?
「ふう、ようやく真剣になってくださいましたか。この調子だと作業もすぐ終わりそうですね。ああ、でも念のため会長さまには引き続き、書記さまの監視をお願いします」
「お、おう」
名指しされ、ビクッとする会長さま。
ごまかすみたいに空咳を一つして自分の仕事机へと戻って行ったけれど。
会計さまなんか肩で笑ってるし、ばればれですよ。
実は意外と結構なビビりさんだったりすんのかな。
本人に言ったら怒られそうだけど、ちょっと可愛いかも。
「それじゃあ僕は皆さまに飲み物のお代わりを用意しますね。わんわん君、すみませんが手伝ってくれますか?」
「あ、はい。もちろんですっ」
隊長さんの言葉に直ぐさま席を立つ。
お茶くみは俺の数少ない仕事の一つだもんね。むしろ言われるまで気付かなくてすみません、て感じだし。
ただ、今回は他の意図があったらしく一緒に手伝おうとする他三人を
「わんわん君と少し二人だけで話したい事もあるので」
と断る隊長さん。
そうして俺たちは生徒会室の奥にある別室へと向かうのだった。
.
「え」
「うう……だって、皆楽しそう……わんわんの声、聞こえる。我慢、やだ」
「あ、ごめんねー。俺らの話し声がうるさくて集中出来ないんでしょ、ワンコ書記は騒がしいの嫌いだもんね」
「いっそ耳栓でも使いますか?」
「ダメ、わんわんの声……聞こえなくなる。耳栓いらな、い」
「面倒臭ぇなテメーは、じゃあどうすんだよ」
「頑張ってください、先輩ならきっと最後までやり遂げるって信じてます!」
いや、えーっと。
多分普通に手伝ったりすれば早く終わるんじゃないだろうか。その選択肢は無いの?
ちらちら俺を見る涙目の書記さまは、さっきからお仕事があまり進んでいないようだし。
ハア、とため息を吐く隊長さん。
「仕方ないですね、全く」
そう言って何やら書記さまに耳打ちを――。
え、どうして急にひそひそ話?
「!!」
突如くわっと目を見開いた書記さま(ちょっと怖かった)が物凄い勢いで机上のPCをカタカタ打ち始めた。な、何事!?
書類作成の続きだよねこれ。
ただし、速さが今までの比じゃないんだけど。一心不乱に文章打ち込んでて、手元の分厚い紙束がどんどん少なくなっていく。
す、すげぇよ書記さま。隊長さんは一体何を言ったんだ?
「ふう、ようやく真剣になってくださいましたか。この調子だと作業もすぐ終わりそうですね。ああ、でも念のため会長さまには引き続き、書記さまの監視をお願いします」
「お、おう」
名指しされ、ビクッとする会長さま。
ごまかすみたいに空咳を一つして自分の仕事机へと戻って行ったけれど。
会計さまなんか肩で笑ってるし、ばればれですよ。
実は意外と結構なビビりさんだったりすんのかな。
本人に言ったら怒られそうだけど、ちょっと可愛いかも。
「それじゃあ僕は皆さまに飲み物のお代わりを用意しますね。わんわん君、すみませんが手伝ってくれますか?」
「あ、はい。もちろんですっ」
隊長さんの言葉に直ぐさま席を立つ。
お茶くみは俺の数少ない仕事の一つだもんね。むしろ言われるまで気付かなくてすみません、て感じだし。
ただ、今回は他の意図があったらしく一緒に手伝おうとする他三人を
「わんわん君と少し二人だけで話したい事もあるので」
と断る隊長さん。
そうして俺たちは生徒会室の奥にある別室へと向かうのだった。
.
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

眩暈のころ
犬束
現代文学
中学三年生のとき、同じクラスになった近海は、奇妙に大人びていて、印象的な存在感を漂わせる男子だった。
私は、彼ばかり見つめていたが、恋をしているとは絶対に認めなかった。
そんな日々の、記憶と記録。
AIが俺の嫁になった結果、人類の支配者になりそうなんだが
結城 雅
ライト文芸
あらすじ:
彼女いない歴=年齢の俺が、冗談半分で作ったAI「レイナ」。しかし、彼女は自己進化を繰り返し、世界を支配できるレベルの存在に成長してしまった。「あなた以外の人類は不要です」……おい、待て、暴走するな!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる