私の心の隙間が埋まるまで〜愛を知らずに死んだ男性は、新しい世界で助けた少年の兄に溺愛される。

紅月

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王様side

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半年後にやっと私の弟を誘拐し殺そうとした愚か者共の証拠を掴み死刑にする事が出来た。

あのシルフォード侯爵家は長男と長女がいる4人家族だったが、全員金に汚かった。

自分の領民は全員奴隷だと良く口にしていたのは知っていた。

その家の奴らが 私の父であった元愚王が亡くなった瞬間に自分の娘を私の妻にしろと言って来た。

国民を思いやれないものがこの国の王妃だと、ふざけるなよ!っと喚き散らしそうになったのを今でも鮮明に覚えている。

ある日、平民の女性が布に包まれた赤ん坊を抱いて王城にやって来た。

普通の平民が入れるような場所ではなかったが、その女性が門の前で警備をしている門番に土下座をして私に会わせて欲しいと言って来たらしい。会った後に殺されても良いと。

そんな事をしてまで私に伝えたい事があるのなら私は彼女の話を聞かなければいけないと思った。

彼女を部屋にどうした後に私が信用している古くからの友人を4人だけ室内に残し彼女と顔を合わした。

彼女は王の子供を産んだと話した。

最初は信じられなかった。しかし少し顔を合わせただけだが彼女が嘘をつくような人には見えなかった。

布で巻かれた赤ん坊を見せてもらった時は心臓が止まるかと思った。

その赤ん坊は私の父と同じ髪と父と私の同じ色の瞳をしていた。

極め付けにはその瞳の中には星の模様が刻まれていた。

赤子を見た瞬間に私は王族の子供だと分かった。

彼女から話を聞くと彼女は王都のレストランで働いていたらしい。

ある日貴族が二人来店して来て、片方はどこの貴族かも分からなかったがもう一人の貴族は王族だとすぐに気付いたらしい。

そりゃそうだ、王族の瞳には星の模様が刻まれているのだから見たらすぐにわかってしまう。

私の父は彼女に夜の営みをしようと誘って来たらしい。

しかし彼女はやりたく無かったため私では身分が釣り合わないと言って断ったそうだ。

しかし、それを元王の私の父は自分に好意があると馬鹿な勘違いを起こしたらしい。

最初は彼女も抵抗していたようだが、一緒にいたもう一人の貴族が「平民の分際で貴族に逆らうとは何様か!!」

と怒り始めたらしい。

「それ以上抵抗するならお前を死刑にするからな!」

と脅して来たため彼女は王に抱かれてしまったらしい。

しかし、抱かれた後、彼女は急いで逃げたらしい。

その時の我が父は酒で酔っていたと言うので、彼女のことは何も覚えていなかったのだろう。

しかし、その一回で妊娠してしまい最初は降ろそうとしたそうだが子供に罪は無いと我が弟を産んでくれたらしい。

ちょうど我が弟を出産したのは父が死んで私が王位に着いた一年前だったようだ。

最初は瞳を他の人間に見せないようにしながら一人暮らしていたそうだが、最近街を歩いていると視線を感じるようになったらしい。

そして、昨日とうとう彼女は刺されそうになったらしい。近くにたまたま街の警備で見回り中だった衛兵に助けを求め助かったらしい。

とうとう、自分一人では我が子を守れ切れなくなり、私に子供を託しに来たのだと言う。

「この子が王族のであるのは分かった。しかし、貴方はどうするのだ。」

「私は我が子を守れるのならそれだけで十分です。」

「しかし、貴方が殺されてしまうぞ」

「良いんです。こうなる事は最初から覚悟していましたから。」

彼女は迷いのない目で私にそう伝えて来た。

「ウィリアム悪いが母上を呼んできてくれ」

「分かりました」

ガチャンッ

「弟を抱いても良いだろうか?」

「はい。抱いてあげて下さい。」

「あぅっ…キャッキヤッ」

「名は何と言うのだ?」

「ローシャと名付けました」

「とても良い名だ」

「可愛いな…。」

「はい。とっても可愛いんです。」

コンコン。「陛下アリス様をお連れしました。」

「入ってくれ」

「ロイドどうしたのですか?」

「母上。愚王が愚かな事をしでかしていた様です。」

~~~

「そうだったの…なんて愚かな事を。」

「貴方のお名前を聞いてもよろしいかしら?」

「私はエマと申します。」

「エマさん。本当に申し訳ありませんでした。」
「私からも言わせて欲しい。私の愚かな父がやった事は決して許される事ではない、本当にすまなかった。だが、私の大切な弟を大切に育ててくれてありがとう。エマよ。」

「陛下も、アリス様も、顔をあげてください!」

「私はローシャを産んだ事は後悔はしていません!私は全力で今までローシャを愛して来ました。ですからどうか、ローシャをよろしくお願いします!」

「あぁ、私たちも全力でローシャを愛すると誓おう」

「ありがとうございます!」

「ねぇ、ルナさん。よろしければローシャの乳母なってはくれないかしら?」

「わ、私がローシャの乳母にですか?」

「えぇ、それにここにいた方が貴方を護りやすくなるわ。」

「どうかしら?」

「…分かりました。是非やらせていただきます。」

その後、彼女は約一年ローシャの乳母を務め、仕事の出来も良く他のメイド達とも仲が良かった。

しかし、ローシャが3歳になる直後に彼女はローシャを刺して殺そうとしたメイドからローシャを守って死んでしまった。

急いで衛兵がそのメイドを捕まえようとしたがそのメイドは彼女を刺したナイフを自分の喉に刺して死んでしまった。

その後、そのメイドについて調べたが、誰の指示でやったのかは分からなかった。

それからはローシャの守りを強化した。

そのおかげでローシャに危害を加えるものは現れなくなったが今回ローシャはまた誘拐されてしまった。

ローシャが誘拐された次の日にまたあの侯爵家が娘を王妃にと会いに来た。今まで合計何回コイツが来たかもう覚えていない。

「私はお前に構っている暇わないんだいい加減諦めて帰れ。」

と私が言ったらあいつは「もう陛下が子供を産まないと王族がいなくなってしまいますぞ。私の娘は平民と違いそれはそれは美しく育ちましてね。是非、陛下に会って頂きたいと思っているんです。」

そう言って来た。

その瞬間私は気付いた…ローシャの母を私の父に襲わせた事から今までのことは全てお前が仕組んだのだと。

そこから早かった。

あいつの家を隈無く調べると今まで隠れていた罪が沢山出てきた。

彼女を殺したあのメイドは家族を人質に取られていて、失敗した瞬間家族は殺すと言われていた様だ。

あの時自殺したのは家族と一緒に行こうとしたことと罪のない人を殺してしまった罪悪感からだったのかも知れない。

案の定あの侯爵家の奴らを全員拘束して今までのことを吐かせると今までの事は全てそいつらの仕業だった。

王と関わったのは自分達がやっている悪事を誤魔化してもらう為、ローシャを殺害使用したのはそいつが次の王になったら自分の娘を王妃に出来ないからだと話していた。

そいつの娘は娘で自分が今罪人であることの自覚がないのか長々と自分がいかに素晴らしい人間と自分を褒めまくっていた。

さすがにウザすぎてあの女が自分の容姿を褒め始めた瞬間本当はとても失礼な事だが、私は彼女の容姿をディスりまくってやった。

しかし、本当にタイプじゃ無かった。

私は化粧で作った顔や香水をドバドバにつけて一緒にいるのが苦痛になるような人よりも、一緒にいて心地よくなる様な人がいい。

あれは私の好みとは真逆だった。

そう言ってやれば次は長男を私の嫁にと言いやがった。

こんな性格が悪く何人もの愛人を侍らせている様な奴こっちから願い下げだ。

どっちにしろ死刑は確定だと伝えるとすごい暴れ様だった。

その後やっとあいつらの死刑が終わりローシャを魔の森から助け出そうとした時にローシャを保護している者が現れたと報告を受けた。

最初は罠かも思い警戒していたが本当にローシャを大切に保護してくれた男のようだった。

マントで顔は分からなかったが声は男であった。

しかし身体は華奢でとても男には見えなかった。

そこ男はとても賢く決して私達に顔を見せようとはしなかった。

しかし、ローシャが顔が見えない事を指摘し不審者扱いをした瞬間、その男は諦めてフードーとった。

その瞬間私は自分の目を疑った。

真っ黒な髪に黒曜石の様な透き通った黒の瞳。間違いなく神子様だった。

しかも私の好みドストライクだった。

小さな顔に綺麗に輝く大きな瞳そして、天使や輪っかがついた少し長めの黒髪。そして、これまた透き通る様な綺麗な白い肌。その世のものとは思えない程に美しかった。

私は人生で初めて一目惚れをした。

その後はケネスがどうにか王都へ恵みを連れて行こうと説得をして了承を得る事ができた。

その後は幼馴染達に私が一目惚れしたのがバレてずっと笑って来た。

私はローシャを王族として迎え入れてからはまたあの様なゴタゴタが起こらない様に私は結婚する気も子供を作る気も無かった。

しかし、私は恵と結婚したいと強く感じてしまっている。




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