上 下
6 / 11

ある日の朝食

しおりを挟む
「パチッ…いただきます…モグモグッ」

「はい、召し上がれ」  

ノアが目覚めてから約二週間が経った。
少し前までは、起き上がる体力も全く無かった為、ベットで体に優しく栄養満点の食事を摂らせて体力を回復させていた。

最初は起きる体力も無かった為、食事を摂るとすぐに眠りについていたが、最近では決まったお昼寝時間以外はちゃんと起きていられる様になった。

ノアがまだベットで過ごしていた頃は、ブランシュが仕事で外出する度にすごく寂しそうな顔をしていた為、ブランシュは毎回後ろ髪を引かれる思いでノアの部屋を後にし移動中の車の中ではずっと行きたく無いと駄々を捏ねていた。

ノアの方は、一人で寂しくならない様にとシロとクロがいつもノアにべったりとくっついていた。

ブランシュはいつもノアと一緒にいられるシロとクロに対して少しやきもちを焼いていたりする。

しかし、そうして元気になってくれたノアとブランシュは現在一緒に朝食を摂っていた。


「ノア、おいしいかい?」

「はい、とっても美味しいです!」

「それは良かった。…ナデナデッ」

小さいお口を可愛くモグモグと動かして美味しいと頬を赤らめながら上目遣いで言われると抱き締めたくてたまらない。

しかし、ロゼッタがさっきからノアには優しい目を向けているのに私にはノアの食事の邪魔をするなという強い圧を感じる…。
私はノアの頭を撫でることしかできない…。

最近ノアと一緒に食事を摂り始めたが、やはりノアは食事のマナーを知らなかった。

お箸やスプーンの持ち方はルーシーと言う使用人に教えて貰ったらしいが箸は、ルーシーが辞めさせられてからは一度も使っていなかった為、うまく使うことが出来なくなっていた。

スプーンは今でも使えていたがナイフとフォークは一度も使ったことがないと言っていた。

今は兎に角、ノアには栄養満点の食事を沢山摂って欲しいから、基本スプーンで食べられる料理を出して、お箸で食べないといけない料理はブランシュがノアを膝の上に乗せて一緒にお箸を握りながらたべさせている。

まさに今現在ノアはブランシュの膝上に座っている為、ブランシュは可愛いノアを抱きしめたくて仕方がない。

だが、先程から、ロゼッタの強い圧を受けているブランシュは
抱き締めたい欲を頑張って押さえているのである。

「ノアはどのご飯が一番美味しかった?」

ちなみにこの質問は料理長のドムに頼まれたものである。
ついでに言うとロゼッタの旦那である。
見た目は大柄で乱暴そうだか、実は子供好きで、裏表がないタイプの優しい人である…ちなみに料理もうまい。

数日前に、ドムとノアを会わせたら予想通りノアはすぐに懐いた。
やはり、ああ言う裏表の無い人間は好かれやすいらしい。
ちなみに私も嫌いでは無い…。

しかし、ドムと会う度に嬉しそうな顔をするのは少し妬ける。

「ブランシュさんのお家の人達が作るご飯は全部美味しいです。」ニコツ

「…ガタッ…」

「グッ…そ、そうか…それは良かった、ドムもきっと喜ぶよ」

そう言いながらブランシュは少し隙間が空いているドアをチラリと見た。

案の定料理人達は皆無言でガッツポーズをしていた。

ノアは皆から人気者である

こんなに可愛くて優しい子だったら誰でも好きになってしまうだろう。

こんな日が長く続く事を願うばかりだ…





























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

人族と竜人族の相互理解のために来たんであって生贄ではないはず

ささかm
BL
人族・獣人族・竜人族で成り立つ世界で勃発する番-つがい-関連の問題が長年の議題にあがっていた。 そんな中、仕事中の軽口でもっとお互いの生態を理解すべき、と口にしたところあれよあれよという間に 巻き込まれることに。

【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

罰ゲームでパパ活したら美丈夫が釣れました

田中 乃那加
BL
エロです 考えるな、感じるんだ 罰ゲームでパパ活垢つくってオッサン引っ掛けようとしたら、めちゃくちゃイケメンでどこか浮世離れした美丈夫(オッサン)来ちゃった!? あの手この手で気がつけば――。 美丈夫×男子高校生 のアホエロ

灰色の天使は翼を隠す

めっちゃ抹茶
BL
ヒトの体に翼を持つ有翼種と翼を持たない人間、獣性を持つ獣人と竜に変化できる竜人が共存する世界。 己の半身であるただ一人の番を探すことが当たり前の場所で、ラウルは森の奥に一人で住んでいる。変わらない日常を送りながら、本来の寿命に満たずに緩やかに衰弱して死へと向かうのだと思っていた。 そんなある日、怪我を負った大きな耳と尻尾を持つ獣人に出会う。 彼に出会ったことでラウルの日常に少しずつ変化が訪れる。 ファンタジーな世界観でお送りします。ふんわり設定。登場人物少ないのでサクッと読めます。視点の切り替わりにご注意ください。 本編全6話で完結。予約投稿済みです。毎日1話ずつ公開します。 気が向けば番外編としてその後の二人の話書きます。

弟いわく、ここは乙女ゲームの世界らしいです

BL
――‥ 昔、あるとき弟が言った。此処はある乙女ゲームの世界の中だ、と。我が侯爵家 ハワードは今の代で終わりを迎え、父・母の散財により没落貴族に堕ちる、と… 。そして、これまでの悪事が晒され、父・母と共に令息である僕自身も母の息の掛かった婚約者の悪役令嬢と共に公開処刑にて断罪される… と。あの日、珍しく滑舌に喋り出した弟は予言めいた言葉を口にした――‥ 。

婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々

月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。 俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

処理中です...