上 下
18 / 24

あーちゃん初めてのショッピング

しおりを挟む
「それでは、何かあればご連絡下さい」

「ああ、よろしく頼むよ。拓海」

「はい」

「あの、拓海さん、い、行ってきます。」

「はい。行ってらっしゃいませ綾さん」ニコッ

「あー拓海今あーちゃんに色目使ったでしょ~」

「使っていませんよ。」

「ふふふっみんな楽しそうねー」

「そうだね。さぁ、そろそろ行こうか」

「ええ、そうね、それじゃあ拓海後はよろしくね」

「かしこまりました。」ペコッ

「さあ、まずは綾ちゃんのお洋服を見に行きましょう!」

「あ、えっと、その、僕、お金持っていませんから買っていただかなくて、大丈夫です…」

「そんなこと気にしなくていいのよ!」

「て、ても…」

「そうだよあーちゃん!僕たちがあーちゃんに来て欲しい服を買うだけだからね!」

「それよりあーちゃんは今日はお人形さんにされるから頑張ってね!」

「お、お人形?」

「そうだよ、あれはね、幾つになっても地獄だよ」

「あぁ、そうだな。私もだよ。」

宗介さんまで…一体なんのことを言っているんだろう?

もしかして、お人形ってサンドバックのことだったりして…。

「い、痛いのは嫌だな…」

「大丈夫だよ…全く痛く無いし、ただ立っていればいいからね」

「立っているだけでいいの?」

「うん、だから安心してね」

「う、うん」

あきが大丈夫って言うなら大丈夫だよね。
 
……しかし、この後僕は思い知った…花さんの恐ろしさを…


「まあ、これもとっても似合っているわ!!綾ちゃん次はこれを着て見てもらえる?!」

僕は今、着せ替え人形と化している。

「あーちゃん次はこれね!!」

「は、はい。」

服屋に入った瞬間花さんが物凄い勢いで僕に似合いそうな服を集めてきて僕はずっと試着室で着せ替えをされていた…。
ちなみにこれで5件目である。

「母さん、あーちゃん初めてのこっちの方が似合うよ!」

「えーそんなことないわよ!」

ギャーギャーギャー

何故かあきも花さんと一緒になって僕に服を着せて来ている。

ちなみに宗介さんは試着室の前に置いてある椅子に座って魂が抜けた様な顔をしている。

一体僕に何着のお洋服を買うつもりなのだろうか?

……

「それじゃあ、私はお会計してくるから少し待っててねー!」

「「お、終わった…」」

…見事に言葉がシンクロした綾と宗介なのであった。

「うん、あーちゃんのお洋服が選べるからボケも張り切っちゃった!」

あきはとても楽しそうに花さんと一緒に僕に試着させたい服を持ってきていて何故か、今はホクホク顔をしていてとっても満足そうだ。
…でも、僕はとっても疲れた…。

「綾くん、お疲れ様だね。」

「あ、はい宗介さんもお疲れ様です。」

宗介さんは1、2店舗の時に花さんが宗介さんの服を嬉しそうに選んでいたんだけどそれもまた凄くて、宗介さんは疲れ果ててしまった。

でも、宗介さんは花さんの服を嬉しそうに選んでいたからとっても仲がいいんだと思う。

僕も花さんとあきのお洋服を一緒に選んだのはとっても楽しかった。

それに、今日は平日だからお客さんも凄く少ないから花さんや宗介さんはわざと週末じゃなくて平日に僕をお買い物に誘ってくれたのかもしれない。

あきの家族はとっても優しい家族だと思う。

さっきもあきの家族はとっても良い家族だねってあきに言ったらあきは僕も家族だよって言ってくれた。

血がつながっているはずの人たちに家族として認めてもらえなかった僕が、血が繋がっていない赤の他人である僕の事を家族だと言ってもらえたことがとっても嬉しかった。

また僕があの家で一人ぼっちだった頃の生活に戻ったとしてもこの思い出があればきっと僕は大丈夫だと思った。


「それじゃあ、ちょうど良い時間だしお昼ご飯を食べに行きましょうか?」

「そうだね、秋人と綾くんは何か食べたいものはある?」

「ぼ、僕は何でも大丈夫です。」

「うーん、そうだな、あーちゃんはまだ重いのは食べられないから和食なんかどう?」

「良いわね!そうしましょう!」

「それで良いかい綾くん?」

「は、はい!大丈夫です」

「それじゃああのお店がいいわね!行きましょう宗介さん!」

「そうだね」

宗介さんと花さんは一緒に歩くときは、花さんは宗介さんの腕に腕を絡ませて歩いている。とっても仲が良さそうだ。

「じゃあ、あーちゃん、はい。」

「う、うん」

僕は、あきが僕が迷子になったら大変だからって一緒に手を繋いでくれている。

誰かと手を繋いだことは僕が記憶にある限り一度も無いからこうやって秋と手を握って一緒に歩けるのはとっても嬉しいな。


……………


「「「「ご馳走様でした。」」」」

「綾ちゃんどうだったかしら?」

「はい、とっても美味しかったです。ごめんねあき、残り食べてもらって。」

「気にしないであーちゃん。僕にとったらご褒美だから。」   

「ご、ご褒美?」

「ふふっ気にしないでね。」

「?う、うん。」


「さあご飯も食べたことだし、午後も張り切って行くわよ!」

「ははは…」

午後もあの勢いでお買い物をするの?

…花さん怖い…。




つづく























しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あざといが過ぎる!

おこげ茶
BL
 自分のかわいさを理解して上手いこと利用しているつもりの主人公、美緒のあざとさは本人が思ってもいない方向に作用していた!? 「や、僕女の子が好きなんだけど!?」 ※基本的に月曜日の19時更新にする予定です。 ※誤字脱字あれば、ぜひふわふわ言葉で教えてください。爆速で直します。 ※Rは今のとこ予定ないです。(もしかしたらあとから入るかも。その時はごめんなさい)

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

一妻多夫の奥様は悩み多し

たまりん
BL
男性しかいない一妻多夫の世界が舞台で主人公が奮闘して奥さまとして成長する話にするつもりです。

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

悪役の俺だけど性的な目で見られています…(震)

彩ノ華
BL
悪役に転生した主人公が周りから性的な(エロい)目で見られる話 *ゆるゆる更新 *素人作品 *頭空っぽにして楽しんでください ⚠︎︎エロにもちょいエロでも→*をつけます!

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

処理中です...