上 下
93 / 99
第2章 領地編1~新たな出会い~

第51話 ラッキースケベ再び!?

しおりを挟む

『うぬぬぬぬぬ! ぬぉぉぉぉお!!』
 
 と叫びまくったべにちゃん。だが、結局人間にはなれなかった。
 
『お姉様……期待に応えられなくて、ごめんなさい』
「ううん。がんばってくれて、ありがとね」
 
 ショボくれてしまったべにちゃん。とさかを優しく撫でれば、嬉しそうに目を細めた。
 
『なっさけないわね! そのオロチってやつはできたんでしょ? 同じ眷属として既に負けてるじゃないの』
『しゅいさんこそ、人間になれてないじゃないですか!』
『なんですってぇ!! べに、お手本を見せてあげるから、見てなさいよ!』
 
 しゅいちゃんはそう言うけど、難しいだろうな。なんて、思っていたのだが──。
 
 ボッフン!!
 
 しゅいちゃんを白い煙が包んだ。
 
「えっ!? 嘘でしょ? ってか、服は? しゅいちゃん、服着てんの!?」
 
 慌てる私の言葉は、全くといって良いほどしゅいちゃんには届いていない。
 
『ふへへへへへ。やったわ。やってやったわ! あたしだってね、やればできるのよ!!』
「わかった! しゅいちゃんができるのは、よく分かったから! 服は? ねぇ、服は着てるんだよね!?」

 ふへふへと笑い声は聞こえるものの、返事なし。どうすんのよ……。

 なんて思っている間にも煙は徐々になくなっていき、なまめかしいスラッとした足が見えた。

「くっそ! ラッキースケベなんかい!! ノア、後ろ向いてて!」
「もう、向いてるよ。メモルにバスローブを何個か持ってくるように伝えたから」

 魔術を使って、メモルに指示を出してくれたみたい。それは助かるんだけど……。

「バスローブより服の方が……」
「服だとサイズが分からないでしょ? とりあえず、サイズが大まかなものの方がいいかと思ったんだけど」
「確かに!」

 流石ノア!! って感じだよー。これで、服問題はとりあえず解決……かな?

 あーぁ。ミモルに私たちは大丈夫だから、他のレッドプテラのことをお願いね! って言っちゃったけど、ちっとも大丈夫じゃなかったなぁ。
 なんて思っているうちに煙はほぼ無くなった。


『ほら! ちゃんと人間になったわよ!!』

 しゅいちゃんは、こちらが視線をそらしてしまう程、堂々と姿を現した。両手を腰にあてて胸を張り、非常に誇らしげだ。
 朱色の腰まであるストレートな長い髪。意思の強そうなオレンジ色の瞳。色の白い肌。漂うギャル感。間違いなく、美人さんだ。

 だけど、だけどさぁ!!

「やっぱり全裸だったじゃんかぁ! 私の話し聞いてた!?」

 あんなに服着てるか確認したじゃんかーーーー!!!!

『アリア、なに言ってるの? 魔物に服は必要ないわよ』
「しゅいちゃん、今は人間だから! それに、魔物でも服着てる子いるから! 郷に入れば郷に従ってよぉぉぉお!!」

 私の叫びにしゅいちゃんだけじゃなく、べにちゃんまでもが首を傾げている。

『こんなに素敵な体なのに、何で隠すのよ』
『郷に入れば郷に従って? どういう意味ですか?』

 んぁぁぁあ! 全く伝わんない!! 確かに、しゅいちゃんはボン・キュッ・ボンのナイスバディだけども。
 だけども、それじゃ変質者だから! ラッキースケベとかの次元じゃない! 強制スケベイベントになっちゃうよ。急にエロゲー感を出してくるの、勘弁して!!




 
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう

蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。 王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。 味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。 しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。 「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」 あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。 ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。 だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!! 私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です! さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ! って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!? ※本作は小説家になろうにも掲載しています 二部更新開始しました。不定期更新です

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

その国外追放、謹んでお受けします。悪役令嬢らしく退場して見せましょう。

ユズ
恋愛
乙女ゲームの世界に転生し、悪役令嬢になってしまったメリンダ。しかもその乙女ゲーム、少し変わっていて?断罪される運命を変えようとするも失敗。卒業パーティーで冤罪を着せられ国外追放を言い渡される。それでも、やっぱり想い人の前では美しくありたい! …確かにそうは思ったけど、こんな展開は知らないのですが!? *小説家になろう様でも投稿しています

処理中です...