84 / 99
第2章 領地編1~新たな出会い~
第42話 キギャキギャって、何言ってるのか分かんないよ
しおりを挟む助けるべきか、否か。助けるのは簡単だけど、振られた相手に助けられるのって微妙な気持ちにならない? そんなら振るなよ! 的なさぁ。
あぁ。でも、あのままだと大怪我しちゃうよね。うーん。やっぱり行こう! 見て見ぬふりはよくないよね!!
「ん?」
ものすごい殺気を感じてそちらを見れば落ちていくリーダーの元へと飛んでいく1匹のレッドプテラ。だが、今はもう殺気を感じない。
気のせい? いや、確実に殺気だったよね。
私が助けなくても仲間が助けてくれるなら、その方がいいよね。といざとなったら助けられるように見守る。
無事、リーダーは助けに行ったレッドプテラの背中に着地した。そして、2匹まとめて落ちていった。だが、落ちる速さもゆっくりになったので、あれなら大した怪我もしないだろう。
未だに足場にしているレッドプテラを私は見下ろした。
それにしても、なんでこの子はずっと大人しく足場にされてるんだろ?
「私を乗せて下まで行ってくれる?」
そう言えば、ゆっくりと下降し始めるレッドプテラ。もしかして、私の言葉が分かるのだろうか。
「ねぇ、私の言葉が分かるの? イエスなら1回。ノーなら2回鳴いてね」
キギャー。
「私はリーダー倒したことになるの?」
キギャー。
「他のあなたの仲間は人間の言葉は分かる?」
キギャキギャ!
「人間の言葉は話せたりする?」
キギャキギャ。
なるほど。っていうか、何でこの子だけ人間の言葉が分かるんだろ。ノアなら理由が分かるかな?
賢いレッドプテラに乗せてもらって私はノアやリーダーのいるところへと行く。すると──。
キギャギャキギャー!!
何だか、すんごい殺気を向けられた。その相手はさっきリーダーを助けに行ったレッドプテラ……のような気がする。
何かを言ってるんだろうけど、全く分からん。
「姉さん、お疲れさま」
「ノア!」
うん。何か疲れたよ。戦うのは良かったんだけど、なぜか求愛は始まるし、リーダー倒したことになってるのに殺気を向けられるし……。
リーダーを倒したら、次のリーダーになれるんじゃなかったの?
私は乗せていてくれたレッドプテラから降りてお礼を言うと、ノアに抱きついた。
「なんか疲れちゃった。あぁー、癒されるー」
ギューッと抱き締めれば、背中をポンポンとノアは優しく叩いてくれる。あぁ、ノアは控えめに言って最高だ。優しいし、可愛いし、天使だし、頭良いし…………。
「ノア、レッドプテラって人間の言葉が分かるの?」
「え? そんな資料は見たことないけど」
「私を乗せてくれてた子が、私の言葉が分かったんだよね。他のレッドプテラは無理らしいんだけど」
そう言ったら、ノアは私から離れてレッドプテラの方へと行ってしまった。さみしい……。
「僕の言葉、分かる?」
だが、レッドプテラは無視だ。
「どうしたの? お話しするのが嫌なの?」
キギャキギャ。
どういうことだ? 話すのは嫌じゃないけど、ノアを無視をするっておかしくない?
「姉さん、僕の言ってることが分かるか聞いてみてくれる?」
「うん、分かった。私の弟……ノアが言ってること分かった?」
キギャキギャ。
「もしかして、私の言葉だけ分かるの?」
キギャー!
ノアを指差しながら聞けば、答えはノー。私の言葉しか分からないらしい。
「姉さん、そのレッドプテラの上で戦ってたよね。もしかしたら、姉さんから溢れる魔力をそのレッドプテラが取り込んだとか?」
そんなことできるの? とレッドプテラへと視線を向けるが反応なし。そうだった。ノアの言葉は分からないんだった。
「ねぇ、あなたは私の魔力を取り込んだの?」
キギャー?
どうやら本人にも分からないらしい。
0
お気に入りに追加
1,161
あなたにおすすめの小説
【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう
蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。
王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。
味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。
しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。
「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」
あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。
ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。
だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!!
私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です!
さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ!
って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!?
※本作は小説家になろうにも掲載しています
二部更新開始しました。不定期更新です
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした
ひなクラゲ
恋愛
突然ですが私は転生者…
ここは乙女ゲームの世界
そして私は悪役令嬢でした…
出来ればこんな時に思い出したくなかった
だってここは全てが終わった世界…
悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる