悪役令嬢は、最愛の弟と自分の幸せを奪うものを許さない!!すべてを物理でねじ伏せさせて頂きます

うり北 うりこ@ざまされ書籍化決定

文字の大きさ
上 下
57 / 99
第2章 領地編1~新たな出会い~

第15話 ショタコンなのかな?

しおりを挟む

 フォクス領へと到着すれば、昨日の木の下でジンが待っていてくれた。
 
「ジンーーっ!」
 
 ぶんぶんと手を振れば、ジンは軽く手をあげてくれる。その姿に震えた。
 だって、かっこいいんだもん。もしかして、私ってショタコンだったのかもしれない。いや、私も子どもだから問題ないのか? でも前世が16歳で、今世の11歳を加えれば27歳なわけで。
 
「オロチ。私ってショタかな?」
『ショタとは?』
「少年好きってこと」
『それは、そうなんじゃないのか?』

 あっ、肯定された。そうかぁ。私はショタコンだったのか。
 確かにノアは天使だし、レオナルドとリカルドのことも可愛いと思ったことがある。

『ん? 落ち込むことはないだろう? 幼いアリアが幼い者に好意を寄せるのは当然のことだ。ただ、姉弟は禁忌だぞ』

 あれ? あぁ、オロチのなかで私はジンくらいの歳の子なのか。それにしても、ノアと私の仲をまだ疑っていたとは。

「もし、27歳が11歳に恋心を持ったら変でしょ?」
『いいんじゃないか?』
「へい!?」

 ビックリし過ぎて変な声が出ちゃったよ。どう考えても犯罪臭がする案件を『いいんじゃないか?』ですと!?

『長く生きてると、それくらいは誤差だ。大した年齢差には思えない』
「えっと。オロチって何歳なの?」
『千年越えたあたりで数えるのは止めたから、分からないな』

 あぁ、これは聞く人を間違えたパターンだ。
 ふふっ。だけど、誤差かぁ。実際に私が今27歳だと問題あるかもだけど、そうじゃないから世間から見たら何にも問題がない想いなのかもしれないな。
 ジンのことをもっと知りたいって気持ちは……。


「ジン、おはよう」
「おはよう。オロチ様もおはようございます」
『うむ』

 口角を少しあげてジンは挨拶をすると、視線をノアに移した。

「はじめまして。フォクス子爵家の四男、ジンと申します」

 私が昨日、自分のことをスコルピウス公爵家の娘だと言ったからだろうか。ジンは丁寧にノアへと話しかけた。けれど、ノアは不機嫌そうにそっぽを向いている。

「ノア、どうしたの?」
「何でもないよ」

 私が話しかければいつもの笑みを浮かべるものの、ジンへ向ける視線は冷たい。

「僕はノア。君と親しくするつもりはないから。今日は姉さんの頼みだから来ただけから、勘違いしないでよね」
「そうか。わざわざありがとな。姉さん想いなんだな」

 ノアの様子を見て、ジンは敬語を使うのを止めたよう。何だか、可愛い弟を見るお兄ちゃんみたいな雰囲気だ。

「当たり前だろ。姉さんは世界一美人で可愛くて見た目は女神なのにちょっとぬけているところがまた魅力的でしかも優しいんだから。それに──」

 息継ぎはどこでしているの? ってくらいノアは止まらずに話続ける。

「ちょっ……。ノア、ストップ。ストップ!」

 恥ずかしくなって途中で止めに入れば「言い足りないのに……」とちょっぴり頬を膨らます姿に天に召されるかと思った。


「親父には話をしたし、魔術を使えるものも集めてある。ただ、うちの領は魔術を使える者が少ないんだ。使えると言ってもそよ風を起こすくらいだぞ?」

 そう。スコルピウス家とリカルドの方が極少数派なのだ。魔術は使えてもジンの言う通りそよ風程度が一般的。
 それでも魔術が使える人に集まってもらう必要があった。結界が完成したら定期点検をしてくれる人がいないと困るから。

「大丈夫だよ。結界の修復ができるのが理想だけど、点検さえできればあとはどうにでもなるから」

 一番の問題は私が上手く結界を張れるかなんだよね。細かい作業は苦手だし。そのために、ノアがきてくれたんだけどさ。

 
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた

よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。 国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。 自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。 はい、詰んだ。 将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。 よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。 国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?

ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

処理中です...