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第1章 王都編
第5話 悪役令嬢回避作戦を立てよう!
しおりを挟むノアを堪能した後、私は魔術を使ったのは誰なのか、瞳の色の変化はなぜ起こったのか、という疑問に首を捻りながらも、レオナルド王子ルートについてノートに書き出した。そして、これからやるべきことも書いていく。
もちろんノアと距離を置くのは無理だから、悪役令嬢回避作戦からは除外する。あんなに幼い子に急に姉から避けられたなんてトラウマを作っちゃいけない。心の闇になるかもしれない。
決して、私が辛いからじゃない。
誰に言うでもなく一人心の中で言い訳をしながら書き進める。【悪役令嬢回避作戦】と何のひねりもない作戦名の計画を。
悪役令嬢回避作戦 その1
レオナルドに関わらない
まぁ、王子と公爵令嬢が生涯関わらないのはまず無理だ。だから、理想は婚約者が決定するまで関わらないこと。
けれど、公爵家の令嬢として最低限は社交もしなくてはならないから、顔見知り程度の距離感を持つってところが妥当かな?
もちろん、私がレオナルドを好きにならないのは大前提。レオナルドルートの結末を知ってて好きになるとは思えないけど。
悪役令嬢回避作戦 その2
アマ・デトワール学園に通わない
最初は名案だって思ってたけど、よく考えたら難しいかもしれない。
子爵家は家格が低いから、高等部から入学した可能性もある。だって、貴族が通う学園の学費は絶対に高い。断言できる。そうなると、より金銭的に余裕のある家、高位貴族の方が初等部から入学する割合が多いはず。
自分一人で決められることでもないから、早々に確認しないと。
悪役令嬢回避作戦その3
レオナルドの婚約者候補から外してもらう
これは至って重要。まだ6歳だし実際に婚約できるのは18歳になってからだけど、婚約者候補は実在する。
早すぎないかと思うが、レオナルドは王子。行く行くは王となりこの国のトップに立つ人だ。
その妃となり陰日向と王を支えるのだ。候補者は多い方がいいし、探すのが遅すぎることはあっても早すぎることは決してない。
問題なのは、その候補の筆頭に私がなってしまっていること。昨日までの私は王妃様に憧れていたから喜んでいたが、今は御免こうむりたい。
ノアが廃人になる可能性がわずかにでもあるのなら、こちらから願い下げである。
しかし、公爵令嬢が候補から外れられるのか? 魔術師を除けば国で2番目に位が高い公爵家だよ? お父様もお母様も私が王妃になるべきだって言ってるし……。
子供相手にどこまで本気で言ってるかは分からないけど、全くの嘘だってことはないはず。………たぶん。
これも早々に確認しよう。反応によって対応を考えないと。
悪役令嬢回避作戦 その4
悪役令嬢の取り巻きとは仲良くならない
確か取り巻きも初等部からの入学だから、入学しなくて済むのならそれに越したことはない。万が一、入学しなければならなくなったら、こちらもレオナルド同様に顔見知り程度の関係を作っていこう。
悪役令嬢回避作戦 その5
ノアが禁断の魔術を手に入れる前に、その魔術そのものを消す
とは言っても、これは無理そう。禁断の魔術は口頭で伝わるのか、書物があるのか、それ以外なのか、全く分からないもんなぁ。
この世界には魔法という名の魔術が存在する。みんな魔力を持って生まれてくるものの、力は非常に弱くそよ風が出せたり、火の火力をほんの少し強くできたりと役に立つことはほぼない。
だから魔道具を使用する。それによって明かりはつくし、冷蔵庫やエアコンのようなものもある。
電気やガスの代わりに燃料として魔石と呼ばれる石が使用されていること以外は日本と何も変わらない。
ここは乙女ゲームの設定さまさまだ。
そんな中、まれに魔力が高く突風や火を起こしたりできるものがいる。それが魔術師だ。
スコルピウス家は魔術師の家系で、過去に魔術師を何名も輩出して国に貢献してきた。
その功績により公爵という爵位を承った魔術師の名門でもある。しかし、ここ何代もスコルピウス家から魔術師になった者はいない。皆、魔力が低いわけではないようなので、何か理由があるのかもしれない。
魔術師に関しては分からないことが多すぎる。魔術は風をおこす等の基礎以外は秘匿とされているし、禁断の魔術など最たるものだろう。
じゃあ、秘匿な情報をノアはどうやって手に入れた?
ノアに魔術師の素質があるのは分かる。だから、魔術が使えるのはいいとして、禁断の魔術を知る方法は?
考えれば考える程、わからなくなっていく。
とりあえず、魔術について調べてみよう。
新しくわかることはないかも知れないが、少しでもヒントになるものがあるといい。
考えたところで手詰まりなため、他に悪役令嬢を回避する方法を考えるが思い付かない。となると、これはお父様に突撃するべきではないだろうか。
魔術についてや瞳のこと、学園に行かなくてはならないのか、婚約者候補を辞退できなのいかなど、大事な話がたくさんある。
全て私が考えたところで答えはでないのだから、聞くしかないだろう。
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