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パーティーの後始末

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 アメリアたちと会場に戻ると、相当心配していたと思われるバルドに迎えられた。遅くなってしまった謝罪と、訳を説明すると、バルドの表情が一瞬強張った気がしたが、陛下の閉めの挨拶が始まるためすぐに席に戻った。


 パーティー終了後、思いの外疲れていたシャルノアは王宮の部屋を借り、早々に休むことになった。元々王家の方々の中ではその予定で計画されていたようで、皇后や王女たちと近い部屋へと案内される。部屋では既にナナが待機しており、いつものようにせっせと世話を焼いてくれた。
 ナナ曰く、婚約発表後の今後のことを両家で打ち合わせするために、明日陛下たちと時間が取ってあるらしい。父様からは何も聞いていなかったので突然だったように思っていたのだが、ナナの方は、ひとまずシャルノアが城にお泊まりになるのは確実だろうと呼び出されていたという。

(そうよね、もう婚約者なんだものね。このまま王宮に住む事になるかもしれない…)

 厳格な父と兄リュカの妨害はあるだろうが、なんだかんだでシャルノアの思うようにさせてくれる2人やナナには感謝しかない。ありがとうと心の中で呟きながら長い長い夜を終えるのだった。




 その頃、別室にて今日のパーティーの処理が進められていた。陛下、宰相、皇太子バルド、父アルト、兄リュカ、騎士団を代表してルジェリナ、女性陣代表としてアメリアが参加していた。

「して、結果はどうであろう?」

「今日動きが見えたのは3件だな。証拠は以前提出した分で良かろう?後は現時点では仕方ない。」

「恐れながら、そこに追加して頂きたいですゎ。シャルノア様に絡んできました令嬢とそのメイド、管理不足で家の方にも。」

「ほう。直接動きよったか。どこの家じゃ?」

「ガメイ伯爵家です。今日の令嬢は末娘のエレン嬢です。以前からバルドにしつこく寄ってきていた方ですわ。」

 その場にいた残りの人たちはアメリアの言葉に、ついバルドを見てしまう。

「父上、私からもお願い致します。少しばかり反省して頂かないと。」

「あっ、すみません。もう1件追加でオーロ男爵家を。」

付け足しのように、軽い口調のリュカへ周りの視線が集まる。

「オーロ男爵家のサラ嬢、以前王宮へ上がっていた令嬢ですね。招待状がなく入城禁止の為、中庭にいる所を確認してます。本人は直接手出ししてませんが、ドリンクへの異物混入は彼女の指示です。事前に防げたのは救いですが、彼女だけなのか、親もなのか確認は必要かと思います。」

(彼女がか…残念だ…。)

こめかみを押さえながら、バルドはリュカの報告を聞いていた。しっかりと伝えたはずの自分の思いは、サラには届かなかったようである。


「ガメイ伯爵家の件はこの者が詳細を把握しておりますので、後ほど報告させて下さい。あとは本日のパーティーに私と同様近衛騎士のシュナイダー団長もおりましたので、彼からも何か情報があるかもしれません。」

第1騎士団団長としての顔で意見を述べたリュカは、ルジェリナを紹介し、報告を全て済ますとすっきりしたような表情になった。
 逆に、陛下と宰相と共に話を聞いていたアルトとしては頭を抱えたくなった。ただでさえ、派閥を超えてよからぬことを企む者たちに目星をつけて忙しくしているというのに…

(いや、でもこれもシャルの幸せのためだと思えば…)

今しっかりと整えておけば、皇太子妃としての娘の安全は守られるであろう…そう考えたアルトは、前向きに仕事に取り組むことにした。
 先ほどまでの険しい表情を和らげると、アルトはバルドに向き合った。

「殿下、貴族の派閥や足の引っ張り合い等はこれからも出てくるでしょう。今回は、娘のためにある程度は片付けておきますが、ゆくゆくは貴方自身で判断して頂きたいと存じます。陛下のように頼りっぱなしというのも困りものですが、まぁ、味方を惹きつけるという点では見習うべきかと。」

「本人のいる前で、失礼な。」

「ふふっ。その通りなので文句は言えませんよね。バルド様にはもっとしっかりして頂かないと。」

 憎まれ口を叩きながらも、笑い合っている彼らからは信頼の絆が見える。



(なるほど。もっと味方を増やさなければな。)

「分かりました。精進して参ります、彼女のためにも。」

 バルドは分かっている。宰相はともかく、モンティ伯爵であるアルトが今、力を貸してくれるのは、自分が彼女から選んで貰えたからこそ、だということを。
 過ちを犯した1年前からしばらく、父も宰相も苦労していたと聞く。表から姿を消したモンティ伯爵家。役職に就いていなくても、国のトップから頼りにされている。それだけアルトの力は大きいのだろう。自分の行いが国にどれだけの損失を与えていたのか…父や宰相に対する申し訳なさと共に、未来への自分に対して責任を感じるのだった。
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