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4.魔法学院3年生 後編
ソフィアの誕生祭
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学院での穏やかな日々が過ぎ、あっという間にソフィアの誕生日が近づいてきた。心配していた創造主の動きも特になく、警戒していた自分たちが間違っているのかと勘違いすらしてしまう。
成人としてのお祝いとして、ソフィアのために王宮での誕生日パーティーが企画されている。大規模なものではなく、身内だけの集まりとしてあるが、場所は王宮、王家&ホスウェイト家の関係者ともなれば自然と顔ぶれは想像できる。
(王家の人たちに慣れてても、王宮の場って緊張するのよね…肩身が狭くなるというか、周りからの視線に慣れない。)
週末には王宮に戻り、皇后様やランベールとパーティーの打ち合わせがある。久しぶりに会えるのは楽しみなのだけど、聖女としての公表を控えているのできっとそんな楽しめる余裕はないだろう。
(良い所と言えば、みんなを隠さず済むことかな。)
今までは精霊たちに対して、兄の作った魔道具で隠蔽したり、部屋でのお留守番を頼んでいたが、今後は堂々と連れて行くことが出来る。
(まぁ、みんなそれぞれ違う人の所にいるんだけどね。)
相変わらずノアは忙しく動き回り、カルディナはアルフレッドの元にいる。陛下やハロルドとのやり取りも多く、助かっているのではあるが、精霊たちが便利屋として使われていて大丈夫なのだろうか…たまに、心配になるソフィアだった。
「「おかえり。」」
護衛のクレイグを連れて、学院から直接王宮に向かうと既に皇后とランベールが入口の前で待機しており、笑顔で迎えられた。
「ただいまです…」
我が家ではないのに、戻ってきたと感じるこの安心感。心の奥がフワリと温かくなる瞬間だった。
「さっ、お楽しみの時間よ。」
楽しそうな笑顔の皇后と、それを呆れたように見つめるランベールの表情はとても対照的で、ソフィアは笑ってしまった。
離宮の一室で、着せ替え人形のようにソフィアがアレコレ試着している間、皇后はデザイナーと話しながら細かい指示を出す。ランベールは別の場所で宝飾品を吟味していた。
王宮でのパーティーであるため、今回は父兄ではなく王家が率先して動くことになったらしい。あっという間にドレス選びも終わり、別室に準備されたお茶を飲みながらスケジュール確認となる。
「聖女の公表は陛下に任せてればすぐ終わるから。ソフィーちゃんはパーティーを楽しめばそれで十分よ。」
「大体はフィーのこと知ってる人だからね。王家に仕える者たちへの顔見せって感じかな。うん。楽しめると思うよ。」
(なんだろう…緊張してるのがおかしいのかな?)
2人の軽い空気に、ソフィアも少しずつ緊張が解けていくようである。のほほんとした雰囲気のまま打ち合わせは終わった。
「誕生日おめでとう。」
王宮の部屋で目を覚ますと、すぐ横でランベールに迎えられた。
「ありがとうございます。…だけと、寝起きは恥ずかしいです。」
「ふふっ。1番最初に伝えたくてね。ノアたちに先越されちゃうから急いだんだよ。大丈夫、フィーは十分可愛いから。」
もぉっ。と言いながら布団で顔を隠すソフィアをからかうランベール。隣の部屋だし、周りも気にしなくていいのだけど…嬉しいのだけど、とにかく恥ずかしい。
顔を真っ赤にしたソフィアが平常心に戻れたのは、朝食のために声をかけにきてくれたメイドが来てやっとだった。
朝食後、メイド数人に囲まれて夕方のパーティーに向けての準備が始まる。ソフィアにとっては我慢の苦痛タイムである。磨きあげられた身体にドレスを身につけ、装飾品をつけた後、ヘアーセットに入る。同時に爪もキレイに塗られて、徐々に形になってくる。
「頑張りがいがありますね!とってもキレイです。」
メイドたち大絶賛のもと、送り出された先にはランベールがいた。
「うん。似合うね。さすがフィーだ。」
満面の笑みで迎えられ、ソフィアは照れながらランベールの腕をとる。
パーティー中はドレス姿に合わないので、精霊たちは魔道具内に待機している。兄アルフレッドの自信作。
精霊石を埋め込んだブレスレットに精霊界と繋がりを込めている。呼べばすぐにソフィアの元に辿り着ける優れものだ。
「さ、行こうか。」
頼りがいのある腕を支えに、会場の扉へと足を進めた。
成人としてのお祝いとして、ソフィアのために王宮での誕生日パーティーが企画されている。大規模なものではなく、身内だけの集まりとしてあるが、場所は王宮、王家&ホスウェイト家の関係者ともなれば自然と顔ぶれは想像できる。
(王家の人たちに慣れてても、王宮の場って緊張するのよね…肩身が狭くなるというか、周りからの視線に慣れない。)
週末には王宮に戻り、皇后様やランベールとパーティーの打ち合わせがある。久しぶりに会えるのは楽しみなのだけど、聖女としての公表を控えているのできっとそんな楽しめる余裕はないだろう。
(良い所と言えば、みんなを隠さず済むことかな。)
今までは精霊たちに対して、兄の作った魔道具で隠蔽したり、部屋でのお留守番を頼んでいたが、今後は堂々と連れて行くことが出来る。
(まぁ、みんなそれぞれ違う人の所にいるんだけどね。)
相変わらずノアは忙しく動き回り、カルディナはアルフレッドの元にいる。陛下やハロルドとのやり取りも多く、助かっているのではあるが、精霊たちが便利屋として使われていて大丈夫なのだろうか…たまに、心配になるソフィアだった。
「「おかえり。」」
護衛のクレイグを連れて、学院から直接王宮に向かうと既に皇后とランベールが入口の前で待機しており、笑顔で迎えられた。
「ただいまです…」
我が家ではないのに、戻ってきたと感じるこの安心感。心の奥がフワリと温かくなる瞬間だった。
「さっ、お楽しみの時間よ。」
楽しそうな笑顔の皇后と、それを呆れたように見つめるランベールの表情はとても対照的で、ソフィアは笑ってしまった。
離宮の一室で、着せ替え人形のようにソフィアがアレコレ試着している間、皇后はデザイナーと話しながら細かい指示を出す。ランベールは別の場所で宝飾品を吟味していた。
王宮でのパーティーであるため、今回は父兄ではなく王家が率先して動くことになったらしい。あっという間にドレス選びも終わり、別室に準備されたお茶を飲みながらスケジュール確認となる。
「聖女の公表は陛下に任せてればすぐ終わるから。ソフィーちゃんはパーティーを楽しめばそれで十分よ。」
「大体はフィーのこと知ってる人だからね。王家に仕える者たちへの顔見せって感じかな。うん。楽しめると思うよ。」
(なんだろう…緊張してるのがおかしいのかな?)
2人の軽い空気に、ソフィアも少しずつ緊張が解けていくようである。のほほんとした雰囲気のまま打ち合わせは終わった。
「誕生日おめでとう。」
王宮の部屋で目を覚ますと、すぐ横でランベールに迎えられた。
「ありがとうございます。…だけと、寝起きは恥ずかしいです。」
「ふふっ。1番最初に伝えたくてね。ノアたちに先越されちゃうから急いだんだよ。大丈夫、フィーは十分可愛いから。」
もぉっ。と言いながら布団で顔を隠すソフィアをからかうランベール。隣の部屋だし、周りも気にしなくていいのだけど…嬉しいのだけど、とにかく恥ずかしい。
顔を真っ赤にしたソフィアが平常心に戻れたのは、朝食のために声をかけにきてくれたメイドが来てやっとだった。
朝食後、メイド数人に囲まれて夕方のパーティーに向けての準備が始まる。ソフィアにとっては我慢の苦痛タイムである。磨きあげられた身体にドレスを身につけ、装飾品をつけた後、ヘアーセットに入る。同時に爪もキレイに塗られて、徐々に形になってくる。
「頑張りがいがありますね!とってもキレイです。」
メイドたち大絶賛のもと、送り出された先にはランベールがいた。
「うん。似合うね。さすがフィーだ。」
満面の笑みで迎えられ、ソフィアは照れながらランベールの腕をとる。
パーティー中はドレス姿に合わないので、精霊たちは魔道具内に待機している。兄アルフレッドの自信作。
精霊石を埋め込んだブレスレットに精霊界と繋がりを込めている。呼べばすぐにソフィアの元に辿り着ける優れものだ。
「さ、行こうか。」
頼りがいのある腕を支えに、会場の扉へと足を進めた。
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