16 / 86
1.魔法学院1年生
(15).2人目の番人
しおりを挟む
エマがお茶を入れ直し、皆でひと息つく。ノアも精霊達も小さな姿に戻り、ソフィアの肩でくつろいでいる。
「ノアの番人っていうのはどんな役割なんだい?」
再度、アルフレッドが問う。
見た目が小さいのもあり、ソフィアの契約者なんだから、気安く話して欲しいと言われ、ハロルドもアルフレッドも肩の力を抜いて話す事が出来ていた。
特にアルフレッドは、番人としての立場でありながら、フクロウとしてソフィアとの仲を取り持って動いてくれていたことに感謝している。
「番人は全部で6人いるんだ。創造主はこの世界での神様みたいなものかな。6人の番人を通して流れをよむ。番人にはそれぞれ役割が与えられているんだが、今回の【契約】みたいな課題は、話の流れを変えるキーワードとして創造主が出してるんだ。彼は面白いことが好きだから、重要なことだったり、危険なこともあるかもしれない。」
「なるほど。ノアは他の番人がどこにいるか分かんないの?」
「近くにいれば創造主の力が働く可能性はあるけど。誰がどこにとかは全く。本人も発動しなければ番人として自覚してないことも多いからね。」
「そっか。【2人目の番人】が近くにいたりしてね。」
会話を聞きながら、ノアとアルフレッドは気が合いそうだなとソフィアは感じていた。
マルクはアルフレッドの言葉に反応していた。
【2人目の番人】
黒豹としてブレイユで活動する前の記憶が走馬灯のように戻る。番人として送り出された彼は、いつか現れる主に仕える為に組織をまとめていた。
【キーワード:忠誠】が発動する。
「当主様、お話しなければならないことがございます。」
突如話しかけられたハロルドは驚きつつも応える。
「どうした?改まって。」
「私マルクはノア様と同じ番人であります。」
「「「「「「え?」」」」」
まさかの発言に固まる一同。
我に返るのが早かったのは同じ番人のノアだ。
「マルクの課題は?」
「【忠誠】です。」
「隠密組織ブレイユとして活動していたのは、当主様もご存知かと思います。番人として、当主様ご家族に仕え、このホスウェイト家に【忠誠】を誓う事が私の課題でございます。エマ。」
呼ばれたエマがマルクに並び、獣人の姿に戻る。
「ブレイユ一同、ホスウェイト家に、心より忠誠を誓い、命ある限り全力でお仕えいたします。」
2人して礼をとり、ハロルドに、アルフレッドに、ソフィアに向かって宣言する。
(マルク達って獣人だったんだ…)
黒豹と白猫姿の2人を見て場違いな感想を抱くソフィアだった。
「相分かった。よろしく頼む。」
ハロルドは既に2人共信用していたのだが、マルクの宣言が心強かった。
心の中では、家族として一緒に共有してきた時間が、今のこの瞬間に繋げてくれたようで感動すらしていた。
「つきましては、今後の問題について。」
「問題?」
「ああ。ソフィア、お前の能力を隠さない限り確実に王家に囚われる。」
「既に聖女候補として上がっている子の前には王子が現れている。聖女や婚約者としての立場で王家に取り込むことは目に見えている。」
マルクの言葉に続いた兄や父の会話に、光の精霊を召喚したサラが思い浮かんだ。
「召喚については王家にも報告がいくからね。デニス先生だからそんな心配はしてないけど、ランはソフィアに興味もってるみたいだった。」
アルフレッドの言葉に父は頷く。
「聖女候補より上の報告はしていないだろう。ソフィアは王子の婚約者や王子妃になりたいか?」
「全く興味がありません。」
「「だろうな。」」
ソフィアの言葉にその場全員が納得したように笑う。
「闇の精霊王様も居られますし、お嬢様も目眩しの魔法は得意なようですが、隠しておいて損することはありません。まずは、お2人の属性以外を表に出さないよう何かしら魔法具を考えてみては?」
「普段から全属性使う必要はないもんね。外せば使える訳だし、アクセサリー的な感じで作ってみるか。」
マルクの言葉に研究熱が沸いたのかアルフレッドがやる気になる。
「この家にいる時は私達が結界を張りますので、魔力漏れも心配いりませんし、侵入者もありません。」
なんとも心強い家令さんです。
そっとカルディナがソフィアに耳打ちをする。
「マルク、精霊王達が集まるのはこの家だと大変?」
「えっと、お2人以外もですか?」
戸惑うマルクにノアが告げる。
「ソフィーは精霊王達全員をティーパーティーに招待しないといけないんだ。森でなら番人の力も使い易くなるから手伝える。」
「なるほど。好かれるのも大変なんですね。ガーデンパーティーとして考えてみましょう。」
細かい打ち合わせは後でするとして、ひとまず伝えるべきことは話し、心配事も助けて貰えるようになった。
この家の子で良かった、と安心するソフィアだった。
後日、屋敷裏の森で精霊王達とのティーパーティが開催された。ハロルドやアルフレッドも参加し、マルクとノアで結界を、エマとブレイユ所属のメイドがお茶出し担当として集まった。
森の中にテーブルセットをし、精霊王達は本来の姿でドレスアップしていた。エンギルや光の精霊王イソールも成人姿だった為、全員揃うと圧巻だった。
各々お菓子やお茶を楽しみ歓談したのだが、意外だったのはハロルドだ。
精霊王達の関心に答え、いろいろな話題を提供している姿に社交的姿を感じたソフィアの中では、父親の株がだいぶ上がっていた。
一方で、話に飽きてきた若手の精霊王達と共に、森の中で遊ぶソフィアの姿に、ハロルド達は癒されていた。
ノア同様フクロウ姿のエンギルにイソールは小さな妖精姿で、飛び回っている。
ソフィアの幼い頃を見逃してきたハロルドにとって眼福の思いだった。
途中で他の精霊王達も混ざり、魔法を使った本気のかくれんぼが始まった。
マルクやエマ達にとっては隠密行動を取る際の勉強になったらしい。仕事を下の者に任せ、獣姿で遊びに参加している。
ハロルドは外から見ているだけだったが、アルフレッドと共に、誰がどんな方法を取るか、鬼役と一緒に予想しながら探していたので案外楽しめた。
「ノアの番人っていうのはどんな役割なんだい?」
再度、アルフレッドが問う。
見た目が小さいのもあり、ソフィアの契約者なんだから、気安く話して欲しいと言われ、ハロルドもアルフレッドも肩の力を抜いて話す事が出来ていた。
特にアルフレッドは、番人としての立場でありながら、フクロウとしてソフィアとの仲を取り持って動いてくれていたことに感謝している。
「番人は全部で6人いるんだ。創造主はこの世界での神様みたいなものかな。6人の番人を通して流れをよむ。番人にはそれぞれ役割が与えられているんだが、今回の【契約】みたいな課題は、話の流れを変えるキーワードとして創造主が出してるんだ。彼は面白いことが好きだから、重要なことだったり、危険なこともあるかもしれない。」
「なるほど。ノアは他の番人がどこにいるか分かんないの?」
「近くにいれば創造主の力が働く可能性はあるけど。誰がどこにとかは全く。本人も発動しなければ番人として自覚してないことも多いからね。」
「そっか。【2人目の番人】が近くにいたりしてね。」
会話を聞きながら、ノアとアルフレッドは気が合いそうだなとソフィアは感じていた。
マルクはアルフレッドの言葉に反応していた。
【2人目の番人】
黒豹としてブレイユで活動する前の記憶が走馬灯のように戻る。番人として送り出された彼は、いつか現れる主に仕える為に組織をまとめていた。
【キーワード:忠誠】が発動する。
「当主様、お話しなければならないことがございます。」
突如話しかけられたハロルドは驚きつつも応える。
「どうした?改まって。」
「私マルクはノア様と同じ番人であります。」
「「「「「「え?」」」」」
まさかの発言に固まる一同。
我に返るのが早かったのは同じ番人のノアだ。
「マルクの課題は?」
「【忠誠】です。」
「隠密組織ブレイユとして活動していたのは、当主様もご存知かと思います。番人として、当主様ご家族に仕え、このホスウェイト家に【忠誠】を誓う事が私の課題でございます。エマ。」
呼ばれたエマがマルクに並び、獣人の姿に戻る。
「ブレイユ一同、ホスウェイト家に、心より忠誠を誓い、命ある限り全力でお仕えいたします。」
2人して礼をとり、ハロルドに、アルフレッドに、ソフィアに向かって宣言する。
(マルク達って獣人だったんだ…)
黒豹と白猫姿の2人を見て場違いな感想を抱くソフィアだった。
「相分かった。よろしく頼む。」
ハロルドは既に2人共信用していたのだが、マルクの宣言が心強かった。
心の中では、家族として一緒に共有してきた時間が、今のこの瞬間に繋げてくれたようで感動すらしていた。
「つきましては、今後の問題について。」
「問題?」
「ああ。ソフィア、お前の能力を隠さない限り確実に王家に囚われる。」
「既に聖女候補として上がっている子の前には王子が現れている。聖女や婚約者としての立場で王家に取り込むことは目に見えている。」
マルクの言葉に続いた兄や父の会話に、光の精霊を召喚したサラが思い浮かんだ。
「召喚については王家にも報告がいくからね。デニス先生だからそんな心配はしてないけど、ランはソフィアに興味もってるみたいだった。」
アルフレッドの言葉に父は頷く。
「聖女候補より上の報告はしていないだろう。ソフィアは王子の婚約者や王子妃になりたいか?」
「全く興味がありません。」
「「だろうな。」」
ソフィアの言葉にその場全員が納得したように笑う。
「闇の精霊王様も居られますし、お嬢様も目眩しの魔法は得意なようですが、隠しておいて損することはありません。まずは、お2人の属性以外を表に出さないよう何かしら魔法具を考えてみては?」
「普段から全属性使う必要はないもんね。外せば使える訳だし、アクセサリー的な感じで作ってみるか。」
マルクの言葉に研究熱が沸いたのかアルフレッドがやる気になる。
「この家にいる時は私達が結界を張りますので、魔力漏れも心配いりませんし、侵入者もありません。」
なんとも心強い家令さんです。
そっとカルディナがソフィアに耳打ちをする。
「マルク、精霊王達が集まるのはこの家だと大変?」
「えっと、お2人以外もですか?」
戸惑うマルクにノアが告げる。
「ソフィーは精霊王達全員をティーパーティーに招待しないといけないんだ。森でなら番人の力も使い易くなるから手伝える。」
「なるほど。好かれるのも大変なんですね。ガーデンパーティーとして考えてみましょう。」
細かい打ち合わせは後でするとして、ひとまず伝えるべきことは話し、心配事も助けて貰えるようになった。
この家の子で良かった、と安心するソフィアだった。
後日、屋敷裏の森で精霊王達とのティーパーティが開催された。ハロルドやアルフレッドも参加し、マルクとノアで結界を、エマとブレイユ所属のメイドがお茶出し担当として集まった。
森の中にテーブルセットをし、精霊王達は本来の姿でドレスアップしていた。エンギルや光の精霊王イソールも成人姿だった為、全員揃うと圧巻だった。
各々お菓子やお茶を楽しみ歓談したのだが、意外だったのはハロルドだ。
精霊王達の関心に答え、いろいろな話題を提供している姿に社交的姿を感じたソフィアの中では、父親の株がだいぶ上がっていた。
一方で、話に飽きてきた若手の精霊王達と共に、森の中で遊ぶソフィアの姿に、ハロルド達は癒されていた。
ノア同様フクロウ姿のエンギルにイソールは小さな妖精姿で、飛び回っている。
ソフィアの幼い頃を見逃してきたハロルドにとって眼福の思いだった。
途中で他の精霊王達も混ざり、魔法を使った本気のかくれんぼが始まった。
マルクやエマ達にとっては隠密行動を取る際の勉強になったらしい。仕事を下の者に任せ、獣姿で遊びに参加している。
ハロルドは外から見ているだけだったが、アルフレッドと共に、誰がどんな方法を取るか、鬼役と一緒に予想しながら探していたので案外楽しめた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる