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味方は誰だ
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「街の者か? 見たことないな」
オーク面は顎に手をやって考える素振りを見せる。
一本角がその肩を叩いて前に出た。
「おい、豚。お前は記憶力がないんだから、考えても無駄だろうが」
「誰が豚だ!」
「お前だよ」
「「「わっはっは!」」」
仲間割れかと思ったがその顔は笑っていたので、彼らなりの冗談だとわかった。
この三人がバジルさんみたいな容姿だったら、表情が読めなくてお手上げだった。
少し様子を探ってみよう。
「二人ともうるせぇぞ。まさかお前、人間じゃないだろうな。この街の領主、四天王のエドマンド様は大の人間嫌いだからな。もし人間だったらとんでもない目に遭うぞ?」
言いながら二本角も俺達に近づいて来た。
この街を仕切っているのは四天王のエドマンド。
バジルさんに聞いたとおりだ。
四天王はよほど自分達の力を誇示したいのか、統治する街に自らの名を付けている。
こちらとしては覚えやすくて助かるな。
さて、あとはここをどう切り抜けたものか。
しかし、この中に本当にバジルさんの仲間がいるのか?
もしかしたら別の場所で待機していたのかも……。
俺は少し不安になった。
すると、アーシェは腰に手をあてて、胸元の首飾りを露骨に見せびらかした。
多少不自然だが、手に取って見せてこの三人が仲間じゃなかった時が最悪だ。
もしこの三人の中にバジルさんの仲間がいるなら、気づいてもらえるだろう。
「何だ? 俺はガキには興味ねぇんだよ」
オーク面はアーシェに色目を使われたと勘違いでもしたのか、悪態をついた。
こいつは……違うな。
あとの二人はどうだ?
「おい女、お前人間みたいな臭いがするな」
「おい、本当か? なら食っちまうか?」
一本角がティアの髪の臭いを嗅いで言うと、オーク面が割り込んできた。
ティアが笑みを返すが、目が笑っていない。
すまない、ティア……今だけ我慢してくれ。
もし戦闘になれば、この二人は一瞬で消し炭にされるに違いない。
……多分この一本角も違うかな。
残った二本角はどうだろう。
こいつがバジルさんの仲間なのか、それとも違うのか……。
「どこから来たんだ? 西の街ゲルビョルンか? それとも東の街バランか? 方角からして北の街ペイペイマンは違うな」
二本角はどこから来たのか尋ねてきた。
しかも、アーシェの首飾りをチラチラと見ている。
……こいつがそうなのか?
さっきの言動を考えて見ても、エドマンドの名を喋ったのはこの二本角だ。
そして今他の街の位置と名を言った。
これは……俺達に情報を与えてくれたのか?
いや、まだ確信は持てない。
「東のバランからよ。疲れているから早く街に入りたいのよ。扉を開けてちょうだい」
アーシェは適当に東の街バランから来たと返す。
受け答えは自然だった。
だがオーク面と一本角が顔を見合わせて、にたりと嫌らしい笑みを浮かべた。
アーシェの返答はマズかったのだろうか?
「おいおい、それはおかしいな。バラン様は女嫌いで有名な方だぞ?」
……!
その情報はなかったな。
女嫌いだというバランというやつが統治する街から来たと答えたのは早計だったか。
オーク面が腰の剣に手をかけた。
やっぱり疑われているな。
この三人の魔族はおそらく強くはない。
いざとなったら気絶させて逃げるのも手だ。
だがそれをやってしまうと、もうこの街へは正攻法では入れなくなるだろう。
俺は三人の魔族の挙動を注視する。
「面倒だからここで殺してしまうか。適当に罪をでっちあげてしまえばいいだろう」
「そうだな。間違って人間を街へ入れてしまったら俺達がエドマンド様に殺されるからな」
オーク面と一本角が同時に剣を抜いた。
しかし、それを二本角が止める。
「いや、待て。女だからバラン様に追い出されたのではないか?」
「そうだとしても、もう面倒だから殺そうぜ」
二本角が庇ってくれた……のか?
やっぱりこいつがバジルさんの仲間なのか?
だけど、オーク面と一本角はもう考えることを放棄して、手っ取り早く始末する気になっている。
「まぁ、落ち着け。殺したあとに間違ってたことに気づいたら、俺達の命が危ない。お前もこんなくだらんことで命を粗末にしたくはないだろう?」
「そうだな……だったらこうしよう。俺に考えがある。エドマンド様の指示があるまでこいつらを地下牢にぶち込んでおくのはどうだ?」
地下牢にぶち込むだって……!?
一旦落ち着いたと思ったオーク面がとんでもない提案をした。
「ちょっと! どうして私達が牢屋に入れられなきゃならないのよ!」
アーシェが鼻息を荒くするが、すぐに二本角が動いた。
「抵抗するな。お前らがこの街に侵入を試みたところで、中は敵だらけだ。無駄死にしたくなかったら、大人しく地下牢に入るんだな。地下牢には魔王様復活に異を唱える抵抗派が捕えられている。そこへ入るんだ。エドマンド様の指示を仰いでから、お前らの処分は決める」
二本角はまた情報を喋った。
街に入っても敵だらけで、地下牢には抵抗派もいるのか。
そこへ俺達を入れるのか……。
何の為に?
俺達を抵抗派に引き合わせる為……なのか?
うん……まだ確信は持てないが、この二本角がバジルさんの言っていた仲間かも知れない。
「決定だな。じゃあ早速そうするか」
「そうだな。俺達で仲違いしていても仕方がない。豚の言うとおり地下牢へ連れて行こう」
「誰が豚だ!」
「お前だよ」
「「「わっはっは!」」」
オーク面と一本角が賛同し、俺達は街の中に入ることができそうだ。
ただし、行き先は地下牢だったが。
俺達を拘束しようとするオーク面に、アーシェは抵抗しようとしたが、俺が背中に触れてそれを止めた。
アーシェは俺の意図を理解して、大人しくオーク面に腕を縛られる。
こうして、俺達四人は不審者として門番に拘束され、オーク面の案内の元、鉄の扉をくぐり地下牢へと連れて行かれたのだった。
オーク面は顎に手をやって考える素振りを見せる。
一本角がその肩を叩いて前に出た。
「おい、豚。お前は記憶力がないんだから、考えても無駄だろうが」
「誰が豚だ!」
「お前だよ」
「「「わっはっは!」」」
仲間割れかと思ったがその顔は笑っていたので、彼らなりの冗談だとわかった。
この三人がバジルさんみたいな容姿だったら、表情が読めなくてお手上げだった。
少し様子を探ってみよう。
「二人ともうるせぇぞ。まさかお前、人間じゃないだろうな。この街の領主、四天王のエドマンド様は大の人間嫌いだからな。もし人間だったらとんでもない目に遭うぞ?」
言いながら二本角も俺達に近づいて来た。
この街を仕切っているのは四天王のエドマンド。
バジルさんに聞いたとおりだ。
四天王はよほど自分達の力を誇示したいのか、統治する街に自らの名を付けている。
こちらとしては覚えやすくて助かるな。
さて、あとはここをどう切り抜けたものか。
しかし、この中に本当にバジルさんの仲間がいるのか?
もしかしたら別の場所で待機していたのかも……。
俺は少し不安になった。
すると、アーシェは腰に手をあてて、胸元の首飾りを露骨に見せびらかした。
多少不自然だが、手に取って見せてこの三人が仲間じゃなかった時が最悪だ。
もしこの三人の中にバジルさんの仲間がいるなら、気づいてもらえるだろう。
「何だ? 俺はガキには興味ねぇんだよ」
オーク面はアーシェに色目を使われたと勘違いでもしたのか、悪態をついた。
こいつは……違うな。
あとの二人はどうだ?
「おい女、お前人間みたいな臭いがするな」
「おい、本当か? なら食っちまうか?」
一本角がティアの髪の臭いを嗅いで言うと、オーク面が割り込んできた。
ティアが笑みを返すが、目が笑っていない。
すまない、ティア……今だけ我慢してくれ。
もし戦闘になれば、この二人は一瞬で消し炭にされるに違いない。
……多分この一本角も違うかな。
残った二本角はどうだろう。
こいつがバジルさんの仲間なのか、それとも違うのか……。
「どこから来たんだ? 西の街ゲルビョルンか? それとも東の街バランか? 方角からして北の街ペイペイマンは違うな」
二本角はどこから来たのか尋ねてきた。
しかも、アーシェの首飾りをチラチラと見ている。
……こいつがそうなのか?
さっきの言動を考えて見ても、エドマンドの名を喋ったのはこの二本角だ。
そして今他の街の位置と名を言った。
これは……俺達に情報を与えてくれたのか?
いや、まだ確信は持てない。
「東のバランからよ。疲れているから早く街に入りたいのよ。扉を開けてちょうだい」
アーシェは適当に東の街バランから来たと返す。
受け答えは自然だった。
だがオーク面と一本角が顔を見合わせて、にたりと嫌らしい笑みを浮かべた。
アーシェの返答はマズかったのだろうか?
「おいおい、それはおかしいな。バラン様は女嫌いで有名な方だぞ?」
……!
その情報はなかったな。
女嫌いだというバランというやつが統治する街から来たと答えたのは早計だったか。
オーク面が腰の剣に手をかけた。
やっぱり疑われているな。
この三人の魔族はおそらく強くはない。
いざとなったら気絶させて逃げるのも手だ。
だがそれをやってしまうと、もうこの街へは正攻法では入れなくなるだろう。
俺は三人の魔族の挙動を注視する。
「面倒だからここで殺してしまうか。適当に罪をでっちあげてしまえばいいだろう」
「そうだな。間違って人間を街へ入れてしまったら俺達がエドマンド様に殺されるからな」
オーク面と一本角が同時に剣を抜いた。
しかし、それを二本角が止める。
「いや、待て。女だからバラン様に追い出されたのではないか?」
「そうだとしても、もう面倒だから殺そうぜ」
二本角が庇ってくれた……のか?
やっぱりこいつがバジルさんの仲間なのか?
だけど、オーク面と一本角はもう考えることを放棄して、手っ取り早く始末する気になっている。
「まぁ、落ち着け。殺したあとに間違ってたことに気づいたら、俺達の命が危ない。お前もこんなくだらんことで命を粗末にしたくはないだろう?」
「そうだな……だったらこうしよう。俺に考えがある。エドマンド様の指示があるまでこいつらを地下牢にぶち込んでおくのはどうだ?」
地下牢にぶち込むだって……!?
一旦落ち着いたと思ったオーク面がとんでもない提案をした。
「ちょっと! どうして私達が牢屋に入れられなきゃならないのよ!」
アーシェが鼻息を荒くするが、すぐに二本角が動いた。
「抵抗するな。お前らがこの街に侵入を試みたところで、中は敵だらけだ。無駄死にしたくなかったら、大人しく地下牢に入るんだな。地下牢には魔王様復活に異を唱える抵抗派が捕えられている。そこへ入るんだ。エドマンド様の指示を仰いでから、お前らの処分は決める」
二本角はまた情報を喋った。
街に入っても敵だらけで、地下牢には抵抗派もいるのか。
そこへ俺達を入れるのか……。
何の為に?
俺達を抵抗派に引き合わせる為……なのか?
うん……まだ確信は持てないが、この二本角がバジルさんの言っていた仲間かも知れない。
「決定だな。じゃあ早速そうするか」
「そうだな。俺達で仲違いしていても仕方がない。豚の言うとおり地下牢へ連れて行こう」
「誰が豚だ!」
「お前だよ」
「「「わっはっは!」」」
オーク面と一本角が賛同し、俺達は街の中に入ることができそうだ。
ただし、行き先は地下牢だったが。
俺達を拘束しようとするオーク面に、アーシェは抵抗しようとしたが、俺が背中に触れてそれを止めた。
アーシェは俺の意図を理解して、大人しくオーク面に腕を縛られる。
こうして、俺達四人は不審者として門番に拘束され、オーク面の案内の元、鉄の扉をくぐり地下牢へと連れて行かれたのだった。
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