上 下
25 / 53
第1章 「俺の【四大元素】編」(俺が中一で妹が小三編)

第25話 俺はお姉さんに辱められる

しおりを挟む
 御伽原建設本社ビルの地下五階。
 俺は度肝を抜かれる。

「な、なんですかここはっ!?
「秘密基地みたいだね……」

 隣で菜月も驚いていた。

「この訓練施設の存在は社内の【異能】しか知らない。表向きは地下は二階までしかないことになっているからな」
「隼人くん、なっちゃん。ここは誰でも自由に使えるわけじゃないのよ。ランクB級以上の【異能】でないと、使用許可は下りないわ」
「え、じゃあ俺たちは入れないんですか……?」
「蘭子さんが同伴しているからオッケーよ。今日はこの訓練施設で私と蘭子さんが、【異能】の手ほどきをしていくわ」
「椎名先輩と蘭子さんが……!?」

 それは……非常に楽しみです!

「右手に更衣室があるから、そこで訓練着に着替えよう」

 蘭子さんが顎で示した先には、更衣室の表示が見える。男女別にわかれているようだ。
 更衣室に訓練着があると言うので、俺は蘭子さんに従って中に入る。
 え……!?
 蘭子さんが俺に続いて更衣室に入ってくる。

「ら、蘭子さん!? ここ男性用って書いてあったじゃないですか!? なんで普通に入って来るんですか!?」
「初めてで勝手がわからんだろう。あっちは千尋がいるから、隼人はあたしが手伝ってやる」

 蘭子さんは涼しい顔で言ってのけた。
 抗議しても無駄なんだろうと想い、俺は渋々受け入れる。
 通気口の切り込みが入った金属製のロッカーがずらっと並んでいる。
 中央にはベンチが設置されている。
 更衣室特有の汗臭い臭いもなく、室内にはほのかな甘い香りが漂っている。
 ……蘭子さんの香水の匂いか。密室だと余計に強く感じるな。

「これを着ろ。見た目は小さいが伸縮性があるから大丈夫だ」
「はぁ」

 蘭子さんに手渡されたのは、薄手のウェットスーツのような服だ。
 縮んでいて子ども用にしか見えないが、伸縮性があると言うので俺でも着れるのだろう。
 さて、着替えるか……。

「蘭子さん、着替えます」
「ああ」
「あの……着替えるので、外で待っててもらえませんか?」

 蘭子さんに凝視されている状態で着替えなんてできるわけないだろう。
 だが蘭子さんはそこから移動する素振りを見せずに、ベンチに座って足を組んだ。

「大丈夫だ。見ててやるからさっさと着替えろ」
「いや、だから……」

 ったく……何なんだよもうっ!
 俺は何を言っても無駄だと悟り、諦めて蘭子さんに背を向けながら上着を脱いだ。
 ジーンズも脱いだ俺は、上下一体となった訓練着に足を通す。

「訓練着は全裸で着用が基本だ。パンツも脱げ」
「そ、そんな……!?」

 俺はヤケクソでトランクスに手をかけ、一気に下ろした。
 今俺の無骨な尻は、蘭子さんに見られているのだろう。そう考えると不謹慎にも少し興奮した。
 改めて俺は訓練着に足を通そうとするが、やっぱりサイズが小さいのか上手く履けない。
 見かねた蘭子さんがベンチから立ち上がる音が聞こえ、俺は動揺して身を固くした。

「案外可愛い尻をしてるじゃないか。これはな、こうやって広げてから足を通すんだ」
「いっ!? あのっ! ひとりでっ……できますからっ……!」
「遠慮するな。はいこっち向いて足上げて」

 蘭子さんは俺の肩を掴んで強引に振り向かせると、訓練着の太ももにあたる部分を両手で広げた。
 当然俺は両手で股間を隠している。丁度、しゃがんでいる蘭子さんの顔の前なので、緊張感がハンパない。
 蘭子さんは目を細めてそれを一瞥する。

「あのな、中学生の見たからってあたしは何も思わんよ。いいから手をどけて、早く足を通せ」
「蘭子さんが気にしなくても俺が気にするんですぅ!」

 三分後、無事に訓練着に着替えた俺がいた。
 無事にと言ったが、男としての何かを失った気がする。
 訓練着は体のラインがハッキリとわかるぐらい体にピッタリとフィットしている。
 かなり薄手だが、透けていないのが不思議なくらいだ。色が濃紺なのは関係ないだろう。
 確かに運動はしやすそうだ。
 俺が軽く動くと、動きに合わせて伸び縮みする。

「何かいいですね、これ」
「そうだろ? 【異能】専用に作られたものだからな」
「へえー」

 次は蘭子さんが着替える番だ。
 俺はさっきのお返しとばかりに、蘭子さんのナイスバディを拝ませてもらおうと、ベンチに腰かけた。
 すると蘭子さんは怪訝な顔で俺を覗き込み、

「残念。あたしがここで着替えるとでも思ったのか?」

 更衣室から出て行ってしまった。
 そんなバカなぁ……!

 俺が肩を落として更衣室から出ると、椎名先輩と菜月、マイちゃんも訓練着に着替えを済ませていた。
 俺のものと同じように、全身を覆うような形状だ。
 訓練着で覆われていないのは、首から上と手首より先、そして足首から先だけだった。
 女性用の訓練着の色は男性用と違い水色だ。
 眺めていると、椎名先輩と目が合った。

「隼人くん……。恥ずかしいからあんまり見ないでね」
「えっ!?」

 はい……こそっと堪能させてもらいます。
 そして俺はこの訓練着のもの凄い特徴を発見してしまった。
 訓練着は薄手で体にフィットしているため、椎名先輩のおっぱいの先にある突起までもが確認できたのだ。
 組織万歳!
 俺は直立できなくなり、腰を少し後ろに引いて気を落ち着かせようとする。
 そんな俺の気も知らずマイちゃんが駆け寄ってきて、俺の股間を無邪気に指でつついた。

「ねぇ、お兄さんどうしたのー? 早くこっちおいでよ」
「マイちゃん……お願いだから、止めて……」

 閑話休題。
 蘭子さんが着替え終わるのを待って、俺たちは訓練を始めることになった。
 訓練施設は用途によって様々な区画にわかれていて、いくつもの部屋がある。
 俺たちがまず向かったのは射撃場のような場所だった。

「慣れれば【異能】を使って物体を飛ばすことだってできるのよ」

 椎名先輩が説明してくれて、手前の台に置かれていたケースから、パチンコ玉のようなものを取り出して掴んだ。
 すかさずマイちゃんが先輩の後ろに移動して、先輩の腰に手を回す。
 昨日廃工場で見たあの連携を彷彿とさせる。

「ちぃ姉ー! いけるよー!」
「それっ!」

 マイちゃんの合図で椎名先輩は、三十メートルは離れているであろう的に向かって玉を弾いた。
 人型の的には円が幾重にも描かれている。
 先輩が弾いた玉は円の中心から僅かに左に外れたが、見事に的を撃ち抜いていた。

「凄い凄い! お兄ちゃん見たぁ!?」
「……うん」

 菜月は素直に感心していた。
 俺はと言うと、正直あまり驚いてはいない。
 ケースに入っている玉を俺は手でもて遊びながら、椎名先輩に目をやった。

「蘭子さんほどになると、銃弾並の速度が出るのよ」
「銃弾!? そんなの常に銃を携帯してるようなもんじゃないですかっ!?」

 そんなにスピードがでるものなのか。
 試してみるか……。

「俺もやってみていいですか?」
「え、隼人くんが!? いいけど……【増幅者】の菜月ちゃんの力を借りないと無理じゃないかしら。私でもマイがいないと、的を貫通するほどの威力は出ないもの」 
「いいじゃないか千尋。隼人にやらせてみよう」
「でも……、隼人くんはまだ菜月ちゃんとの【増幅】も習得してないんですよ?」

 俺にはまだ早いと思っている椎名先輩にアピールする絶好の機会だ。
 見せてやる。俺の【四大元素】を!
 俺は半身になり片目を瞑って、腕を肩の高さまでゆっくりと上げる。
 みんなが固唾を飲んで見守っているのがわかる。
 深く息を吸い、そして止めた。

「いけっ!」

 俺は親指を弾いて玉を高速で撃ち出した。

 ヒュン!

 風を切る音が聞こえ、俺の弾いた玉は的のど真ん中を貫通した。

「あ……!? あ……」

 マイちゃんが目を見開いて、両手を頬に添えながら口をパクパクさせている。
 初めて見る表情だった。
 椎名先輩もまるで信じられないものを見たという風に、驚きを隠そうともしない。
 菜月は得意気な顔だ。自慢のお兄ちゃんが活躍して嬉しいのだろう。
 蘭子さんは口元に笑みを受かべていた。

「これが俺の【四大元素】です。なかなかでしょう?」

 俺はドヤ顔で胸を張った。

「隼人くん……本当にE級なの……!? 狙いも正確さもそうだけど、今の速度は私以上……!?」
「千尋、人を見た目で判断するなという教訓になったな」

 蘭子さんは呆然とする椎名先輩の背中を叩いて、次の部屋に向かって歩を進める。
 そして振り返ると、俺にウインクする。

「さあ、次はいよいよ【増幅】についてだ」
「はい!」

 俺は勢いよく返事をした。
 楽しくなってきたぞ!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

処理中です...