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追憶からの
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フロドゥール国の美姫であったステラ。
彼女の婚約者であったピウス・プラントが国の英雄の息子であった男に崖から突き落とされるのを目撃した一同は驚きで声を出す事が出来ずにいた。
「彼は、戦死したわけじゃない。
この男に殺されたのね・・・。」
誰に言うでもないリリィの呟きだけが部屋に響く。
無情にも映像は続いた。
レンク・ルマンなる男が醜悪な顔で崖の下を覗き込み満足そうに微笑んでいると、木陰から出てきたローブを被った男達が死んだオークを崖に投げ捨てた。
まるで相打ちしたような光景を完成させると、男達は何やら頷き合い去っていく。
婚約者の無事を望むステラの願いは此処で潰えたのだ。
いくら待ってもピウス・プラントは帰ってはこない。
年月が経っても、ロンサンティエ帝国とフロドゥール国の亀裂の種となっているステラ。
しかし、彼女が愛した男は歴史の一部に埋もれ、自国の人間にすら忘れられていた。
「なんて事を・・・。」
声に出す事すらやっとなフロドゥール国王レイド・フロドゥールは苦しそうに胸を押さえた。
ファヴィリエ・ルカの契約妖精である白い虎であるクロスの力“時魔法”は未だに続いている。
泣き崩れるステラ姫・・・自分の最愛を殺した男とも知らなくともレンク・ルマンとの日々は彼女に苦痛を強いていた。
中には日記に書かれているよりも酷い暴力じみた乱暴さで突き飛ばされている。
姫なのに・・・国中に愛される姫なのにだ。
両親は優しい笑顔で彼女を追い詰め、国民は期待という重責で彼女から逃げ道を塞ぐ。
映像からは様々なストレスが彼女を苦しめているのが分かった。
「・・・もう良い。
もう、分かった。」
これ以上、見る事が耐えられないと顔を背けようとしたレイド・フロドゥールの目に飛び込んできたのは、画面いっぱいのステラの満面の笑みだった。
時はロンサンティエ帝国にやってきて数年経った頃のようだ。
美しい花畑の中を男性に手を取られて歩く彼女は幸せそうだった。
相手の男こそ、彼女をフロドゥール国から連れ去ったドゥルセ・ハリ・ロンサンティエ。
かつてのロンサンティエ帝国の皇帝だろう。
躓くドゥルセ・ハリをステラ妃が慌てて支え、互いに顔を見合わせ笑っている。
「・・・幸せそうだ。」
レイド・フロドゥールは楽しそうな大叔母に触れようと手を伸ばすが、それは霧の映写。
一向に掴む事は叶わない。
「陛下・・・ステラ姫の苦しみの原因は我が国にあった。
確かに、当時のロンサンティエ帝国の皇帝は非常識に姫を連れ去ったのかもしれません。
しかし、ステラ姫はお幸せであった。
これが事実とお認めになるならば、我らはロンサンティエ帝国に感謝せねばなりませんね。」
宰相であるハル・シネイの優しい声に伸ばしていた手を握り締めたレイド・フロドゥールは固く目を瞑り、暫くすると頷いた。
「どうやら、そのようだ。」
彼女の婚約者であったピウス・プラントが国の英雄の息子であった男に崖から突き落とされるのを目撃した一同は驚きで声を出す事が出来ずにいた。
「彼は、戦死したわけじゃない。
この男に殺されたのね・・・。」
誰に言うでもないリリィの呟きだけが部屋に響く。
無情にも映像は続いた。
レンク・ルマンなる男が醜悪な顔で崖の下を覗き込み満足そうに微笑んでいると、木陰から出てきたローブを被った男達が死んだオークを崖に投げ捨てた。
まるで相打ちしたような光景を完成させると、男達は何やら頷き合い去っていく。
婚約者の無事を望むステラの願いは此処で潰えたのだ。
いくら待ってもピウス・プラントは帰ってはこない。
年月が経っても、ロンサンティエ帝国とフロドゥール国の亀裂の種となっているステラ。
しかし、彼女が愛した男は歴史の一部に埋もれ、自国の人間にすら忘れられていた。
「なんて事を・・・。」
声に出す事すらやっとなフロドゥール国王レイド・フロドゥールは苦しそうに胸を押さえた。
ファヴィリエ・ルカの契約妖精である白い虎であるクロスの力“時魔法”は未だに続いている。
泣き崩れるステラ姫・・・自分の最愛を殺した男とも知らなくともレンク・ルマンとの日々は彼女に苦痛を強いていた。
中には日記に書かれているよりも酷い暴力じみた乱暴さで突き飛ばされている。
姫なのに・・・国中に愛される姫なのにだ。
両親は優しい笑顔で彼女を追い詰め、国民は期待という重責で彼女から逃げ道を塞ぐ。
映像からは様々なストレスが彼女を苦しめているのが分かった。
「・・・もう良い。
もう、分かった。」
これ以上、見る事が耐えられないと顔を背けようとしたレイド・フロドゥールの目に飛び込んできたのは、画面いっぱいのステラの満面の笑みだった。
時はロンサンティエ帝国にやってきて数年経った頃のようだ。
美しい花畑の中を男性に手を取られて歩く彼女は幸せそうだった。
相手の男こそ、彼女をフロドゥール国から連れ去ったドゥルセ・ハリ・ロンサンティエ。
かつてのロンサンティエ帝国の皇帝だろう。
躓くドゥルセ・ハリをステラ妃が慌てて支え、互いに顔を見合わせ笑っている。
「・・・幸せそうだ。」
レイド・フロドゥールは楽しそうな大叔母に触れようと手を伸ばすが、それは霧の映写。
一向に掴む事は叶わない。
「陛下・・・ステラ姫の苦しみの原因は我が国にあった。
確かに、当時のロンサンティエ帝国の皇帝は非常識に姫を連れ去ったのかもしれません。
しかし、ステラ姫はお幸せであった。
これが事実とお認めになるならば、我らはロンサンティエ帝国に感謝せねばなりませんね。」
宰相であるハル・シネイの優しい声に伸ばしていた手を握り締めたレイド・フロドゥールは固く目を瞑り、暫くすると頷いた。
「どうやら、そのようだ。」
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