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英傑の記憶②〜帰還〜

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ーーー現在、ロンサンティエ帝国の宮殿の一室にて

「彼らは故郷に帰って来たんだな?」

「えぇ。そうよ。
 牢に捕まっていた仲間と、労役を課されていた者達の中で生きていた者の全てを救ったの。」

 ロンサンティエ帝国皇帝ファヴィリエ・ルカは神話よりも、ずっとリアルな祖先の話に、どっと疲れを見せていた。

「ジョルジュを含めた近隣の村の人達も全員連れて漁村に帰って来たのよ。
 セレティア様の施す癒しの力は凄まじくて、全ての人の怪我や命を助けたの。
 ジョルジュ達は、命の恩人達の村の復興を手伝ってから、各々の村に帰って行ったそうよ。」

 リリィはフロドゥール国王であるレイド・フロドゥールに視線を向けるとニッコリと笑った。

 レイド・フロドゥールは重々しく一度頷くと溜息を吐いた。

「命の恩人か・・・。」

 彼にはフランコ・トワとジョルジュの関係性とロンサンティエ帝国とフロドゥール国の立場を考えているのだろう。

「リリィ。
 一つ良いだろうか?
 初代様の力とは何だたのだろう。
 天から降り注ぐ光とは雷魔法の事か?」

 ディミトリオ・ハクヤに指摘にリリィは苦笑した。

 この中で、龍と妖精と人間の関係を一番理解しているのは彼だろう。
 他の人間が気づかない事に気がついたらしい。

「雷魔法は妖精の力を借りたのだろう?」

「えぇ。そうね。 
 フランコ・トワの本当に凄いところは、全ての生き物に愛される力。
 彼は万物の生命を操る力があった。」

「万物の生命・・・。」

 目を見開くファヴィリエ・ルカにリリィは微笑んだ。

「人に好かれるフランコ・トワだったけれど、彼は龍にも妖精にも好かれた。
 野生の動物や、荒ぶる魔獣も彼の掌の中。」

「・・・なんだそれは。
 そんなの・・・そんなの。」

 瞠目するレイド・フロドゥールにクスクスするリリィは小首を傾げた。

「ズルい?
 それが、彼の大きな魅力の1つだった。
 盗賊の砦がどうなったか知りたい?
 白銀の龍に乗ったフランコ・トワが現れる前に地鳴りがしたと話たわね。
 東の牢がある高台を除く、砦の全てが魔獣の群れに踏み潰されて更地になったのよ。」

 何気なく言うリリィに一同はギョッとした。

「魔獣達がフランコ・トワの願いを叶えたのか、それとも彼が魔獣の何かをコントロールしたのか・・・。
 少なくとも、その全てが無に帰った。
 その後、その砦あった場所はロンサンティエの一部になったわ。」

 結局は神話の様な終わり方だ。

 それでもレイド・フロドゥールは聞かずにはいられなかった。

「龍の姫巫女よ。
 そろそろ私の祖先の話を聞かせてくれないか。
 ジョルジュの話を・・・。」

「喜んでお聞かせしましょう。
 フロドゥール王。」

 リリィはニッコリ笑うと再び語り出したのだった。
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