溜息だって吐きたくなるわっ！〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

英傑の記憶②〜帰還〜

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「じゃあ、何でお前が生きてんだ？」

　暗闇の中から聞こえるレアンダの戸惑いの声。
　フランコ・トワはニッコリと笑うとポゥッと周囲を明るくさせた。
　そして腕に大きな傷痕を残す男を見つけると嬉しそうに駆け寄った。

「レアンダのおっちゃん！」

　眩しそうに顔を歪めるレアンダの姿は記憶よりも痩せていた。
　しかし、ピッケルを握る手には逞しさが残っているようだ。

「おいおい。本当にフランコ・トワじゃないか・・・。」

　唖然とするレアンダにフランコ・トワは担いでいた男を放り投げて牢屋に飛びついた。

「迎えに来た！
　帰ろう。ミロの坊やも村で待ってる。」

　ミロ・・・息子の名を聞きレアンダは両目を大きく広げた。

「ミロは・・・ミロは無事か？」

「うん。
　村の爺と婆が子供達を守ってくれてたみたいだ。
　ミロ坊やも元気だった。」

「そうか・・・そうか。
　元気か・・・良かった。」

　今にも泣きそうなレアンダであったが、息子が生きてると知り落ち着きを取り戻した。

「で？お前は？何で生きてんだ？
　海に帰ったはずだろう？」

　牢屋越しの再会にも関わらずフランコ・トワは御機嫌に笑った。

「とりあえず、そこから出ておいでよ。
　そうだ。村は俺の嫁さんが守ってる。
　俺なんかよりも、ずっと強いから安心してくれ。
　まずは、此処の鍵・・・おっピッタリだ。」

　マイペースなところは何も変わっていないフランコ・トワにレアンダは苦笑するしかない。
　そのお陰で、サラッと口にした情報を聞き逃している。

ガチャ

　重苦しい音と共に牢屋が開くとフランコ・トワはレアンダを出してやった。

「お待たせ。」

　ぼうっと光ってる中でフランコ・トワは昔のようにニカッと笑っている。
　レアンダは鼻をフンと鳴らすと、堅いの良いフランコ・トワを抱きしめた。

「有難うよ。トワ。」

「へへへ。」

　御礼を言われたフランコ・トワは何処か照れた子供の様に笑った。

「あの～。旦那？
　コイツ等はどうすれば・・・。」

　そんな時、弱々しい声が洞穴に響いた。
　
　フランコ・トワは、そう言えばと振り返れば一緒にきた盗賊の男が情けない顔で洞穴の見張り役を背負っていた。

「レアンダのおっちゃんの牢屋に入れておこう。」

　ポイポイと牢屋の中に2人の男を放り投げるとフランコ・トワは牢屋に鍵を閉めパンパンと手を叩いた。

「これで良し。
　おっちゃんは他の皆んなの居場所知ってる？」

　フランコ・トワの問いかけにレアンダは考え込んだ。

「まちまちだな。
　だが、東側の牢屋には纏まった人数がぶち込まれてる筈だ。
　此処は反抗的な人間が一時的に入れられる牢屋でな。
　俺も元々は東側に居たんだが、あっちで暴れちまったから西に移動させられたんだ。
　その他の連中は、散り散りになって働かされてるはずだ。」

「なるほどね・・・。
　次は西だな。
　おっちゃんも手伝ってよ。
　ミロ坊や他の子供達にも皆んなを連れて帰るって約束したんだ。」

「当たり前だろう。
　村に帰れるなら、何でもしてやるよ。」

　こうしてフランコ・トワは仲間を1人取り戻した。