溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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義心の先にあるもの

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 謁見。

 目上の貴人などへの目通りの際に使われる言葉であるが、フロドゥール国の人間にとってロンサンティエ帝国は初代からの仲故に対等・・・加えて、昨今でいえば寧ろ馬鹿にしていたきらいがある為にレイド・フロドゥールは若き皇帝に頭を下げるのを拒んだ。

 その態度は連れてきた部下達にとっては頼もしい限りであるが、対峙するロンサンティエ帝国側の人間達には印象は悪い。

 現に宰相であるフィリックス・ガルシアは物言いたげに同じく宰相であるハル・シネイに視線を送っている。
 当然、ハル・シネイにしてみたら知らぬ存ぜぬである。

 もっとも、そんな事を一番どうでも良いと思っているのは皇帝ファヴィリエ・ルカ・ロンサンティエであり、客人として迎えたフロドゥール国の国王の人となりの一面を見たとだけの感想を抱いていた。

 レイド・フロドゥール国王達が案内されてきたのは絢爛豊かな謁見の間ではなく、皇帝が私的に面会する為に使う小部屋だった。

 謁見の間であれば、玉座があり否が応でも客人との関係に序列が生まれる。

 それを選ばなかったロンサンティエ帝国に対し、小部屋といえども文句を言うまいと胸を張るレイド・フロドゥールである。

 そんな時だった。
 小部屋の奥の扉が開き、レイド・フロドゥールも見覚えのある若い娘が顔を出した。

「うわ。狭っ!
 本当に此処で話し合いするの?
 男の密度が高過ぎて気持ち悪んだけど。」

 早々に文句を口にする龍の姫巫女リリィに面食らっているのはフロドゥール国の人間達であり、ロンサンティエ帝国の人間達は苦笑するばかりだ。

「そうだな。
 込み入った話をする前に移動するか。
 フロドゥール王よ。
 こちらの小部屋は客人と挨拶する為の部屋であり、実際の部屋はこの奥にあるのです。
 私の執務室になります。
 どうぞ、お入り下さい。」

 穏やかな微笑む若き皇帝ファヴィリエ・ルカに対してレイド・フロドゥールは厳しい顔で頷いた。

「陛下。なぜに部屋をお分けになられているのです?」

 こんな時でも疑問を口にする自国の宰相にレイド・フロドゥールは眉間の皺を濃くした。

「シネイ翁。
 それは、面会する人間を厳選する為だ。
 どうでも良い相手には、ここでお帰り頂く。
 まぁ、リリィの言い方で言えば面倒な人間の全ての相手はしていられない。
 ってところかな。」

 笑いながら立ち上がる若き皇帝にレイド・フロドゥールとハル・シネイは顔を見合わせた。

「フロドゥール王。申し訳ない。
 どうにも私は慎重でして、初めてのお客様とは一時的にこの部屋で話してからでないと奥へ案内する事に躊躇われましてね。
 でも、リリィは早く貴方と話したいようです。
 龍は、そう短気でもないんですけどね。」

 この穏やかな若き皇帝の真髄はどこにあるのか、疑い深いフロドゥールの王は考えあぐねていた。


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