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得たものこそ宝なり
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皇帝ファヴィリエ・ルカは困っていた。
朝から沢山の光の玉が集まる美しい光景を見る事が出来た。
信頼する貴族達と妖精の契約を見守り、安堵した。
ディミトリオ・ハクヤとリリィからも妖精についての説明を一通り聞いた。
ならば自分に起きている事は、どういう事だろう。
彼の相棒である宰相フィリックス・ガルシアは美しい青年へと変化した水妖精と契約した。
護衛のセオドア・ローリング伯爵の元には鷹の姿の風妖精が姿を現した。
しかし、ファヴィリエ・ルカの元にやってきた妖精は名前を付けて契約が済んでいるにも関わらず光の玉のままだった。
側を離れる事は決してないが、ユラユラと不安定に揺れているだけだ。
「これは・・・珍しいわね。」
リリィも不思議そうに光の玉に触れると「契約は出来てるわね。」と呟いた。
「私が何かしてしまったのだろうか?」
不安気なファヴィリエ・ルカに微笑むとリリィは光の玉を額に当てて目を瞑った。
「いいえ。貴方は失敗していないわ。
この子が言うには、まだ時期じゃないそうよ。」
「時期じゃない?
・・・とは、どう言う事だ?」
「さぁ~ね。
妖精は気まぐれ。
確かに珍しいけれど、このままの姿で貴方に寄り添うわ。
お寝坊さんが目覚める時まで気長に魔力を与え続けて待つことね。
妖精は害ではなく、貴方の味方よ。
それだけは信じて。」
ゆっくりと自分の掌に降りてきた光の玉を見つめ、ファヴィリエ・ルカは頷いた。
「なんだか、よく分からないが折角出会えたんだ。
この子を大切にするよ。
君の変化に立ち会える時が楽しみだ。
今は、ゆっくりと力を蓄えていてくれ。
“クロス”。」
ファヴィリエ・ルカの言葉に反応したのか、クロスと名を呼ばれた妖精は光を優しく点滅させたのだった。
この日、ロンサンティエ帝国は大きな変革を迎えた。
リリィの手を借りて妖精と契約した者達は、大切そうに妖精と共に帰って行った。
まさか、登城し戻って来た当主が妖精を引き連れて帰ってくると思っていない家の者達は大慌てだ。
彼等は自領や国に戻ると、すぐさま周囲の者達に妖精との付き合い方を教えた。
リリィの力によって国の大部分に龍気が行き渡り始めているロンサンティエ帝国。
当主に教えられるまでもなく、光の玉が見えていた者達がいたり、すでに友好を結んでいる者もいたようだ。
その流れは、徐々に一般の市民にも広がりを見せた。
本来、龍を信奉しているブランチ辺境領などは最たるもので、当主サイラス・ブランチに教えを乞うたその日の内に妖精との契約をする者までいた。
帝国に続々と妖精と契約する人間が増えた。
その結果、魔法が使える人間が増えた事でロンサンティエ帝国に警戒を強める国が現れる事も確かだった。
朝から沢山の光の玉が集まる美しい光景を見る事が出来た。
信頼する貴族達と妖精の契約を見守り、安堵した。
ディミトリオ・ハクヤとリリィからも妖精についての説明を一通り聞いた。
ならば自分に起きている事は、どういう事だろう。
彼の相棒である宰相フィリックス・ガルシアは美しい青年へと変化した水妖精と契約した。
護衛のセオドア・ローリング伯爵の元には鷹の姿の風妖精が姿を現した。
しかし、ファヴィリエ・ルカの元にやってきた妖精は名前を付けて契約が済んでいるにも関わらず光の玉のままだった。
側を離れる事は決してないが、ユラユラと不安定に揺れているだけだ。
「これは・・・珍しいわね。」
リリィも不思議そうに光の玉に触れると「契約は出来てるわね。」と呟いた。
「私が何かしてしまったのだろうか?」
不安気なファヴィリエ・ルカに微笑むとリリィは光の玉を額に当てて目を瞑った。
「いいえ。貴方は失敗していないわ。
この子が言うには、まだ時期じゃないそうよ。」
「時期じゃない?
・・・とは、どう言う事だ?」
「さぁ~ね。
妖精は気まぐれ。
確かに珍しいけれど、このままの姿で貴方に寄り添うわ。
お寝坊さんが目覚める時まで気長に魔力を与え続けて待つことね。
妖精は害ではなく、貴方の味方よ。
それだけは信じて。」
ゆっくりと自分の掌に降りてきた光の玉を見つめ、ファヴィリエ・ルカは頷いた。
「なんだか、よく分からないが折角出会えたんだ。
この子を大切にするよ。
君の変化に立ち会える時が楽しみだ。
今は、ゆっくりと力を蓄えていてくれ。
“クロス”。」
ファヴィリエ・ルカの言葉に反応したのか、クロスと名を呼ばれた妖精は光を優しく点滅させたのだった。
この日、ロンサンティエ帝国は大きな変革を迎えた。
リリィの手を借りて妖精と契約した者達は、大切そうに妖精と共に帰って行った。
まさか、登城し戻って来た当主が妖精を引き連れて帰ってくると思っていない家の者達は大慌てだ。
彼等は自領や国に戻ると、すぐさま周囲の者達に妖精との付き合い方を教えた。
リリィの力によって国の大部分に龍気が行き渡り始めているロンサンティエ帝国。
当主に教えられるまでもなく、光の玉が見えていた者達がいたり、すでに友好を結んでいる者もいたようだ。
その流れは、徐々に一般の市民にも広がりを見せた。
本来、龍を信奉しているブランチ辺境領などは最たるもので、当主サイラス・ブランチに教えを乞うたその日の内に妖精との契約をする者までいた。
帝国に続々と妖精と契約する人間が増えた。
その結果、魔法が使える人間が増えた事でロンサンティエ帝国に警戒を強める国が現れる事も確かだった。
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