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舞踏会と言う名の
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2人の男女が親しそうにダンスを踊る。
「遅れて来て目立ち過ぎじゃない?」
「貴方は、どうあっても目立つでしょう。
いっそ、もっと目立ってしまえという事らしい。」
不思議な事に対外的と普段とでは言葉遣いが逆な2人はコソッと会話する。
龍の姫巫女が遅れて入場すると計画したのは宰相フィリックス・ガルシアだった。
夢見る貴族令嬢や、その親達のプライドを木っ端微塵にする為にリリィの完璧なまでの美しさを演出したのだ。
「そのドレスは美しいが珍しい形ですね。」
踊りながら囁くファヴィリエ・ルカにリリィは微笑んだ。
「お針子の師匠によると、マーメイドドレスという形なのだそうです。
今回のは肩がでるデザインなので、薄いレースをロングの肩掛けにしてみました。
シルクスパイダーの糸は肌触りも良くて光沢があるのですが、弱点が加工するまで切れやすい事なんです。
レースを編み終わって加工魔法で仕上げるまで気を使いました。」
「その苦労が報われましたね。
誰よりも美しいですよ。」
「ルカ様に褒めて頂けるのなら成功ですね。」
2人が微笑むと見学していた者達がホウッと溜息を吐く。
既にダンスフロアは2人だけの世界になっている。
もうすぐに音楽が終わる。
次こそは自分がと意気込む貴族令嬢も次第に持っていた自信が小さく萎んでいくのが分かる。
それでも数人の勇者が音楽が終わるとフロアに足を進めた。
皇帝ファヴィリエ・ルカは龍の姫巫女・リリィの背に手をやると大切そうに玉座に向かった。
背を向けられた令嬢達はビクッと体を強張らせた。
2人で階段を登り終えると、ファヴィリエ・ルカは自信の隣にリリィを座らせた。
まだ、婚約者でありながら皇妃の椅子に座らされたリリィは戸惑う表情をした。
それは貴族達も同じで、その視線は皇帝ファヴィリエ・ルカに疑問を問いかけていた。
「改めて此処に宣言する。
私、ファヴィリエ・ルカは龍の姫巫女・リリィを生涯のたった1人の妻とする。
その他の者はいらぬ。
皇帝になると決めた時に、既に1度宣言している。
私を嘗ての皇帝達と同じ過ちを犯す愚か者と思っているのなら、それで結構。
龍に楯突こうとする者を庇ってやる気など毛頭ない。
私の言う事が理解出来た者は足を進め中央に参れ。
納得のいかぬ者は、その扉から出ていくがいい。」
怒りの目を持ったファヴィリエ・ルカに、貴族達はこの舞踏会が開催された意味を知った。
愚かにも皇帝の側室を望む者がいる事は皆知っていた。
しかし、皇帝陛下は望んでいない。
1人、1人と中央に足を進め皇帝陛下の言葉に同意を示す貴族達の中、数人の貴族令嬢とその親達は恐ろしさで動く事すら出来ずにいた。
「遅れて来て目立ち過ぎじゃない?」
「貴方は、どうあっても目立つでしょう。
いっそ、もっと目立ってしまえという事らしい。」
不思議な事に対外的と普段とでは言葉遣いが逆な2人はコソッと会話する。
龍の姫巫女が遅れて入場すると計画したのは宰相フィリックス・ガルシアだった。
夢見る貴族令嬢や、その親達のプライドを木っ端微塵にする為にリリィの完璧なまでの美しさを演出したのだ。
「そのドレスは美しいが珍しい形ですね。」
踊りながら囁くファヴィリエ・ルカにリリィは微笑んだ。
「お針子の師匠によると、マーメイドドレスという形なのだそうです。
今回のは肩がでるデザインなので、薄いレースをロングの肩掛けにしてみました。
シルクスパイダーの糸は肌触りも良くて光沢があるのですが、弱点が加工するまで切れやすい事なんです。
レースを編み終わって加工魔法で仕上げるまで気を使いました。」
「その苦労が報われましたね。
誰よりも美しいですよ。」
「ルカ様に褒めて頂けるのなら成功ですね。」
2人が微笑むと見学していた者達がホウッと溜息を吐く。
既にダンスフロアは2人だけの世界になっている。
もうすぐに音楽が終わる。
次こそは自分がと意気込む貴族令嬢も次第に持っていた自信が小さく萎んでいくのが分かる。
それでも数人の勇者が音楽が終わるとフロアに足を進めた。
皇帝ファヴィリエ・ルカは龍の姫巫女・リリィの背に手をやると大切そうに玉座に向かった。
背を向けられた令嬢達はビクッと体を強張らせた。
2人で階段を登り終えると、ファヴィリエ・ルカは自信の隣にリリィを座らせた。
まだ、婚約者でありながら皇妃の椅子に座らされたリリィは戸惑う表情をした。
それは貴族達も同じで、その視線は皇帝ファヴィリエ・ルカに疑問を問いかけていた。
「改めて此処に宣言する。
私、ファヴィリエ・ルカは龍の姫巫女・リリィを生涯のたった1人の妻とする。
その他の者はいらぬ。
皇帝になると決めた時に、既に1度宣言している。
私を嘗ての皇帝達と同じ過ちを犯す愚か者と思っているのなら、それで結構。
龍に楯突こうとする者を庇ってやる気など毛頭ない。
私の言う事が理解出来た者は足を進め中央に参れ。
納得のいかぬ者は、その扉から出ていくがいい。」
怒りの目を持ったファヴィリエ・ルカに、貴族達はこの舞踏会が開催された意味を知った。
愚かにも皇帝の側室を望む者がいる事は皆知っていた。
しかし、皇帝陛下は望んでいない。
1人、1人と中央に足を進め皇帝陛下の言葉に同意を示す貴族達の中、数人の貴族令嬢とその親達は恐ろしさで動く事すら出来ずにいた。
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