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決して誰もが同じでない
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寝室に模した部屋を出たリリィ達が次に向かったのは主人が和む居室を想定された部屋だった。
既に研修は始まり、各々に散らばり動き始めていた。
グループで塊っている者、1人で作業をする者と見た目に分かりやすい構図ができている。
『リリィ。見てみなよ。』
ただ興味本意に見つめていた白銀の龍・ルーチェが尻尾で指す方を見れば1番大きな塊が出来ている。
そのグループは1人の女性がとても目立っているようだった。
「・・・あれは。」
発する言葉を思い出すかのように考え込むリリィをコテツが助けた。
「あれは、ピュメロン侯爵家のデリーヌ嬢だね。
評判の良い兄と、既に嫁いだ姉がいる。
ピュメロン侯爵家は優秀な文官を輩出している一族であるけど・・・あれは、どうして、あー育ったんだろう。」
あー育ったんだろう・・・
コテツの言い方も酷いが、リリィは目の前で繰り広げられている光景に何とも言えない顔をしていた。
デリーヌ嬢を中心のグループは彼女の指示で動いていた。
どうやら、デリーヌ嬢は掃除や配膳などを自らする気はないらしく、ついにはソファーに座り出していた。
「あれは働く気がないのかしら?」
首を傾げるリリィにデリーヌ嬢の声が届いてきた。
「皇帝陛下は、こちらにお座りになるわよね。
でしたら、正面では距離がありますわよね?
此方に座ればお話もスムーズですわ。
あぁ、そこの貴方もう少し、窓を開けて下さらない?」
まるで自分が主人の様に振る舞う様子にリリィは彼女の目的がハッキリと分かった。
「あぁ・・・そう言う事か。」
「側妃狙いか・・・。
でも、ルイ様は国内外に対してリリィ以外を娶らないと発表している。
随分と頭がお花畑だ。」
「自ら二番手になろうとする女は大体こんなもんじゃない?
頭があれば最初から一番になるように求めるでしょう。
今は放っておきましょう。
ルカが私よりも他の女性を優先するならば、自ずと考えが変わるけれど・・・。」
「ルカ様・・・お気の毒に。」
巻き込み事故で重症を負うファヴィリエ・ルカを哀れに思うコテツであった。
そんな時だった。
「とんだお花畑ね。」
小さな声が聞こえてきた。
誰にも聞こえてないと思っているその声にリリィとコテツが顔を見合わせた。
入り口の近くの壁の隅を念入りに掃除している若い娘がいた。
その娘はデリーヌ嬢たちを横目にせっせと体を動かしていた。
「何で同じ場所で作業するのよ。
バラバラに散れば掃除なんて直ぐに終わるでしょうに。
馬鹿なの?あぁ、馬鹿なんだ。馬鹿だから人の目を憚らずに恥ずかしい事を口走るんだ。
もし皇帝陛下が此処にいたとしても、彼女のクルンとした前髪が変だって事すら気づかないだろうに・・・。
龍の姫巫女様もお気の毒に・・・あれが部下の1人になったとしたら面倒この上ないわ。」
ぶつぶつと呟くと若い娘は側にあった花瓶をじっくりと観察すると教官をしている男性に近づいた。
「すみません。
あちらの花瓶ですが、季節と合わない様です。
取り替える事は出来ますか?」
「ここは研修室なので、そこまで考慮されてません。
でも、貴方の鋭い観察眼に関して成績に追加しておきましょう。」
「・・ありがとうございます?」
何故最後が疑問系なのかは分からないが、覗くのをやめたリリィはコテツを見上げた。
「あの子、採用。」
スタスタと歩き去るリリィの背中を見たコテツの小さく笑った。
「だよね。」
既に研修は始まり、各々に散らばり動き始めていた。
グループで塊っている者、1人で作業をする者と見た目に分かりやすい構図ができている。
『リリィ。見てみなよ。』
ただ興味本意に見つめていた白銀の龍・ルーチェが尻尾で指す方を見れば1番大きな塊が出来ている。
そのグループは1人の女性がとても目立っているようだった。
「・・・あれは。」
発する言葉を思い出すかのように考え込むリリィをコテツが助けた。
「あれは、ピュメロン侯爵家のデリーヌ嬢だね。
評判の良い兄と、既に嫁いだ姉がいる。
ピュメロン侯爵家は優秀な文官を輩出している一族であるけど・・・あれは、どうして、あー育ったんだろう。」
あー育ったんだろう・・・
コテツの言い方も酷いが、リリィは目の前で繰り広げられている光景に何とも言えない顔をしていた。
デリーヌ嬢を中心のグループは彼女の指示で動いていた。
どうやら、デリーヌ嬢は掃除や配膳などを自らする気はないらしく、ついにはソファーに座り出していた。
「あれは働く気がないのかしら?」
首を傾げるリリィにデリーヌ嬢の声が届いてきた。
「皇帝陛下は、こちらにお座りになるわよね。
でしたら、正面では距離がありますわよね?
此方に座ればお話もスムーズですわ。
あぁ、そこの貴方もう少し、窓を開けて下さらない?」
まるで自分が主人の様に振る舞う様子にリリィは彼女の目的がハッキリと分かった。
「あぁ・・・そう言う事か。」
「側妃狙いか・・・。
でも、ルイ様は国内外に対してリリィ以外を娶らないと発表している。
随分と頭がお花畑だ。」
「自ら二番手になろうとする女は大体こんなもんじゃない?
頭があれば最初から一番になるように求めるでしょう。
今は放っておきましょう。
ルカが私よりも他の女性を優先するならば、自ずと考えが変わるけれど・・・。」
「ルカ様・・・お気の毒に。」
巻き込み事故で重症を負うファヴィリエ・ルカを哀れに思うコテツであった。
そんな時だった。
「とんだお花畑ね。」
小さな声が聞こえてきた。
誰にも聞こえてないと思っているその声にリリィとコテツが顔を見合わせた。
入り口の近くの壁の隅を念入りに掃除している若い娘がいた。
その娘はデリーヌ嬢たちを横目にせっせと体を動かしていた。
「何で同じ場所で作業するのよ。
バラバラに散れば掃除なんて直ぐに終わるでしょうに。
馬鹿なの?あぁ、馬鹿なんだ。馬鹿だから人の目を憚らずに恥ずかしい事を口走るんだ。
もし皇帝陛下が此処にいたとしても、彼女のクルンとした前髪が変だって事すら気づかないだろうに・・・。
龍の姫巫女様もお気の毒に・・・あれが部下の1人になったとしたら面倒この上ないわ。」
ぶつぶつと呟くと若い娘は側にあった花瓶をじっくりと観察すると教官をしている男性に近づいた。
「すみません。
あちらの花瓶ですが、季節と合わない様です。
取り替える事は出来ますか?」
「ここは研修室なので、そこまで考慮されてません。
でも、貴方の鋭い観察眼に関して成績に追加しておきましょう。」
「・・ありがとうございます?」
何故最後が疑問系なのかは分からないが、覗くのをやめたリリィはコテツを見上げた。
「あの子、採用。」
スタスタと歩き去るリリィの背中を見たコテツの小さく笑った。
「だよね。」
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