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決して誰もが同じでない
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『お出かけ~?』
と巻きついてきた白銀の龍・ルーチェを連れて離宮を後にしたリリィ達は、かつて先代皇帝の愛妾達が過ごしていた屋敷に足を踏み入れた。
改装の終わった屋敷では1階が研修施設となり、2階以上が見習い達の宿泊部屋となっている。
現在は総勢100人程の人間が宮殿や後宮で働く事を夢に見て研修に励んでいる。
「文官や騎士には学園が存在するが、侍従や侍女の教育機関は存在しなかった。
大体が、貴族の家に行儀見習いに出る市民が多いが王宮や後宮はそうはいかない。
貴族の長子でない子供達が担う事も多く、当然、侍従や侍女の中でも序列が生まれやすくなっている。」
コテツの簡略的な説明にリリィの頭の中には、やっぱり「・・・面倒」の言葉が浮かび上がっていた。
「今回、侍従と侍女の教育機関ができた事で様々な人間が応募してきている。
貴族の子息や令嬢で学園を卒業してから来た者もいるし、貴族の屋敷で既に働いている熟練の者いる。
中には全くの素人の平民も混じっているから多種多様だ。
リリィは気に入った人間を見つければ良い。」
「見つければ良いって・・・それが難しいんでしょう?」
「大丈夫さ。
案外、リリィは直ぐに見つけるよ。」
根拠などないだろうに自信ありげなコテツにリリィは溜息を吐いた。
コッソリと見学を始めるリリィとコテツは最初に寝室を模した部屋で研修をする者達を覗き込んだ。
「我が帝国の皇室における侍従や侍女の仕事は皇帝陛下、皇后陛下そして皇族の皆様の身の回りのお世話から掃除や洗濯などの雑務まで多岐に渡ります。
皆が皆、皇帝陛下や皇后陛下のお側で支える事が出来ると決して思わぬ事です。
新たな皇帝陛下は身分や年齢も関係なく広い目で判断されるお方です。
誰にでも挑戦する権利が与えられたのです。精進なさい。」
年配の侍女が指導をしているようだ。
しっかりと新皇帝の考えを理解している事に感心しならがリリィは研修する者達を観察した。
しっかりと学びを得ようと真剣な者、誰かに送り込まれたのが丸分かりのやる気のない者。
中には年配の侍女が言った言葉に不満を持つ貴族の子息や令嬢がいた。
彼らにしてみたら仕事を受ける上でライバルが増えた上に平民なんぞに負けるはずがないと傲慢さが見えた。
「あれは駄目ね。」
「リリィ、あれは駄目だ。」
リリィとコテツが思わず同時に声に出した。
「ほらね。」
思わずリリィが顔を顰めるとコテツが苦笑した。
「早めにダメな人間が分かって良かったじゃないか。
あの愚かな者達以外だって、真剣に学んでいる奴らだっていっぱいいるよ。
次の部屋に行く?
居室での研修も行われている。」
反論も言わせないコテツに諦めリリィはジトっとした目で溜息を吐いた。
「・・・分かった。」
と巻きついてきた白銀の龍・ルーチェを連れて離宮を後にしたリリィ達は、かつて先代皇帝の愛妾達が過ごしていた屋敷に足を踏み入れた。
改装の終わった屋敷では1階が研修施設となり、2階以上が見習い達の宿泊部屋となっている。
現在は総勢100人程の人間が宮殿や後宮で働く事を夢に見て研修に励んでいる。
「文官や騎士には学園が存在するが、侍従や侍女の教育機関は存在しなかった。
大体が、貴族の家に行儀見習いに出る市民が多いが王宮や後宮はそうはいかない。
貴族の長子でない子供達が担う事も多く、当然、侍従や侍女の中でも序列が生まれやすくなっている。」
コテツの簡略的な説明にリリィの頭の中には、やっぱり「・・・面倒」の言葉が浮かび上がっていた。
「今回、侍従と侍女の教育機関ができた事で様々な人間が応募してきている。
貴族の子息や令嬢で学園を卒業してから来た者もいるし、貴族の屋敷で既に働いている熟練の者いる。
中には全くの素人の平民も混じっているから多種多様だ。
リリィは気に入った人間を見つければ良い。」
「見つければ良いって・・・それが難しいんでしょう?」
「大丈夫さ。
案外、リリィは直ぐに見つけるよ。」
根拠などないだろうに自信ありげなコテツにリリィは溜息を吐いた。
コッソリと見学を始めるリリィとコテツは最初に寝室を模した部屋で研修をする者達を覗き込んだ。
「我が帝国の皇室における侍従や侍女の仕事は皇帝陛下、皇后陛下そして皇族の皆様の身の回りのお世話から掃除や洗濯などの雑務まで多岐に渡ります。
皆が皆、皇帝陛下や皇后陛下のお側で支える事が出来ると決して思わぬ事です。
新たな皇帝陛下は身分や年齢も関係なく広い目で判断されるお方です。
誰にでも挑戦する権利が与えられたのです。精進なさい。」
年配の侍女が指導をしているようだ。
しっかりと新皇帝の考えを理解している事に感心しならがリリィは研修する者達を観察した。
しっかりと学びを得ようと真剣な者、誰かに送り込まれたのが丸分かりのやる気のない者。
中には年配の侍女が言った言葉に不満を持つ貴族の子息や令嬢がいた。
彼らにしてみたら仕事を受ける上でライバルが増えた上に平民なんぞに負けるはずがないと傲慢さが見えた。
「あれは駄目ね。」
「リリィ、あれは駄目だ。」
リリィとコテツが思わず同時に声に出した。
「ほらね。」
思わずリリィが顔を顰めるとコテツが苦笑した。
「早めにダメな人間が分かって良かったじゃないか。
あの愚かな者達以外だって、真剣に学んでいる奴らだっていっぱいいるよ。
次の部屋に行く?
居室での研修も行われている。」
反論も言わせないコテツに諦めリリィはジトっとした目で溜息を吐いた。
「・・・分かった。」
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