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後宮にも新たな風が吹く
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ユニエ・アミとテムズ・ダンの周囲が時間を置かずに変わりを見せた。
双子の周囲を固めていた侍従や侍女の姿が見えなくなり、新たに初めて見る侍従と侍女が付けられた。
下の皇子や皇姫達が新たな環境に慣れ親しんでいくなか、双子は今でも警戒心が強く周囲を伺っているようだった。
優しい侍従と世話焼きの侍女を前に双子はどうしたら良いのか戸惑っているようだ。
リリィの言葉に即座に動いたのはファヴィリエ・ルカだった。
ディミトリオ・ハクヤに命じ、オンブロー伯爵家の周囲を重点的に調べ直させたのだ。
オンブロー伯爵家の当主であったピエール・オンブローは双子の祖父にあたり、先の政権交代の折りに表舞台を退き、息子であるグラバルが引き継いだ。
ピエールと妻のダリアは王宮から追放された娘ロザンナと共に自領に帰り余生を過ごすそうだ。
今回の調査の対象はロザンナを中心にオンブロー伯爵家の全てに対して行われた。
先代伯爵であるピエールは良くも悪くも平凡な男だった。
流れに身を任せ、娘がハイゴール・ウィリの元に身を置けばば反対もせずにいた。
降ってきた恩恵を享受し甘んじていたのも決して欲を出したからではなく、目の前に並べられた物に手を伸ばしたにすぎない。
しかし、息子であるグラバルはどうだろう。
アニエ・ユニとテムズ・ダンの後見役となって王宮に出入りしている彼も、決して目立つ存在ではない。
それでも、祖父や母と比べて弱い叔父としての立場に縋り付いているのではないか。
継続した恩恵を得る為に幼い双子の皇姫と皇子を利用しているのではないか・・・。
答えは直ぐに出た。
王宮に呼び出しを受けたピエール・オンブローとグラハム・オンブロー親子は案内された一室で落ち着きのない様子で周囲に目を凝らしていた。
ロザンナ・オンブローの公費の使い込みの件は罰金を支払った。
加えて当主が責任を取り退きた事で決着がついたと思っていた。
「お待たせ致しました。」
そこに姿を見せたのは若き貴族だった。
「ガルシア侯爵の御子息ではありませんか?」
思ってもいない登場人物の出現にオンブロー伯爵家の親子は驚いた。
「はい。
フィリックス・ガルシアに御座います。
この度、宰相を任命され皇帝陛下の変わりに御二方の御相手をさせて頂きます。」
王宮に呼ばれたからと言って、皇帝に会えるわけではない。
田舎貴族の2人は、それまでとの対応の違いを思い出させられた様に顔を引き攣らせた。
「時間も無限ではありません。
早速ではありますが、呼び立てた理由をご説明しましょう。」
フィリックス・ガルシアは胸ポケットからモノクルを取り出すとカチャリと音を立てて装着した。
オンブロー伯爵家の2人は次々と齎される話に顔面蒼白になり震え出すのだった。
双子の周囲を固めていた侍従や侍女の姿が見えなくなり、新たに初めて見る侍従と侍女が付けられた。
下の皇子や皇姫達が新たな環境に慣れ親しんでいくなか、双子は今でも警戒心が強く周囲を伺っているようだった。
優しい侍従と世話焼きの侍女を前に双子はどうしたら良いのか戸惑っているようだ。
リリィの言葉に即座に動いたのはファヴィリエ・ルカだった。
ディミトリオ・ハクヤに命じ、オンブロー伯爵家の周囲を重点的に調べ直させたのだ。
オンブロー伯爵家の当主であったピエール・オンブローは双子の祖父にあたり、先の政権交代の折りに表舞台を退き、息子であるグラバルが引き継いだ。
ピエールと妻のダリアは王宮から追放された娘ロザンナと共に自領に帰り余生を過ごすそうだ。
今回の調査の対象はロザンナを中心にオンブロー伯爵家の全てに対して行われた。
先代伯爵であるピエールは良くも悪くも平凡な男だった。
流れに身を任せ、娘がハイゴール・ウィリの元に身を置けばば反対もせずにいた。
降ってきた恩恵を享受し甘んじていたのも決して欲を出したからではなく、目の前に並べられた物に手を伸ばしたにすぎない。
しかし、息子であるグラバルはどうだろう。
アニエ・ユニとテムズ・ダンの後見役となって王宮に出入りしている彼も、決して目立つ存在ではない。
それでも、祖父や母と比べて弱い叔父としての立場に縋り付いているのではないか。
継続した恩恵を得る為に幼い双子の皇姫と皇子を利用しているのではないか・・・。
答えは直ぐに出た。
王宮に呼び出しを受けたピエール・オンブローとグラハム・オンブロー親子は案内された一室で落ち着きのない様子で周囲に目を凝らしていた。
ロザンナ・オンブローの公費の使い込みの件は罰金を支払った。
加えて当主が責任を取り退きた事で決着がついたと思っていた。
「お待たせ致しました。」
そこに姿を見せたのは若き貴族だった。
「ガルシア侯爵の御子息ではありませんか?」
思ってもいない登場人物の出現にオンブロー伯爵家の親子は驚いた。
「はい。
フィリックス・ガルシアに御座います。
この度、宰相を任命され皇帝陛下の変わりに御二方の御相手をさせて頂きます。」
王宮に呼ばれたからと言って、皇帝に会えるわけではない。
田舎貴族の2人は、それまでとの対応の違いを思い出させられた様に顔を引き攣らせた。
「時間も無限ではありません。
早速ではありますが、呼び立てた理由をご説明しましょう。」
フィリックス・ガルシアは胸ポケットからモノクルを取り出すとカチャリと音を立てて装着した。
オンブロー伯爵家の2人は次々と齎される話に顔面蒼白になり震え出すのだった。
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