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後宮にも新たな風が吹く
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空の散歩に勤しむルーチェは職人が出入りする離宮“薔薇の宮”をチラッと目で見ると興味なさげに離れていく。
かつて皇妃だったメッサリーナの住まいだった“薔薇の宮”は皇子や皇姫達の学舎へと変わっていく。
今は、これまでの様な派手な装飾は無用だと手入れをされているのだ。
名の通り咲き誇る薔薇は棘で皇子や皇姫が怪我をしないか危惧され、加えて皇子や皇姫には様々な花を愛でて欲しいと、マドレーヌの言葉に薔薇の花は植え替えられる事になっている。
この場所も“薔薇の宮”と呼ばれなくなる日も近いかもしれない
そんな“薔薇の宮”を離れるとルーチェは一際煩い場所に覗きに行った。
王宮と繋がる後宮の入り口に存在する屋敷は他と違い大幅に改善されているようだ。
侍従や侍女の育成機関として利用される事になっている屋敷は、1階のサロンや1部屋を残して、2階以上の部屋は取り壊され、研修生達の寝泊りの部屋へと変貌を遂げていく。
ここにも利用されいる派手な宝飾品は離宮のと合わせて商人達に買い取ってもらい国民の為に活用する予定だ。
残された1階のサロンや愛妾の部屋は研修用に利用される。
新皇帝ファヴィリエ・ルカの最初の仕事はいかに倹約に努めるかを王宮内に浸透させる事だった。
何処かの貴族が後宮の全てを解体し新しく作り替えようと言った時に、真っ先に反対したのもファヴィリエ・ルカだった。
それは壊す事にもお金がかかる事を理解していない貴族への呆れだった。
何も、全てに金を使うなと言っているのではない。
不必要な贅沢をやめよと言っているのだ。
利用できるものは利用する。
そう宣言した新皇帝の言葉には多くの貴族が困った顔をしていた。
その時の事を思い出しケラケラと笑っていたルーチェは庭園に人が集まってる見つけて降りて行った。
「さて、ここに集まった者達は王宮と後宮のいずれかに配属される侍従見習いと侍女見習いだ。」
燕尾服に身を包み込んでいる男が辺りを見回す様に言った。
その彼を覗き込むように見つめている者達は性別も年齢もバラバラだった。
「ここにいる全ての者が王宮や後宮で働けると思わぬ事だ。
我らがお仕えするのは世界の中でも最も尊きお方達だ。
心して研修に励むように。」
集まった者達の顔が引き締まっている。
そのうちの何人かは確実にリリィの元にやって来る。
ルーチェは、よーく目を凝らした。
『全然ダメダメだね。
心に野心や欲望が満ちている者ばかりだ。
本当に人間ってのは・・・。」
溜息を吐くように首を振ると、がっかりして去ろうとしたルーチェだったが、ピクリと止まった。
『おやおや?
ふーん。
何人かは悪くないのがいるか・・・。』
クスッと笑うとルーチェは庭園をグルりと一周すると飛び立った。
かつて皇妃だったメッサリーナの住まいだった“薔薇の宮”は皇子や皇姫達の学舎へと変わっていく。
今は、これまでの様な派手な装飾は無用だと手入れをされているのだ。
名の通り咲き誇る薔薇は棘で皇子や皇姫が怪我をしないか危惧され、加えて皇子や皇姫には様々な花を愛でて欲しいと、マドレーヌの言葉に薔薇の花は植え替えられる事になっている。
この場所も“薔薇の宮”と呼ばれなくなる日も近いかもしれない
そんな“薔薇の宮”を離れるとルーチェは一際煩い場所に覗きに行った。
王宮と繋がる後宮の入り口に存在する屋敷は他と違い大幅に改善されているようだ。
侍従や侍女の育成機関として利用される事になっている屋敷は、1階のサロンや1部屋を残して、2階以上の部屋は取り壊され、研修生達の寝泊りの部屋へと変貌を遂げていく。
ここにも利用されいる派手な宝飾品は離宮のと合わせて商人達に買い取ってもらい国民の為に活用する予定だ。
残された1階のサロンや愛妾の部屋は研修用に利用される。
新皇帝ファヴィリエ・ルカの最初の仕事はいかに倹約に努めるかを王宮内に浸透させる事だった。
何処かの貴族が後宮の全てを解体し新しく作り替えようと言った時に、真っ先に反対したのもファヴィリエ・ルカだった。
それは壊す事にもお金がかかる事を理解していない貴族への呆れだった。
何も、全てに金を使うなと言っているのではない。
不必要な贅沢をやめよと言っているのだ。
利用できるものは利用する。
そう宣言した新皇帝の言葉には多くの貴族が困った顔をしていた。
その時の事を思い出しケラケラと笑っていたルーチェは庭園に人が集まってる見つけて降りて行った。
「さて、ここに集まった者達は王宮と後宮のいずれかに配属される侍従見習いと侍女見習いだ。」
燕尾服に身を包み込んでいる男が辺りを見回す様に言った。
その彼を覗き込むように見つめている者達は性別も年齢もバラバラだった。
「ここにいる全ての者が王宮や後宮で働けると思わぬ事だ。
我らがお仕えするのは世界の中でも最も尊きお方達だ。
心して研修に励むように。」
集まった者達の顔が引き締まっている。
そのうちの何人かは確実にリリィの元にやって来る。
ルーチェは、よーく目を凝らした。
『全然ダメダメだね。
心に野心や欲望が満ちている者ばかりだ。
本当に人間ってのは・・・。」
溜息を吐くように首を振ると、がっかりして去ろうとしたルーチェだったが、ピクリと止まった。
『おやおや?
ふーん。
何人かは悪くないのがいるか・・・。』
クスッと笑うとルーチェは庭園をグルりと一周すると飛び立った。
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