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未来への決着
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番・・・一般的には動物の夫婦に用いられる言葉であるが、龍が使う番とは魂が結び付けられた運命の相手の事である。
これは魂が覗ける白銀の龍ルーチェだけでなく龍達が本能的に気づく習性のようなものだ。
かつて人は、この龍の本能に頼り、より良い婚姻に導かれていたと言う。
「ルカ様と私が番?」
訝しがるリリィにルーチェがコクコクと頷いた。
『そうだよ。
本来のリリィは人の心が読めるけど、ルカの事は分からないでしょう?
それは番だからだよ。』
龍の姫巫女であるリリィに嘘は通じない。
人の心が透けるように読み取れてしまうのが当たり前の事だったリリィととって、確かに何故かファヴィリエ・ルカの心の内が分からなかった。
だからこその会話が楽しかったし、彼に対して他の人とは違う気持ちが浮かぶものだった。
番とは対等だ。
互いの事を理解し合いながら、愛し愛される存在になっていく。
それには互いの心が読み取れるようでは成立しない。
それすら凌駕するから番なのだ。
龍の姫巫女として絶対的な力を持ちながらも、彼が生まれながらに愛の呪いを受けていた事にも気づかなかった。
理由はひとえに、目の前の男がリリィの番であったからだった。
「どうして、教えてくれなかったの?」
理解したリリィは目を細めてジトリとルーチェや他の龍を睨みつけた。
ニヤニヤする琥珀龍の双子
最愛の主人に睨まれて誤魔化すように口笛を吹く赤龍
目を逸らし火に油を注ぐのを恐れる青龍
慈愛の目でリリィとファヴィリエ・ルカを見つめる緑龍
そして、祝福するように2人を囲み微笑む白銀の龍ルーチェ
ルーチェはリリィの不満そうな顔を覗き込むんだ。
『2人の心が育つまで待っていたんだ。
番とは互いに愛情を注ぎ合う相手。
番という立場に甘んじて、一方が愛情を利用するなんて事があってはいけない。
人は愛に生かされ強くもなるけれど、脆く弱い心は傷つけ合ってしまう事もあるんだよ。
僕達は・・・そして、龍王はリリィの幸せを何よりも願っているんだ。
龍の姫巫女が世界に齎す影響は大きい。
でも、それは龍の姫巫女自身が幸せでなくてはならない。
龍の姫巫女の・・・リリィと君の笑顔を守ってくれる人との出会いを導くのも僕の大切な役目だったんだよ。』
白銀の龍ルーチェは分かっていた。
リリィが初めて皇帝に謁見したあの日、表情なく立つピンク色の髪をした青年こそが、リリィの番であると・・・。
緑龍はただファヴィリエ・ルカを守っていたのではない。
自分達の主人であるリリィの番であるからこそ、ファヴィリエ・ルカの指に収まっていたのだ。
リリィは龍達からの愛情に頬を染めると、ファヴィリエ・ルカを見つめた。
「私の妻になって下さい。」
改めて告白するファヴィリエ・ルカに微笑むとリリィは「はい。」と返事をした。
これは魂が覗ける白銀の龍ルーチェだけでなく龍達が本能的に気づく習性のようなものだ。
かつて人は、この龍の本能に頼り、より良い婚姻に導かれていたと言う。
「ルカ様と私が番?」
訝しがるリリィにルーチェがコクコクと頷いた。
『そうだよ。
本来のリリィは人の心が読めるけど、ルカの事は分からないでしょう?
それは番だからだよ。』
龍の姫巫女であるリリィに嘘は通じない。
人の心が透けるように読み取れてしまうのが当たり前の事だったリリィととって、確かに何故かファヴィリエ・ルカの心の内が分からなかった。
だからこその会話が楽しかったし、彼に対して他の人とは違う気持ちが浮かぶものだった。
番とは対等だ。
互いの事を理解し合いながら、愛し愛される存在になっていく。
それには互いの心が読み取れるようでは成立しない。
それすら凌駕するから番なのだ。
龍の姫巫女として絶対的な力を持ちながらも、彼が生まれながらに愛の呪いを受けていた事にも気づかなかった。
理由はひとえに、目の前の男がリリィの番であったからだった。
「どうして、教えてくれなかったの?」
理解したリリィは目を細めてジトリとルーチェや他の龍を睨みつけた。
ニヤニヤする琥珀龍の双子
最愛の主人に睨まれて誤魔化すように口笛を吹く赤龍
目を逸らし火に油を注ぐのを恐れる青龍
慈愛の目でリリィとファヴィリエ・ルカを見つめる緑龍
そして、祝福するように2人を囲み微笑む白銀の龍ルーチェ
ルーチェはリリィの不満そうな顔を覗き込むんだ。
『2人の心が育つまで待っていたんだ。
番とは互いに愛情を注ぎ合う相手。
番という立場に甘んじて、一方が愛情を利用するなんて事があってはいけない。
人は愛に生かされ強くもなるけれど、脆く弱い心は傷つけ合ってしまう事もあるんだよ。
僕達は・・・そして、龍王はリリィの幸せを何よりも願っているんだ。
龍の姫巫女が世界に齎す影響は大きい。
でも、それは龍の姫巫女自身が幸せでなくてはならない。
龍の姫巫女の・・・リリィと君の笑顔を守ってくれる人との出会いを導くのも僕の大切な役目だったんだよ。』
白銀の龍ルーチェは分かっていた。
リリィが初めて皇帝に謁見したあの日、表情なく立つピンク色の髪をした青年こそが、リリィの番であると・・・。
緑龍はただファヴィリエ・ルカを守っていたのではない。
自分達の主人であるリリィの番であるからこそ、ファヴィリエ・ルカの指に収まっていたのだ。
リリィは龍達からの愛情に頬を染めると、ファヴィリエ・ルカを見つめた。
「私の妻になって下さい。」
改めて告白するファヴィリエ・ルカに微笑むとリリィは「はい。」と返事をした。
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