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未来への決着
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ディミトリオ・ハクヤが皇帝の座を望まぬと聞いた者達は驚いた。
中でも、ディミトリオ・ハクヤを皇帝へと押し上げようとしていた目論んでいた者達は落胆の声を上げる。
「良いのですか?
この混乱の中、龍の使者である兄上なら皇帝になる資格もありますし、皆が納得します。
皇帝の座を求めて再び争いが起こります。」
ノルディン公国の国主でありながら異母弟でもあるカーライル・ザッツ・ノルディンの言葉にディミトリオ・ハクヤは楽しそうに笑った。
「今この瞬間も後宮にいる龍が見ているのにか?
それでも愚かに争うというのなら、その時こそ龍が人類を諦める時だな。」
ディミトリオ・ハクヤの言葉に集まった人々達はハッと息を呑んだ。
「我らは自分達の足で立たねばならない。
帝国だの国だの我々は言うが、龍に言わせれば、それすら人間が決めた事で空を自由に飛び回る龍にとっては存在しない国境だ。
帝国ばかりが恩恵を受けてきたと皆は言うが、龍は人類平等に愛し、その土地に恵を施してきた筈だ。
龍の愛を分ける事なく独り占めしたのはロンサンティエ帝国だ。
結局は人を苦しめていたのも人なんだよ。」
静まる議会を見渡すとディミトリオ・ハクヤは優しく微笑んだ。
「一緒に懸命に生きよう。
悔いのない様に・・・龍に恥ずかしくないように。
生きてる我らには、それが出来る。」
それがロンサンティエ帝国の皇子に生まれながら、守られる事なく生きてきた男の言葉だった。
カーライル・ザッツ・ノルディンは立ち上がると、ディミトリオ・ハクヤに頭を下げた。
「ノルディン公国の国主として、龍の使者殿に敬意を評します。
共に生きるとの言葉、確かに受け取りました。
ノルディン公国はこの時より、再びロンサンティエ帝国の傘下に入り、人類の平和と安寧を支えます。」
カーライル・ザッツ・ノルディンの覚悟の顔にディミトリオ・ハクヤはニッコリと微笑んだ。
その後は我も我もと、皆が立ち上がった。
これで全ての人間が納得して争いをやめる・・・など、甘い話ではないだろう。
現に、ディミトリオ・ハクヤの目にも含みを持つ顔をしている者が何人か写っていた。
素知らぬ顔をする自分も随分と嫌な世界に馴染んでいるものだと自笑すると、ディミトリオ・ロンサンティエは意識を議会の話し合いに戻した。
この日、新たな皇帝に1人の皇子が推挙された。
ファヴィリエ・ルカ・ロンサンティエ
国内有数の公爵家出身の母を持ち、真の実力を隠していた若き皇子には大きな期待がされた。
議会に参加していたファヴィリエ・ルカは話が進むにつれ、自分の出自について隠しておく事が出来ないと悟っていた。
彼は臆病な心を叱咤し、父と呼ぶべき人をジッと見つめるのだった。
中でも、ディミトリオ・ハクヤを皇帝へと押し上げようとしていた目論んでいた者達は落胆の声を上げる。
「良いのですか?
この混乱の中、龍の使者である兄上なら皇帝になる資格もありますし、皆が納得します。
皇帝の座を求めて再び争いが起こります。」
ノルディン公国の国主でありながら異母弟でもあるカーライル・ザッツ・ノルディンの言葉にディミトリオ・ハクヤは楽しそうに笑った。
「今この瞬間も後宮にいる龍が見ているのにか?
それでも愚かに争うというのなら、その時こそ龍が人類を諦める時だな。」
ディミトリオ・ハクヤの言葉に集まった人々達はハッと息を呑んだ。
「我らは自分達の足で立たねばならない。
帝国だの国だの我々は言うが、龍に言わせれば、それすら人間が決めた事で空を自由に飛び回る龍にとっては存在しない国境だ。
帝国ばかりが恩恵を受けてきたと皆は言うが、龍は人類平等に愛し、その土地に恵を施してきた筈だ。
龍の愛を分ける事なく独り占めしたのはロンサンティエ帝国だ。
結局は人を苦しめていたのも人なんだよ。」
静まる議会を見渡すとディミトリオ・ハクヤは優しく微笑んだ。
「一緒に懸命に生きよう。
悔いのない様に・・・龍に恥ずかしくないように。
生きてる我らには、それが出来る。」
それがロンサンティエ帝国の皇子に生まれながら、守られる事なく生きてきた男の言葉だった。
カーライル・ザッツ・ノルディンは立ち上がると、ディミトリオ・ハクヤに頭を下げた。
「ノルディン公国の国主として、龍の使者殿に敬意を評します。
共に生きるとの言葉、確かに受け取りました。
ノルディン公国はこの時より、再びロンサンティエ帝国の傘下に入り、人類の平和と安寧を支えます。」
カーライル・ザッツ・ノルディンの覚悟の顔にディミトリオ・ハクヤはニッコリと微笑んだ。
その後は我も我もと、皆が立ち上がった。
これで全ての人間が納得して争いをやめる・・・など、甘い話ではないだろう。
現に、ディミトリオ・ハクヤの目にも含みを持つ顔をしている者が何人か写っていた。
素知らぬ顔をする自分も随分と嫌な世界に馴染んでいるものだと自笑すると、ディミトリオ・ロンサンティエは意識を議会の話し合いに戻した。
この日、新たな皇帝に1人の皇子が推挙された。
ファヴィリエ・ルカ・ロンサンティエ
国内有数の公爵家出身の母を持ち、真の実力を隠していた若き皇子には大きな期待がされた。
議会に参加していたファヴィリエ・ルカは話が進むにつれ、自分の出自について隠しておく事が出来ないと悟っていた。
彼は臆病な心を叱咤し、父と呼ぶべき人をジッと見つめるのだった。
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