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そして混迷は次代へ
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ファヴィリエ・ルカの言葉に騎士達までもが聞き入っていた中、人一倍の拒否感を見せていたのは、この騒動の張本人であったジャンヴィエ・リーンであった。
平凡でうだつの上がらないと馬鹿にしていた弟が、自分に対して講釈を垂れていた・・・。
理解をしたとしても心が、どうしても受け入れる事が出来なかった。
継承順位第一位・・・皇帝の嫡男として生まれたジャンヴィエ・リーンにとって皇帝になる事は宿命であると周囲の期待も大きかった。
父である皇帝ハイゴール・ウィリの自堕落な生活を目にしても、母である皇妃メッサリーナが後宮にて人を蹴落としていると知っても、ジャンヴィエ・リーンは関心がなかった。
己が皇帝になった時に全てを正し排除すれば良いだけだと思っていたからである。
この時の彼には父や母、我儘な妹を相手にしている暇などなかった。
彼は信頼する者の言葉をよく聞いた。
学園に入り、仲間達と共に過ごした時期に現皇帝に対する過激な考えが生まれた。
彼は素直で真面目だった。
自分達の正義を信じた。
成し得なければならなかった。
例え多くの犠牲があろうと、速やかに自分達の手で国を変えなければいけなかったのだ。
それと同時に心に芽生えた虚栄心を取り払う事が出来なかった。
足を引っ張るであろう弟・妹達に対する愛情は既にない。
それでも、ロンサンティエの血を持つ彼等を放置すれば後々の問題になると分かっていた。
注意深く弟・妹を監視していた。
一番に警戒していたのは、第二側妃ハリエ妃を母に持つマルト・ジュン。
彼は母のプライドの高さを受け継ぎ、兄達に対しても対抗心を隠す事がなかった。
ドルカン公国を後ろ盾に年々、態度も大きくなっていた。
第三側妃カラを母に持つサツキ・ミーナも煩わしかった。
イースタン国という小国は剣術の精鋭揃いで、女でありながらサツキ・ミーナも幼い頃から卓越した剣技を誇っていた。
剣に対し並々ならぬ自信を持つ彼女は兄であろうとも馬鹿にした目を向けてきていた。
同じ母を持つ妹アブリエル・エマには苛立ちを持っていた。
努力を嫌い、美と愛嬌だけは一人前であり、父や母も彼女の我儘には困った言いながらも嗜める事もなかった。
もし、彼女が皇帝になりたいと言っていたら、どうなっていたのか本当に分からない。
他の弟・妹達は年が離れていて交流は薄かったが、ロンサンティエの血筋として父が継承権を与え続ける事が気に入らなかた。。
それはファヴィリエ・ルカにとって、己が次期皇帝として不甲斐ないと思わされる屈辱だった。
そして、ファヴィリエ・ルカ・・・。
何に対しても無気力だった弟。
眼中にも入れる事もなかった弟の見識に触れ、今、心がざわついている。
ファヴィリエ・ルカの全てを否定したい気分だった。
「何故、皆、国を想う私の邪魔をする。」
それは溢れる様に溢れ落ちる言葉だった。
平凡でうだつの上がらないと馬鹿にしていた弟が、自分に対して講釈を垂れていた・・・。
理解をしたとしても心が、どうしても受け入れる事が出来なかった。
継承順位第一位・・・皇帝の嫡男として生まれたジャンヴィエ・リーンにとって皇帝になる事は宿命であると周囲の期待も大きかった。
父である皇帝ハイゴール・ウィリの自堕落な生活を目にしても、母である皇妃メッサリーナが後宮にて人を蹴落としていると知っても、ジャンヴィエ・リーンは関心がなかった。
己が皇帝になった時に全てを正し排除すれば良いだけだと思っていたからである。
この時の彼には父や母、我儘な妹を相手にしている暇などなかった。
彼は信頼する者の言葉をよく聞いた。
学園に入り、仲間達と共に過ごした時期に現皇帝に対する過激な考えが生まれた。
彼は素直で真面目だった。
自分達の正義を信じた。
成し得なければならなかった。
例え多くの犠牲があろうと、速やかに自分達の手で国を変えなければいけなかったのだ。
それと同時に心に芽生えた虚栄心を取り払う事が出来なかった。
足を引っ張るであろう弟・妹達に対する愛情は既にない。
それでも、ロンサンティエの血を持つ彼等を放置すれば後々の問題になると分かっていた。
注意深く弟・妹を監視していた。
一番に警戒していたのは、第二側妃ハリエ妃を母に持つマルト・ジュン。
彼は母のプライドの高さを受け継ぎ、兄達に対しても対抗心を隠す事がなかった。
ドルカン公国を後ろ盾に年々、態度も大きくなっていた。
第三側妃カラを母に持つサツキ・ミーナも煩わしかった。
イースタン国という小国は剣術の精鋭揃いで、女でありながらサツキ・ミーナも幼い頃から卓越した剣技を誇っていた。
剣に対し並々ならぬ自信を持つ彼女は兄であろうとも馬鹿にした目を向けてきていた。
同じ母を持つ妹アブリエル・エマには苛立ちを持っていた。
努力を嫌い、美と愛嬌だけは一人前であり、父や母も彼女の我儘には困った言いながらも嗜める事もなかった。
もし、彼女が皇帝になりたいと言っていたら、どうなっていたのか本当に分からない。
他の弟・妹達は年が離れていて交流は薄かったが、ロンサンティエの血筋として父が継承権を与え続ける事が気に入らなかた。。
それはファヴィリエ・ルカにとって、己が次期皇帝として不甲斐ないと思わされる屈辱だった。
そして、ファヴィリエ・ルカ・・・。
何に対しても無気力だった弟。
眼中にも入れる事もなかった弟の見識に触れ、今、心がざわついている。
ファヴィリエ・ルカの全てを否定したい気分だった。
「何故、皆、国を想う私の邪魔をする。」
それは溢れる様に溢れ落ちる言葉だった。
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