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桃の涙と覚悟
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桃の木を見つめていた第1側妃マドレーヌは何かを思い出したように笑った。
「先の宴の折に、この茶会に自分も呼んでくれとハリエ様とカラ様から言われました。
体の調子を理由にお断りを入れたら、不機嫌そうに離宮にお戻りになられたとか・・・フフフ。」
第2側妃ハリエ、第3側妃カラは小国とはいえ共に一国の姫であった。
その為に、一介の公爵令嬢であったマドレーヌが自分達よりも序列が高い位置いる事に不満を隠そうとしなかった。
自分達よりも先にマドレーヌが龍の姫巫女と会うのが気に入らないのか、はたまた、リリィを優美の世界に誘いたいだけなのか、国の命運を背負って嫁いできた2人の側妃の気持ちは誰にも分からない。
「茶会と言えば何でも楽しいわけではないでしょうに。」
リリィがクスクスと笑うとマドレーヌも吹き出すように笑った。
「えぇ・・・後宮の茶会は、その最たるものでしょうね。
温かいうちに1口どうぞ。
庭で採れた桃の実を入れた紅茶ですの。」
湯気立つ紅茶から桃の甘い香りが漂ってきた。
その香りを楽しむとリリィはティーカップに口を付けた。
「・・・美味しい。」
ホウっと小さな息を吐くリリィにマドレーヌは目尻を下げた。
「こちらに来られてから不都合はありませんか?
お住まいは荒れ果てていたと聞き及びました。」
「問題ありません。
手直しも済んでおります。
随分と自由にさせて頂いておりますよ。」
「龍の姫巫女様が御到着されるまで誰も準備をしてなかったなど・・・龍王様に対し不敬であったと言われても仕方のない事・・・申し訳ありません。」
頭を下げるマドレーヌにリリィは微笑んだ。
「貴方も、自分の責任ではない事に謝る人なのですね。」
「え?」
リリィの言葉にマドレーヌはキョトンとした。
「ディミトリオ・ハクヤ様です。
自分の責任でない事なのに、常に申し訳なさそうにしています。
どうする事も出来ずにいる自分を罰しているようです。」
「・・・そうですか。」
マドレーヌは、外に咲き乱れる桃の花を見つめた。
そんな彼女にリリィが確信をつく言葉を放った。
「優しく微笑む貴方の目の奥に燃えるような鳳凰が見えます。
ずっと怒りの炎をたぎらせて何者も焼き尽くしてしまいそうです。
貴方の怒りは皇帝へ向けられたものなのか、それとも貴方を守れなかったディミトリオ・ハクヤ様になのか、その怒りの炎はいつか貴方自身を焼き尽くすでしょう。
そして貴方は、それを知っているし、そう望んでいるのですね?」
マドレーヌは先程までの柔和な笑顔からスッと顔色を変えると真っ直ぐにリリィの言葉を受け止めた。
「あの方が好きでした。
共に生きる決意もあった。
しかし、私達の運命は別れてしまった・・・。」
ポツポツと話し始めたマドレーヌにリリィは耳を傾けるのだった。
「先の宴の折に、この茶会に自分も呼んでくれとハリエ様とカラ様から言われました。
体の調子を理由にお断りを入れたら、不機嫌そうに離宮にお戻りになられたとか・・・フフフ。」
第2側妃ハリエ、第3側妃カラは小国とはいえ共に一国の姫であった。
その為に、一介の公爵令嬢であったマドレーヌが自分達よりも序列が高い位置いる事に不満を隠そうとしなかった。
自分達よりも先にマドレーヌが龍の姫巫女と会うのが気に入らないのか、はたまた、リリィを優美の世界に誘いたいだけなのか、国の命運を背負って嫁いできた2人の側妃の気持ちは誰にも分からない。
「茶会と言えば何でも楽しいわけではないでしょうに。」
リリィがクスクスと笑うとマドレーヌも吹き出すように笑った。
「えぇ・・・後宮の茶会は、その最たるものでしょうね。
温かいうちに1口どうぞ。
庭で採れた桃の実を入れた紅茶ですの。」
湯気立つ紅茶から桃の甘い香りが漂ってきた。
その香りを楽しむとリリィはティーカップに口を付けた。
「・・・美味しい。」
ホウっと小さな息を吐くリリィにマドレーヌは目尻を下げた。
「こちらに来られてから不都合はありませんか?
お住まいは荒れ果てていたと聞き及びました。」
「問題ありません。
手直しも済んでおります。
随分と自由にさせて頂いておりますよ。」
「龍の姫巫女様が御到着されるまで誰も準備をしてなかったなど・・・龍王様に対し不敬であったと言われても仕方のない事・・・申し訳ありません。」
頭を下げるマドレーヌにリリィは微笑んだ。
「貴方も、自分の責任ではない事に謝る人なのですね。」
「え?」
リリィの言葉にマドレーヌはキョトンとした。
「ディミトリオ・ハクヤ様です。
自分の責任でない事なのに、常に申し訳なさそうにしています。
どうする事も出来ずにいる自分を罰しているようです。」
「・・・そうですか。」
マドレーヌは、外に咲き乱れる桃の花を見つめた。
そんな彼女にリリィが確信をつく言葉を放った。
「優しく微笑む貴方の目の奥に燃えるような鳳凰が見えます。
ずっと怒りの炎をたぎらせて何者も焼き尽くしてしまいそうです。
貴方の怒りは皇帝へ向けられたものなのか、それとも貴方を守れなかったディミトリオ・ハクヤ様になのか、その怒りの炎はいつか貴方自身を焼き尽くすでしょう。
そして貴方は、それを知っているし、そう望んでいるのですね?」
マドレーヌは先程までの柔和な笑顔からスッと顔色を変えると真っ直ぐにリリィの言葉を受け止めた。
「あの方が好きでした。
共に生きる決意もあった。
しかし、私達の運命は別れてしまった・・・。」
ポツポツと話し始めたマドレーヌにリリィは耳を傾けるのだった。
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