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影と黒 〜愛されし者達の対峙〜
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リュオンが鳴らした指に反応して沢山の扉が現れる。
ルミエールは何の感情も浮かべずに扉を見渡し、1つの扉に目を止めた。
真っ黒な重厚感のある扉がバチバチと電流が走る鎖にグルグルと巻かれている。
『あれか・・・。』
呟くルミエールの隣にリュオンが立った。
『貴方の行く先です。
今までよりも、辛く厳しい世界です。
入ったら最後、2度と出てくる事は叶いません。』
『フンッ。
どうせ我が暇になる事もあるまいよ。』
ルミエールの言葉にリュオンは苦笑した。
『あの先に貴方の復讐相手の全てがいる訳ではありませんよ。
人は弱く、周囲に流されて己の立場を守るだけの者もいるのです。』
ルミエールは不満そうに腕組みをした。
『小者共か・・・。
まぁ、良い。
そんな者はいつか地獄に来るだろう。
時間はいくらでもある。』
嫌らしく笑うルミエールにイオリとゼンが抱き合い震えた。
『「しつこいぃぃ。」』
そんなイオリ達にも今のルミエールは余裕を見せた。
『1つの世界の王になろうと言うのだ。
落ちて逝く魂を待つのも・・・また一興。』
迷いなく地獄の扉に近づくルミエールをイオリは見つめた。
真っ白な美しい髪は、まるで新月の様な魅力的な輝きを持ち、剥き出た体は鍛え抜いた自信を持っていた。
『・・・もう、会う事はないでしょう。』
声を落とすリュオンにルミエールは振り返った。
『我はいつも影の中に生きてきた。
こんな眩い光は好かん。
精々、貴様の様な甘っちょろい考えの奴がお似合いだ。』
『光の名は貴方に重荷でしたか。』
『・・・ルミエールか。
フンッ。
エルフが好きそうな響きだ。
これからの我は“ダークエルフ”だ。
それだけで良い。』
パチンッ
リュオンが指を鳴らした。
バチバチと電流の走っていた鎖が解かれギギィーと錆びついた重い扉の音がする。
真っ暗で先の見えない扉の向こうから、様々なくぐもった叫びが聞こえる。
扉の隙間から闇に染まった無数の手が助けを求めて飛び出てきた。
バシンッ! バシンッ!
その必死な手達を鞭打つ何かが強制的に暗闇の中に引きずっていく。
ーーー入ったら2度と出てくる事は出来ません。
リュオンが言っていたのは、番人の様な存在の事を言っていたのかもしれない。
その鞭が扉から飛び出て徐にルミエールの左腕に巻きついた。
ググッと引っ張る鞭をルミエールは興味深そうに見つめていた。
『フン。
早速か・・・まずはコレを手懐ける必要があるな。』
ルミエールの腰に、足に、首に、巻きつく鞭は有無も言わせず力一杯に手繰り寄せている。
『おい。貴様・・・イオリよ。
最後に1つだけ頼みがある。』
頼みと聞き驚くイオリを首だけで振り返ったルミエールが口元を動かした。
『※※※※※※※。』
ハッとしたイオリは真剣な顔のルミエールにゆっくりと頷いた。
『分かった。』
イオリの返事にルミエールは安堵したように小さく微笑んだ。
『それなら良い。』
もう、時間だとルミエールにリュオンは光の玉を飛ばした。
『餞別です。
持っていきなさい。』
その瞬間、ルミエールの右手には剣が握られていた。
ニヤリとしたルミエールは愛剣を握る手に力を込めると、しがみついてくる手達を薙ぎ払い鞭に誘われる様に真っ黒の中に飛び込んだ。
振り返る事も別れの言葉もない。
それがダークエルフ・ルミエールの最後の姿だった。
ルミエールは何の感情も浮かべずに扉を見渡し、1つの扉に目を止めた。
真っ黒な重厚感のある扉がバチバチと電流が走る鎖にグルグルと巻かれている。
『あれか・・・。』
呟くルミエールの隣にリュオンが立った。
『貴方の行く先です。
今までよりも、辛く厳しい世界です。
入ったら最後、2度と出てくる事は叶いません。』
『フンッ。
どうせ我が暇になる事もあるまいよ。』
ルミエールの言葉にリュオンは苦笑した。
『あの先に貴方の復讐相手の全てがいる訳ではありませんよ。
人は弱く、周囲に流されて己の立場を守るだけの者もいるのです。』
ルミエールは不満そうに腕組みをした。
『小者共か・・・。
まぁ、良い。
そんな者はいつか地獄に来るだろう。
時間はいくらでもある。』
嫌らしく笑うルミエールにイオリとゼンが抱き合い震えた。
『「しつこいぃぃ。」』
そんなイオリ達にも今のルミエールは余裕を見せた。
『1つの世界の王になろうと言うのだ。
落ちて逝く魂を待つのも・・・また一興。』
迷いなく地獄の扉に近づくルミエールをイオリは見つめた。
真っ白な美しい髪は、まるで新月の様な魅力的な輝きを持ち、剥き出た体は鍛え抜いた自信を持っていた。
『・・・もう、会う事はないでしょう。』
声を落とすリュオンにルミエールは振り返った。
『我はいつも影の中に生きてきた。
こんな眩い光は好かん。
精々、貴様の様な甘っちょろい考えの奴がお似合いだ。』
『光の名は貴方に重荷でしたか。』
『・・・ルミエールか。
フンッ。
エルフが好きそうな響きだ。
これからの我は“ダークエルフ”だ。
それだけで良い。』
パチンッ
リュオンが指を鳴らした。
バチバチと電流の走っていた鎖が解かれギギィーと錆びついた重い扉の音がする。
真っ暗で先の見えない扉の向こうから、様々なくぐもった叫びが聞こえる。
扉の隙間から闇に染まった無数の手が助けを求めて飛び出てきた。
バシンッ! バシンッ!
その必死な手達を鞭打つ何かが強制的に暗闇の中に引きずっていく。
ーーー入ったら2度と出てくる事は出来ません。
リュオンが言っていたのは、番人の様な存在の事を言っていたのかもしれない。
その鞭が扉から飛び出て徐にルミエールの左腕に巻きついた。
ググッと引っ張る鞭をルミエールは興味深そうに見つめていた。
『フン。
早速か・・・まずはコレを手懐ける必要があるな。』
ルミエールの腰に、足に、首に、巻きつく鞭は有無も言わせず力一杯に手繰り寄せている。
『おい。貴様・・・イオリよ。
最後に1つだけ頼みがある。』
頼みと聞き驚くイオリを首だけで振り返ったルミエールが口元を動かした。
『※※※※※※※。』
ハッとしたイオリは真剣な顔のルミエールにゆっくりと頷いた。
『分かった。』
イオリの返事にルミエールは安堵したように小さく微笑んだ。
『それなら良い。』
もう、時間だとルミエールにリュオンは光の玉を飛ばした。
『餞別です。
持っていきなさい。』
その瞬間、ルミエールの右手には剣が握られていた。
ニヤリとしたルミエールは愛剣を握る手に力を込めると、しがみついてくる手達を薙ぎ払い鞭に誘われる様に真っ黒の中に飛び込んだ。
振り返る事も別れの言葉もない。
それがダークエルフ・ルミエールの最後の姿だった。
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