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影と黒 〜愛されし者達の対峙〜
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新緑の平原に緊迫した・・・いや、どこか楽しそうな2人の“愛し子”が対峙していた。
『貴様の武器は一体なんだ?』
「簡単に言うと飛び道具だよ。」
『敵に近づかないとは弱虫のやる事だ。』
「腹が飢えなきゃ何でも良いよ。」
『何?』
「俺にとって武器を使うのは狩猟が目的。
生活の糧に必要な分だけ自然の恵を頂くんだよ。」
『何とも平和な事だ。』
「君の、その平和とやらを崩したのも君自身だけどね。」
『クッ。』
イオリの正論にルミエールは気まずそうに口を噤んだ。
すでに勝負は始まっている。
イオリはニッコリ笑うと挑発するように手招きした。
「お先にどうぞ。」
『余裕を見せるとは腹立たしい奴め。』
目を一瞬細めると、ルミエールの足が動いた。
飛び道具も懐に飛び込めば使い物にならない事は分かっていた。
俊足だけでは説明出来ないスピードで目の前に現れたルミエールをイオリが蹴り距離を取る。
すかさずイオリが逃げた方にルミエールが剣を薙ぎ払った。
『すばしっこいの。』
「そっちもね。」
見つめ合う2人は笑っていた。
リュオンは楽しそうな2人を見つめて微笑んだ。
生まれた時期が・・出会いが・・・何かが揃えば2人が友人になる可能性があったかもしれない。
ありもしない可能性を心に仕舞い込み、今の時間を胸に刻む。
世界の創生、生命の誕生を経て、リュオンの送り出した“愛し子”によって混沌とした時代を迎えた世界は何もかもが疲弊していた。
物ごとは机上の空論の如くに上手くはいかない。
生きている者達は決してリュオンの駒ではない。
時代を重ねて大きな衝突や英雄を迎えた世界を見守ってきたリュオンにとって、目の前にいる2人の男は特別な存在だった。
争いを始めた者と争いを止めた者。
互いの考えは違えど、全力でぶつかる彼らは今、最後の戦いを終えようとしている。
ルミエールが振り上げた剣をイオリが蹴り弾き、足を掬い倒した。
息も荒く仰向けに倒れたルミエールは、額に押し付けられた銃の存在を十分に感じていた。
「はい。
俺の勝ちって事で。」
『クソッ。
最後の最後までやり込められるとは。
これから地獄に落ちていく者に花を持たせる事を考えんもんか?』
「あ~。
俺、そういう忖度っていうの苦手なんですよ。」
イオリはその状態で容赦なく銃弾を撃ち抜いた。
『グアァァァァッ!!』
痛みは長くは続かない。
ピリついた痺れが口の中に広がるが、それも一瞬の事だった。
麻痺の銃弾だとは分からないルミエールは不思議そうな顔をして起き上がった。
『相沢さんの勝ちですね。
このリュオンが見届けました。』
イオリの勝利にリュオンの足元でゼンが嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねている。
イオリは抜けるような青空を見上げ両手を広げた。
「終わったぁぁぁぁ!!」
『貴様の武器は一体なんだ?』
「簡単に言うと飛び道具だよ。」
『敵に近づかないとは弱虫のやる事だ。』
「腹が飢えなきゃ何でも良いよ。」
『何?』
「俺にとって武器を使うのは狩猟が目的。
生活の糧に必要な分だけ自然の恵を頂くんだよ。」
『何とも平和な事だ。』
「君の、その平和とやらを崩したのも君自身だけどね。」
『クッ。』
イオリの正論にルミエールは気まずそうに口を噤んだ。
すでに勝負は始まっている。
イオリはニッコリ笑うと挑発するように手招きした。
「お先にどうぞ。」
『余裕を見せるとは腹立たしい奴め。』
目を一瞬細めると、ルミエールの足が動いた。
飛び道具も懐に飛び込めば使い物にならない事は分かっていた。
俊足だけでは説明出来ないスピードで目の前に現れたルミエールをイオリが蹴り距離を取る。
すかさずイオリが逃げた方にルミエールが剣を薙ぎ払った。
『すばしっこいの。』
「そっちもね。」
見つめ合う2人は笑っていた。
リュオンは楽しそうな2人を見つめて微笑んだ。
生まれた時期が・・出会いが・・・何かが揃えば2人が友人になる可能性があったかもしれない。
ありもしない可能性を心に仕舞い込み、今の時間を胸に刻む。
世界の創生、生命の誕生を経て、リュオンの送り出した“愛し子”によって混沌とした時代を迎えた世界は何もかもが疲弊していた。
物ごとは机上の空論の如くに上手くはいかない。
生きている者達は決してリュオンの駒ではない。
時代を重ねて大きな衝突や英雄を迎えた世界を見守ってきたリュオンにとって、目の前にいる2人の男は特別な存在だった。
争いを始めた者と争いを止めた者。
互いの考えは違えど、全力でぶつかる彼らは今、最後の戦いを終えようとしている。
ルミエールが振り上げた剣をイオリが蹴り弾き、足を掬い倒した。
息も荒く仰向けに倒れたルミエールは、額に押し付けられた銃の存在を十分に感じていた。
「はい。
俺の勝ちって事で。」
『クソッ。
最後の最後までやり込められるとは。
これから地獄に落ちていく者に花を持たせる事を考えんもんか?』
「あ~。
俺、そういう忖度っていうの苦手なんですよ。」
イオリはその状態で容赦なく銃弾を撃ち抜いた。
『グアァァァァッ!!』
痛みは長くは続かない。
ピリついた痺れが口の中に広がるが、それも一瞬の事だった。
麻痺の銃弾だとは分からないルミエールは不思議そうな顔をして起き上がった。
『相沢さんの勝ちですね。
このリュオンが見届けました。』
イオリの勝利にリュオンの足元でゼンが嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねている。
イオリは抜けるような青空を見上げ両手を広げた。
「終わったぁぁぁぁ!!」
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